出版社より献本御礼。書評が遅れて申し訳ない。

ホレましたよ、中経出版に。「パッケージとしての本」としては、ここ数年で最高の一冊。本好きは、たとえ本書を一ページも読まなくても文字通り手に入れておくべき。なにしろ

【モテ】「モテ・バイブル」藤田サトシ:マインドマップ的読書感想文
560ページという超大作であるこの本

にも関わらず、300ページ分ほどの厚さしかない。「弾言」と「決弾」をあわせてさらに100ページ加えたのに厚さは「弾言」+「決弾」の六割ほどにおさまっていて、それでいて辞書のように薄すぎてめくりにくいということが全くない。技術書の出版社は、本書を多いに見習う必要がある。

で、中身なのだけど....

本書「モテ・バイブル」は、タイトルそのままの一冊。

目次
第1章 女性は子宮で考える
第2章 モテる男性の特徴
第3章 コンプレックスを克服しよう
第4章 ファッション講座
第5章 「モテる環境」を構築する
第6章 モテる会話術
第7章 デート
第8章 キスとセックス
第9章 恋愛関係の維持と破棄

まず、「モテ」という主題について。私自身は「今日の世界はどうだ」とか「明日の日本をどうする」とかという話題より、よほど大事(おおごと|だいじ)だと思い、感じている。弾言してしまえばこの話題を「くだらない」と思っている人ほど、モテてない。560ページかけて、懇切丁寧に解説するだけの価値どころか、一生をかける価値を認める人さえいるだろう。

しかし、本書を隅から隅まで読み、本書の支持に従えばモテるかというと、「うーん、微妙」と答えざるを得ない。本書の個々の指摘が間違っているというのではない(ただし、正しいというものでもない)。もっと単純に、「もし自分が女だったら、このマニュアルどおりに行動する男にホレるか」と自分の「乙女人格」に質問したら、速攻で「ノー」という答えがかえってきたというだけだ。

さらに「なぜ」と「彼女」に問うてみたら、「こいつ女は見ても私を見ていないじゃん」という答えがかえってきた。私(統合人格)も「決弾」でこう書いている。

「決弾」 P.24
Q: 私の容姿ははっきり言って不細工な上に、口下手です。彼女が欲しいのですが、どうやったら異性にモテるようになるのでしょうか?
A: まず、特別な誰かを見つけてください。

本書の最大の欠損、それは「モテ方」は書いてあっても「ホレ方」が書いていないことなのではないか。「いや、それぐらい教えるまでもない」と著者は答えるかも知れないし、そしておそらく著者はホレまくってフラれまくったからこそ本書を上梓したはずでもあるのだけれども、最近じわじわと強く感じているのは、実はホレることこそ難しく、そして「ホレる」という感情を「うざい」と感じている人が増えているのではないか、ということ。

そう。本書に感じた物足りなさというのは、「「婚活」時代」に感じた物足りなさと同じなのだ。

404 Blog Not Found:結婚って何だろう - 書評 - 「婚活」時代
では、本書には何が書かれていないか。
結婚する理由、である。

「モテたかったら」でぐぐったら、これが一番トップに来た。

404 Blog Not Found:モテたかったら持つな
で、「もてる」人を見ると、確かに共通点がある。
それは、「ほれっぽい」こと。彼/女らは、「もてる」以前に「ほれて」いるのだ。彼/女らがほれている対象は、「ほれられている」対象とは必ずしも一致しない。しかし「ほれて」る対象に対して懸命なのは共通なのだ。

本書の著者は、強いて言えば「モテる」という行為そのものにほれていると言えるかも知れない。その点において、著者と本書の想定読者は、「同じ立場」ではなく「対局の立場」なのではないか。実のところ「非モテ」のほとんどは、「モテる」ようになる以上に、「必死だな」と思われることを恐れている。彼らにとってそもそも本書を手に取ることそのものが「恥辱」と感じられるのではないか。

しかしこれだけは確かだ。

その程度の恥辱に耐えることも出来ない人が、モテることなど未来永劫ない。

本書は、その一点において、「バイブル」である以上に「踏み絵」なのかもしれない。

Dan the Beloved