そろそろやる気について一言いっとくか。

この三者に共通した暗黙の了解は、何か。

それは、「まずやる気があって、やるのはそれから」、ということ。

これは、この三者だけではなくこの社会全体の暗黙の了解でもある。

でも、違うんだな、これが。

受動意識仮説というものがある。私個人はもはや「仮説」ではなく「論」まで昇格してもいいと考えているが、それはさておき、受動意識仮説とはこういうことである。

404 Blog Not Found:書評 - 脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?
我々のほとんどは、何かをする時に、まず「何かをしよう」と意識し、それを行動に移すのだと考えている。これが、能動意識仮説。ところが、最近その逆と考えた方がつじつまがあうという研究成果が多く出されてきた。まず行動があり、意識はその後で「実はそうしたかったのだ」と思い込むというものだ。これが受動意識仮説である。

詳しくはこの「脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?」なり「進化しすぎた脳」なりを読んでもらうとして、深く考えていけば行くほど怖くなるこの受動意識仮説をあえて浅くとらえると、こうなる。

やる気があるからやるんじゃない。やったからやる気が出るのだ

朝礼とかラジオ体操とかには、案外重要な意味があることになる。やる気はやらなきゃ出ないのだから、とりあえず体を動かしてしまうというわけだ。脳のリハビリで手足を動かすのも、然り。

「やる気」がある人というのは、実は例外なく「とりあえず手足を動かす」を実践しているようだ。レポーターはメモを取らずにいられない。絵描きはスケッチせずにはいられない。そしてプログラマーはエディタを起動せずにはいられない。

そうやって手足を動かしていくうちに、やる気なるものが出てくる。この「動作」が「意識」に変わるのにはある程度タイムラグがあって、このタイムラグの間に動く分の「余計な動作」というか「捨て動作」とでも言える動作が、実はやる気には欠かせない。たとえば私が perl で何か書くときには、実はコピペせずにちゃんと

#!/usr/local/bin/perl
use strict;
use warnings;

を手で打っている。「だからPerl 5はうざい」という意見も少なくないし、私もそれに頭は同意していたのだが、体が不同意だったのは、それが私にとっての「ラジオ体操」であるというのが私の最近の仮説だ。

やる気は、やらねば生じない。

おごちゃんの雑文 ? Blog Archive ? 要はやる気がないんだろうけど
やる気がない奴をdisってもムダ

というのは、だから正しい。やる気以前にやらない人までやらせないとと回らない社会というのは、ムリ、ムダ、ムラだらけのやらせ社会と呼ぶべきだ。

努力厨がはびこれば2020年地球は滅びる。 - orangestarの日記
ずっと頑張りっぱなしってのはできない。理想的なのは80%くらいの出力でのろのろと走り続けること。

80%というのはキツすぎる。20%で回せるようにしないと。というのは「「仕組み」進化論 」でさんざん書いたのだけど、しかしその20%というのは全体をならした結果であって、一人一人が常に20%でということではない。やる気以前にやらない人にやらせるのがムリなら、手足を動かさずにいられない人の手足を縛るのはムダである。

その意味で、やらずにいられない人に気持ちよくやってもらうための仕組みというは、やはり意味があることなのだ。それは、やりたい人のためだけではない。やりたくない人のためでもある。やりたい人がもっとやってくれれば、やりたくない人はもっとやらなくて済むのだから。

そのためには、まず「やらない奴を罰する」ルールから、「やりたい奴をほめる」ルールに移行する必要がある。しかし、「やらない奴を罰する」の呪縛がいかにきついかは、「やる気自重」と言っているその口が「適度」を80%にしていることからも伺える。そして「やらない奴を罰する」環境設定が、むしろやりたい奴のやる気を削いでいる。これじゃどっちも辛いだろう。

やりたい奴にやらせるためには、やらない奴を罰してはならない。

そのための近道として、やらないのに罰する奴をもっと罰するというのは、ありだろう。

直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
それでもっと悪いのは、ダメな大人の真似をして、自分のことは棚に上げて、人の粗探しばかりする人がいることだ。そうすると利口に見えると思っているかもしれないけど、そんなことしている暇があったら自分で何かやれ。

梅田望夫は、その意味において正しい。やっている奴が「おれがやってないとでも言うのか」と誤解してしまうのが玉にきずではあるが。

Dan the Lazy, Impatient, Hubristic