中経出版中村様より献本御礼。

金取れねーうちは、敬語使ったほうがお得 - NC-15
この場合の正しいケースとしては、新卒の時点では、自分がまだ金が取れないということを自覚した上で、金が取れる奴に対する敬意を持った接し方でいくべきかな。敬語使ったところで、自分そのものの価値が下がるわけじゃねえ。

「でもオレ、タメ口しか知らないし、下手に敬語話そうとするとどもっちゃうし....」というアナタ、諦めるのはまだ早い!

本書「嫌われる敬語 好かれるタメ語」は、タイトルどおり、敬語を知らないものでも、上手に敬意を伝えるにはどうしたらよいかを、CNS話し方研究所所長が見事にまとめた一冊。

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はじめに
第1章 過剰で嫌われる敬語、なぜか好かれるタメ語
第2章 上司から敬遠される敬語、懐に入り込むタメ語
第3章 お客さまが離れていく敬語、ガッチリつかまえるタメ語
第4章 日常生活で嫌がられる敬語、好印象を与えるタメ語
おわりに

本書は、今年紹介した中では、最も楽に、かつ最も簡単に読める一冊だろう。どんなに速読が出来ない人でも、10分もあれば読めるはずだ。その秘密は、本書の構成にある。

本書では、まずその言葉が使われる状況で項目を立てて、その上で嫌われる敬語と好かれるタメ語をまるまる一ページ使って紹介した後、それを解説している。たとえば、「上司から急な仕事を頼まれた時」であれば、こうだ。

P. 12 嫌われる敬語
「それは、課長がお引き受けくださったものでしたよね。私の仕事の状況はご存知でいらっしゃいますよね」
P. 13 好かれるタメ語
「ええっ!?今からですか?今日が締め切りですよ。何とかならないんですか......」

この「嫌われる敬語」と「好かれるタメ語」だけ追っていくだけでも、本書の主張はきちんと伝わるようになっている。これが、「どんな人でも10分で読める」の種明かし。

しかし、さらに時間があれば解説もきちんと読んでみよう。こんなおいしい言葉に出会えるから。

ほめるとは、相手の長所を発見し、それを認めていいくことです。
おだてるとは、自分の利になるように相手を煽動し、動かしていくことです。

敬語が苦手な人は、こちらを目指すべきだろう。そして、日本語の「無駄な難しさ」を勘案すれば、むしろ本書の「好かれるタメ語」こそが標準となるべきではないか。

ただし、一つ注意点がある。

本書は敬語が駄目だとも、タメ語がOKだとも一言も言っていない。

本書の主題は、あくまで「敬意の伝え方」だ。敬意そのものがなければ、本書はただの紙くずである。

最近の新卒たちに言いたい事がある
一回ぶちきれて説教したんだが「だって僕のほうが年齢も学歴も上だし、タメ口でいいっしょ。何硬い事言ってんの?」とかほざいたんで、フルボコッにしそうになった。

この中の新卒君には、本書といえども釈迦に説法なのだ。

この新卒君の問題は、タメ口ではないのだ。それなら本書でサクっと矯正できる。

彼の問題は、敬意がないことなのだ。これはすぐには直らない。CNS話し方研究所に送り込んでも直るとは思えない。はじめから入社させないべきだし、可能であればやめさせるべきだろう。

しかし、敬意が空回りしているあなた、それで苦い経験をしてきたあなたには、本書は捻挫に対するテーピングのごとくよく効く。是非一度試していただきたい。

と同時に、「若い連中は敬語がなっていない」とお嘆きのあなたも、本書を読めばその理由が納得いくのではないだろうか。あなたは「嫌われる敬語」を濫発してはいないだろうか。敬意を表すためではなく、蔑視をはぐらかすために、敬語を使ってはいないだろうか。

Dan the Nullingual