「累積債務が増えても国は破綻するとは限らない」という主張の根拠として、よく見かけるのがドーマーの条件。
ドーマー条件ってなに? - Pour l’honneur de l’esprit humain (ysttの日記)累積債務のGDP比が発散しないためには、(名目成長率>名目金利)である必要があります(g > i はD/Yが収束する必要十分条件)。これが有名なドーマー条件というやつです。
累積債務のGDP比が発散しないためには、(名目成長率>名目金利)である必要があります(g > i はD/Yが収束する必要十分条件)。これが有名なドーマー条件というやつです。
引用元では微分方程式を使って条件を導出しているけど、これはもっと簡略化できる。借金しつつ投資をしていると考えればいいのだ。ドーマーの条件とは、「投資運用の成績が借入金の利子を上回っている限り、借入金額そのものは増えて続けて大丈夫」の言い換えだと言っていい。
それで、実際のところどうよ、というと、この条件は現在日本において成立していない。
ドーマー条件ってなに? - Pour l’honneur de l’esprit humain (ysttの日記)g = 0.454%
i = 1.830%
ドーマーの条件の他に、ボーンの条件というものもあるようだ。
井堀利宏・土居丈朗『日本政治の経済分析』第7章1従来、公債の持続可能性条件は、公債増加率や利子率が経済成長率よりも低くなるというドーマーの条件が知られていますが、ボーンの条件はドーマーの条件が成り立たない経済状態でも財政は破綻しない条件を示しています。
これはどういうものかというと、
公債残高対GDP比が大きくなったときに、基礎的財政収支を改善する財政運営を続ければ、償還しきれないほどまでは公債残高が累増しなくなるため、財政は破綻しない(政府債務は持続可能である)、といえます。
というもので、「借金に対してネガティヴ・フィードバックがかかっていれば、財政は破綻しない」ということになるだろう。借金で破綻しないためには、結局のところ収入を増やすか(ドーマーの条件)、支出を減らすか(ボーンの条件)しかないというごく当たり前の帰結となる。
井堀利宏・土居丈朗『日本政治の経済分析』第7章1では、わが国の一般会計が条件を満たすような財政運営を行っていたか否かを、1956〜1998年度において検証しています。その結果、前年度末公債残高対GDP比の上昇に伴い、基礎的財政収支対GDP比が改善する事実は、統計的に有意には認められませんでした。すなわち、わが国財政が破綻しない(国債は持続可能でない)ことを否定できない、ということです。
以上を踏まえた上で、「なぜ経済成長が必要なのか」を改めて考えてみると、その答えは「そうでないと借金が増え続けてしまうから」という実もふたもないものとなってしまった。仮に無借金だとすると、経済成長が必要かどうかは、「現在すでにある富が十分か否か」ということになり、それが十分であれば成長不要という答えもありうるが、借金がある限り、経済成長は確かに不可欠となる。
「経済成長が不可欠な社会」と「ねずみ講が成立しつつける社会」の違いって何だろう?
Dan the Economic Animal
×「ねずみ講が成立しつつける社会」
○「ねずみ講が成立し続ける社会」
ネズミ講って、みんなが得をするとだます(信じる)によって成立するシステムですよね。
この一般社会は、みんなが得をする、なんて甘いことは信じられないだろうから、やっぱり違うんじゃないだろうか。