うーん、いろいろといたい。

簿記と会計と財務の違いについてまとめてみた - GoTheDistance
つまり、5万でEeePCを買ったという行為だけを管理するのが単式簿記で、5万円のEeePC入手&現金5万円の支出を紐付けて管理するのが、複式簿記です。

でも、これ、かつては私もやった勘(定)違い。

この取り引き、あえて複式で書いてみるとこうなる。

Before
借方         貸方
−−−−−−+−−−−−−
現金 5万 | 資本 5万
After
借方         貸方
−−−−−−+−−−−−−
現金  0 | 資本 5万
電脳 5万 |

見ての通り、変わったのは左側だけ。これでは複式にする意味がない。

ところが、EeePCをツケで買ったとすると話は変わってくる。

借方         貸方
−−−−−−+−−−−−−
電脳 5万 | 買掛金5万

右側にもきちんと数字が入ってくる。そして「電脳という5万円の資産を得た代償として、5万円の借金を負った」ことがはっきりとわかる。そう。負債があってはじめて複式簿記は意味を持つのだ。

別の言い方をすると、いつもニコニコ現金払いしている限り、複式簿記は不要なのだ

しかし、実際の商取引では、ほぼ必ず時差がある。給与が月末に支払われるからって、今月の給与がそれまで0なんてことはない。その間給与をもらうあなたは会社に未払い給与を貸していて、そして会社は同額を借りている。クレディットカードで買い物をしたら、今度は逆にクレディットカード会社に対してその分の借金をしていることになる。「無借金経営」というけれど、単に有利子負債がないだけで、買掛金などの形で負債はちゃんとあるのだ。

こういう「見えない」貸し借りを、きちんと「見える化」したものが、貸借対照表、B/Sというわけだ。必ず両側が一致しているのでバランスシート。貸し借りが載っているので貸借対照表。貸借がない、すなわちいつもニコニコ現金払いしている人のバランスシートは常に「資産=資本」なので、バランスさせるまでもないのだ。

このあたりを実にわかりやすく説明しているのが、以前紹介した「国語算数理科しごと」。

国語算数理科しごと P. 23
「それで、お父さんなりの仕事の定義を考えてみたんだ。」
「どんな定義なの。」
「仕事とは、「約束を守ること」だと思っているんだ。」

約束を「交わす」のと「守る」の間には、時差が生じる。この時差を記録するために、バランスシートがある。左側にすでに交わしてきた約束の結果=資産を。そして右側にこれから守るべき約束=負債と、その差=資本を。

約束がなければ、複式簿記もいらない。

これだけ覚えておけば、あとの理屈はついてきます。ついてこないようだったら、「会計のルールはこの3つしかない」もあわせて読むとよいでしょう。

あと、蛇足ながら。

株式会社スターロジックの羽生章洋が書いてるブログ:起業・経営の必要条件 - livedoor Blog(ブログ)
また、お金の話についても、そもそも簿記(booking)・会計(accounting)・財務(financial)の区別がついてない人が多いです。

こちらは英語に関する突っ込み。簿記は"bookkeeping"、財務は"finance"です。bookingというと「記帳」ですね。お金だけではなくスケジュールも「押さえられます」。

Dan the Bookkeeper