右のグラフを見れば、冷淡じゃない人でも冷えてしまうのではないか。
2009-02-01 - こら!たまには研究しろ!!僕が常々残念だと思っているのは,低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.それどころか経済成長が現在の低所得者層の苦しい生活の原因だなんて思っている人までいる.経済成長と相対的な格差の関係については議論が残りますが*4,絶対的な貧困への唯一にして最善の処方箋は経済成長なのです.
これ、何かというと、
のパイチャートを Google Chart で描き直したもの。上が2004年。下が2007年。上下に並べた方がわかりやすいのでそうした。
この間、経済が縮小しているというのであれば、まだ救いがある。が、少なくとも数値上は経済は成長している。NIKKEI NET(日経ネット):景気ウオッチ−GDPや月例経済報告など内外の主要経済指標によると、2004年度から2007年度のGDPは、名目で498.5兆円から515.9兆円で3.5%、実質で528.0兆円から562.8兆円、6.6%、それぞれ成長している。
なのにパイチャートのとおり、現役世代の資産が全体の資産に占める割合は減っちゃっているのだ。
年齢階層別の金融資産保有割合をグラフ化してみる:Garbagenews.com2004年度末よりも2007年度末の方が、60代・70代以上の金融資産保有率が増えているのは、団塊の世代がまとめて定年退職を迎え、退職金を手にしたことが大きな要因として挙げられよう。もちろん、若年層の所得が低いままで抑えられていることも少なからぬ理由ではある。機会があれば別途記事に絡めるが、ここ数年収入額はほとんど変化せず、貯蓄残高は若年層で急減している様相を見せているからだ。
で、改めて
2009-02-01 - こら!たまには研究しろ!!(1)だれからも奪わないしだれも救わない
(2)だれかから奪ってだれかを救う
(3)経済成長
を見ると、今起こっているのは、(3)と(2)の組み合わせで、「だれかから」=現役世代、「だれかを」=退役世代、ということになる。
経済成長は処方箋ではない - 狂童日報前にも書いたことがあるが、今の日本で「経済成長」を目標とする解決法は徹頭徹尾間違いであることを、断固として主張しなければならない。
パイがなければ切り分けようもない以上、「徹頭徹尾間違い」というのは間違いなのだけど、それでも(3)と(2)のどちらの問題がより優先度が高いかといえば、(3)ではなく(2)なのではないか。さらに付け加えれば、「奪う」ではなく「返す」が適切なのではないだろうか。
「格差と希望 誰が損をしているか?」 P. 223強い不満をもつ人の方が、強い政治力を発揮することが多い。絶対的水準では貧しいはずの人から豊かな人への所得移転を促進するような規制や所得再配分政策が行われてしまうのは、人間のそうした[相対的な水準を適用してしまいがちな(引用者註)]特性のためだ。正社員の既得権を守ったがために就職氷河期が発生したのも、公的年金改革が進まないのも同じ理由ではないだろうか。
ところで、2008年07-09月期の名目GDP506.4兆円は、最近の円/ドルレートを90円/ドルとすると5.67兆ドルとなる。国の国内総生産順リスト - Wikipediaによると2007年は4.38兆ドルだったので、ドル建てで見ると3割も「経済成長」したことになる。のだけど、それを「額面通り」受け取る人はまずいないだろう。そもそも一国の経済成長って「何で」はかるべきなのだろう。それが何にしろ、同じ国の中における格差より推し量るのは難しそうだ。
Dan the Take(r|n)
これからは団塊の世代をターゲットにしたビジネスを!
なんてのを何年か前に散々見たんだけど、あれってどうなったのかな。成功してるのかな。
現役世代のインフローを増やすには、ビジネスという形で「現役世代が6x代からお金を奪う」しかないと思うんだけど。
資本主義ってのは結局、財布の紐を緩ませてむしり取るってことでしょ?