各出版社より献本御礼。

ちょうどいいタイミングで、

という記事もあがっている。ので、ここではこの三冊を紹介しつつ、クラウドコンピューティングについて私がどう思っているのかを述べておくことにする。

まず、クラウドコンピューティングとは何かから。

クラウドコンピューティング - Wikipedia
クラウドコンピューティング(cloud computing)とはインターネットを基本にした新しいコンピュータの利用形態である。ユーザーはコンピュータ処理を、ネットワーク(通常はインターネット)経由で、サービスとして利用できる。

これ自体、なんら新しい考えではない。それこそ私が生まれる前の、ホストとターミナル(端末)のモデルそのままだ。しかし、ホストに何をやらせるか、そして端末に何を表示させるかは、時代によって大きく変わっている。そして変わる都度新たなバズワードが登場する。

それが何なのか、というのは各自考えてもらうことにしよう。参考書もあるのだし。残念ながら決定的な参考書というのは、ない。「クラウドの衝撃」はデータはいいけどあおり過ぎもいいところだし、「クラウドコンピューティングの幻想」のユーザー視点には共感するけど技術的側面に関する考察がなさすぎる。「クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図」がこの中で一番バランスが取れているように感じたけど、その分ユーザー視点で「クラウドコンピューティングの幻想」に劣り、事例紹介で「クラウドの衝撃」に劣っている。

で、私がどう思うか、である。

クラウドコンピューティングがどれくらい使えるようになるかは、クラウド、すなわち Google や Amazon といったサーバー側よりも、ブラウザーというクライアント側で決まるのではないか。結局のところ、クラウド(雲)がいかに暑くたれ込めても、それが慈雨になるためにはブラウザーを通すしかないのだから。

その点で見ると、今のブラウザーがサービス提供側にあまりに多くのいらぬ努力を強いているというのはいくら強調しても強調しきれない。せっかくJavaScriptとDHTMLがあるのに、ドット絵をtableタグで表示させていたり、データをJSONPで受け取ったりしている。もうアホか、と。

これがまだホストと端末の時代であれば、計算力のほとんどがホスト側にあるのだから仕方がなかったのだが、今や計算力のほとんどは端末側にある。Googleのデータセンターに百万台サーバーがあろうが、そんなのパソコンだけでも数億台の端末側に比べればものの数ではないではないか。

そして幸いにして、「瞬発力」として計算力が必要なのは、MVCのVである。HTMLやXMLやJSONをあれこれする計算量なんぞ、ブラウザーが実際にそれを表示するのに必要な計算量に比べたら雲どころか屁のようなものだ。

なのに、なのに、なのに。

tabelドット絵やJSONPを使っている現状ってどうよ。

もちろん、ブラウザー開発者たちがそれを放置しているわけではない。canvasだってある。JSONPに変わるクロスサイトデータ交換の手法も定まりつつある。Vをブラウザーに対応させ、MとCをサーバーにやらせるという「あるべき姿」に我々は近づきつつある。

IEを、除いて。

はっきり言ってしまおう。現状のクライアント開発のコストの半分は、IE対策にある、と。

その中には、速度だって当然入っている。404 Blog Not Found:javascript - でデータを圧縮/伸張するのような事例は、速度は決定的なファクターであり、そしてこの事例というのは「サーバー/ブラウザー間の通信速度を向上させる」という実に基礎的な部分に直結しているのである。

というわけで結論。

クラウドコンピューティングを普及させたかったら、ブラウザーをまっとうにせよ。Googleはそれがよくわかっている。Microsoftも、社内にならわかっている奴もたくさんいるが、それが社としてのコンセンサスになっていない以上、わかっているとは言えない。そしてそれが10年後の業界地図を決定するはずだ。

Dan the Man Beneath the Clouds