講談社Biz広部様より献本御礼。

いいタイミングで、二つの記事がホッテントリ入りしている。

本書に詰まっているのは、大館市と下條村の正反対の事例なのだ。

本書「自治体クライシス-赤字第三セクターとの闘い」は、バブル時代に乱立した第三セクターが今どうなっているのか、なぜそうなってしまったのか、そしてこれからどうなっていくのかをまとめた一冊。

目次 - Amazonより
はじめに
第1章 市町村を追いつめる恐るべき法律
第2章 「赤字第三セクター」という底なし沼
第3章 すべての悪夢はリゾート法から始まった
第4章 廃墟と借金の山が残されて
第5章 突然の返済要求を突きつけられた町
第6章 金融機関との果てしない交渉
第7章 「旗を振った」国の重大な責任
第8章 病院に蝕まれた瀕死の自治体
おわりに

本書に登場するのは、まさに「顧客が本当に必要だったもの」の世界。

左が「自治体が本当に必要だったもの」だとしたら、中央が「第三セクターが建ててしまった」、そして右が「今それがどうなっているのか」だ。客も来ない施設が、廃墟となり、しかし借金だけが残っている。

何でそんなことになってしまったのか。

国がリゾート法で後押ししたから?自治体がそれに乗ってしまったから?金融機関が損失補填契約に安心して貸し込んだから?いずれも正解であるし、いずれも本書で詳しく解説されているが、根本的な原因は、自分たちに本当に必要だったものを、自分たちで用意するどころか自分たちで考えるのも放棄した、自治の不在、というより自治体が自治体であることの自己否定にあったのではないか。

その結果、本当に必要だったものにまわす金がなくなってしまったのが、本書に登場する自治体が現在直面している危機である。これらの第三セクターの顛末は、リフレ政策に私が賛成するのをためらう一番の理由でもある。いくら供給を増やしても、それに応じた需要がなければ、後に残るのは廃墟と負債しかないのではないか。

いや、需要がないわけではない。それを教えてくれたのが、最初に紹介した記事である。需要に引っ張られた供給は無駄がない。むしろ予算不足でさえ工夫の母である。

供給で押そうとすると、どうなるのか。

是非本書でご確認いただきたい。

Dan the Taxpayer