中経出版中村様より献本御礼。

タイトルどおり、反啓発本とでもいうべき一冊だが、「反」というほど「がんばって」いないところがタイトルどおりでいい。自己啓発本を10冊買うとしたら、一冊はこういう本を混ぜておきたい。

本書「がんばらない生き方」は、「環境問題のウソ」による「反啓発本」。目次を見れば、どんな本かは一目でおわかりいただけると思う。

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はじめに
第1章 がんばらない生き方
「先が見えない」ことを楽しむ
「自己責任」なんて、気にしない
倒産はあたりまえのこと
「マニュアル」は自分にしか使えない
お金を稼ぐことは「目的」にあらず
仕事は「楽しくない」方がいい
生物は「無駄」からつくられる
「マニュアル」さえあれば、教養はいらない?
「結果」以外は見られない
才能がない人、不美人が生きるには
「持たない」ということ
第2章 カネや「欲」と上手に付き合う
欲望は簡単に満たさない方がいい
何事も「いいかげん」で止めておく
「格差の固定」を憂う
スケベ心をダスト、判断を誤る
「成功体験」はウソだらけ
大きな借金さえしなければ、大丈夫
「婚活」は不毛である
ネットが「時間」を奪う
ワーキングプア製造工場
適当に遊んでやれば、子は育つ
親の「愛情」は「支配欲」の表れ?
幼児は親の「オモチャ」である
第3章 人生の「楽しみ」を生み出すには
会社以外にも評価される場をつくる
趣味で「加齢」を実感できる幸福
趣味で人生を支えるには
アリに学ぶ
スマートに「ケンカ」するには
「負い目」から生まれる優しさ
利害のない友人をつくる
「孤独」や「自由」との付き合い方
第4章 世間の「常識」に惑わされない
頭が「良すぎる」のも考えもの
「身の程」をわきまえる大切さ
「団塊世代向けビジネス」は間違いだらけ
ゴミの分別という名の「住民イジメ」
「死に方」なんて、人それぞれ
IT社会は、めんどうだらけ
子供には「贅沢」をさせない
「過剰な安全」は危険を招く
大学教育に「実学」を求めるな
「イジメ」はどうして起こるのか?
「放任主義」ほど、子は育つ
子供の成功を本気で喜べるのは親だけ
第5章 「老い」も「介護」もほどほどに考える
病院なんて行かなくてもいい
若いころに戻りたい?
すぐに感動する大人は信用できない
親を施設に入れる際に必要な覚悟とは
不仲の親でも介護すべきか
時にはガス抜きも必要だ
「小ガネ持ち」の遺産相続は面倒だ
「死」は怖いものなのか
最期は「潔さ」がものを言う
おわりに

私の感想は、「そうそう、その通り」というのが7割、「がんばらなくてもやっていける立場は喜楽でいいよな」というのが3割といったところか。20代で本書にうなずくのはまだ早過ぎる。しかし50代でもうなずけないというのは遅過ぎる。そんな一冊だ。

本書で一つ好感が持てるのは、「がんばらない」と言っているだけあって、「人にがんばりを押し付けない」という点でも首尾一貫しているところ。ここが他の団塊著者と違う。

P. 172
ただし、当然のことだけれども、自分の親の介護を他人に任せるのであれば、自分が「要介護老人」になった場合、自分の子供に面倒をみてもらうとは思ってはいけません。
P. 173
親子不仲の原因の多くが、ちゃんと育ててくれなかった親の側にあるのなら、アホくさいから介護などしないかもしれませんね。
P. 176
例えば、老いた母親を自宅で介護していると、母親がボケて我が儘になってくることもあるでしょう...
では、そうなった場合はどうすればいいのか。答えは簡単。「うるせぇ、このババア!」とか言って、悪態をついてもいいのです。

人にがんばりを押し付けないこと。これが、がんばらない生き方に課せられた唯一の「がんばり」なのかもしれない。

Dan the Lazy, Impatient, Hubristic