ディスカヴァー社より献本御礼。

問題:
あなたはこの本を読むべきか?
結論:
読むべきである
理由:
非論理的なあなたは、本書さえ一読すれば論理的な文章の作り方を会得できるから。
論理的だと思っているあなたは、本書を読めばまだまだ改善の余地があることを実感できるから。

本書「非論理的な人のための 論理的文章の書き方入門」は、三省堂国語辞典の編集委員もつとめる著者が、論理的な文章の書き方を、まさにその方法に則って書き下ろした一冊。

目次 - Discover: ショッピングカートより
第1章 伝えたい考えは「クイズ文」で書く
LESSON 1 言いたいことは伝わっているか
LESSON 2 クイズ文とはどういうものか
LESSON 3 クイズ文の反対は「日記文」
第2章 クイズ文の型を理解しよう
LESSON 1 クイズ文の四つの型
LESSON 2 ディベートはクイズ文を書くのに役立つ
LESSON 3 ディベートを疑似体験しよう
LESSON 4 ディベートからクイズ文をつくってみる
第3章 実践! クイズ文を書いてみよう
LESSON 1 「問題・結論・理由」を用意する
LESSON 2 「問題」の述べ方、ここに注意
LESSON 3 「結論」の述べ方、ここに注意
LESSON 4 「理由」の述べ方、ここに注意
LESSON 5 文章完成に向けてすべきこと

目次を見ての通り、著者はそれを「クイズ文」と呼ぶ。

カヴァーより
問題:
自分の考えたことを文章にして、読者に間違いなく伝えるには、どうすればいいのだろうか?
結論:
そのためには、「クイズ文」という〈問題〉〈結論〉〈理由〉という形式に従った文章を書けばいい。
理由:
なぜなら、この形式は、読者と一つの問題意識を共有し、かつ、読者を一つの結論に導くためのものだからだ。

実はこの形式そのものは目新しいとは言えない。なぜか日本の学校ではあまり教えないようなのだが、英作文ではこれが基本中の基本で、徹底的に教えられる。また、日本でもこの文の使い手は少なくない。野口悠紀雄はその代表格だろう。「「超」整理法」が売れたのは、その内容が「超」整理的だった以上に、文章構成が整理的だったからだ。

にも関わらず、なぜかこの「クイズ文」は学校では教わらない。少なくとも私がこれを義務教育で教わった記憶はない。「起承転結」という「物語の作法」、本書の言葉で言えば「日記文」は教わった記憶があるのだが、これは一体なぜなのだろうか。「国語」で教わるのが「文学」だからだろうか。

かつての、少なくとも20年前までの「国語」において重視されていたのは、曖昧な文書から真意を読む、読解力だったように思う。娘たちの国語の教科書を斜め読みしても、この点においてはあまり変わっていない。「この著者が言いたいことは何なのか」?「そんなの著者にもわからねーよ」という「著者のつっこみ」はちょっとした風物詩にさえなっている。

まだ文章そのものが少ない時代は、それでもよかっただろう。しかし、現代人は、かつてないほど多くの文章を読まなければならない。本を読まぬ人ですら、メールからブログまで、読む機会はかつてないほど増えている。そしてかつてないほど、現代人は文章を書かねばならぬ機会が増えている。

そこでものを言うのは、読解力という読み手側の能力よりも、作文力という書き手の能力である。しかし学校では読文は教えても、作文は教えない。作文そのものは授業にあるのだけど、ただ文を一定量以上書き連ねることばかりが求められ、どれだけ的確に伝わるかという、文章で最も重要な作法は教えてくれない。

本書のような本が必要になる所以である。

私が日本の義務教育に抱いている疑念、いや疑心は二つある。

一つは、複式簿記を教えないこと。

一つは、作文を教えないこと。

この二つがあれば、なんとか生きていけるのに、である。

言葉と食べ物には、一つ共通点がある。どちらも贅沢品でかつ必需品だということだ。

ディスカヴァー社長室blog: 反論無用でお薦めします 〜非論理的な人のための論理的文章の書き方入門  ●干場
というわけで、随筆文学、日記文学とその文化の中から生まれた(!?)ブログ文の大部分も、非論理的文章(弾さんの記事の多くは、違うけど。ちゃんと反論もコメントされてるし)です。

(苦笑)私は論理的な文章だけしかない世界は貧し過ぎると感じるが、しかし論理的な話し方を学ばせずして文学を棒読みさせるのは、それこそパンを与えずしてお菓子を与えるようなもったいなさを感ぜずにはいられないのだ。

本書は、本来教科書として配られるべき本である。なぜ「パン」が有料で「お菓子」が無料なのか。

かわいそうなのは、ゾウではなく我々の娘たちであり息子たちではないのか。

いやいや、褒めるつもりが朝からあさっての方向に憤ってしまった。しかし感情的かつ論理的な文章というのは、最も読ませるものではありませぬかととぼけつつ本entryを締めくくることにします。この分野の本としては「議論のルールブック」以来の得物。給食費だと思って一冊入手してみてくださいませ。

Dan the Logically Emotional