著者より献本御礼。

404 Blog Not Found:カツマofカツマ2008 - 書評 - 起きていることはすべて正しい
なぜなら、本書は著者の手による、現時点におけるベストな一冊であると同時に、そうであるがゆえに著者の手によるベストな一冊とはなりえないからだ。

今回も、これを証明することとなった。「会社に人生を預けるな」、ちょっと涙目かも知れない。

本書「会社に人生を預けるな」は、勝間和代の最新刊。

目次 - 勝間和代『会社に人生を預けるな』 | 光文社新書 | 光文社ではなくAmazonより
第1章 会社に人生を預けるな
終身雇用制は現代の小作農、または奴隷制
終身雇用制とワーク・ライフ・バランス
さまざまな歪みの原因
女性は働きにくく、若者は報われない
第2章 リスク・リテラシーを磨く
なぜ、貯蓄から投資が進まないのか
日常生活に潜むリスク
リスクは常に偏在する)
第3章 「お上」に人生を預けるな
「お上」中心主義
日本の巧みな支配構造
現代資本主義が抱えるリスク
リスクを予見する能力)
第4章 21世紀のパラダイムシフト
人生はコントロールするもの
日本が導入すべき三つのもの
よりよく生きるために
問題解決の鍵

「勝間和代の最新刊」。これで言い表せるほど著者の言動は首尾一貫しており、そして有名である。そうである以上、「それ、前にも言ったよね」ということは避けられない。「唯脳論 」をきちんと読んでいれば、わざわざ「バカの壁」を読むまでもないと同じ意味においてなら、「起きていることはすべて正しい」を読了した人には本書は必要ないかもしれない。

それでも読んでしまうのは、著者の価値は「何を言ったか」よりも「どう言った」にあり、そして著者の目的は本を出すことではなく、本を通して社会を動かすことにあるからだ。

もし本を売ることが著者の目的なのだとしたら、その目的はすでに本書を出すまでもなく達成している。しかしそれを通して社会を--日本を--動かすともなると、百万部や二百万部「程度」では「駄目」なのだ。

だから著者は手を代え品を代え、そして言葉を代えて同じことを繰り返す。確かにしつこい。私でさえそう感じる。読書に慣れた人であれば多かれ少なかれそうなのではないか。

しかし私は、そこまでしてやっと言葉というものが伝わるのだということもまた知っている。だから著者の著書というより、著者の行動を支持している。

それに、本書はこうした「勝間和代の文脈」をとりあえず忘れて、著者の過去作も忘れて、改めて文章だけ読んでも実に面白い本である。私はむしろ著者の本を一冊も読んだことがない人がうらやましい。一カ所だけ引用する。

P. 131
 まず、日本のこれまでのヒーロー像というものを追ってみましょう。すると、遠山の金さん、水戸黄門、銭形平次、ウルトラマン、仮面ライダー...といったように、将軍であったり、奉行であったり、圧倒的に「お上」で占められていることに気づきます。
 一方、たとえばアメリカのヒーロー像を見てみると、それは市民によって多く占められていることに気づきます。スーパーマンしかり、スパイダーマンしかり、スタートレックもそうです。みな、市民です。

もちろんつっこもうと思えば、「仮面ライダーはショッカーの裏切り者だったし、スタートレックは連邦軍なのだからお上ではないか」とは言えるが、しかし「役人ヒーロー」が日本に多く、「市民ヒーロー」が米国に多いという傾向は確かなように感じる。私が日本の「古典的ヒーローもの」、特に時代劇にさほど魅力を感じなかったのは、そのほぼすべてが役人ヒーローだからなのではないか。

Text of Steve Jobs' Commencement address (2005)
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma -- which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

ここではあえて訳さない。結局著者が繰り返し繰り返し繰り返し述べているのは、こういうことなのだ。ほとんどの人はそれを頭で理解できる。体で理解している人も少なくない。しかしそう生きている人ともなると、かの国にすら充分いるとは言えない。ましてやこの国においては。

胸を張って「私は自分の人生を生きている」と言い切れる人に、本書は不要だ。しかしそこまで自信がなく、その癖「また言っているよ」という人こそ、「ドグマに捕らわれている」のではないか。

本書は本ではない。鍵なのだ。あなたを閉じ込めている監獄の扉をあける。まずはそこから出てほしい。

Dan the Ruler of His Own

追記:

勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!: 新刊「会社に人生を預けるな」、3/17発売です
特設サイトはこちらです。
会社に人生を預けるな

業務連絡。この特設サイトの目次がテキストでなく画像というのはいただけない。blogを読むのは人間だけではない。検索エンジンだって読むのである。