うーん、なんて偉そうな回答。

2009-04-07 - こら!たまには研究しろ!!
「経済学者って何であんなに偉そうなんですか?」
2009-04-07 - こら!たまには研究しろ!!
僕の仮説は経済学帝国主義みたいな意識.経済学帝国主義って言うのは,ざっくり言うと「進んだ理論的的基礎と分析・実証手法をもつ経済学」を「他の社会科学に注入しなければならない」っていう意識です.

ここまであさっての方向に間違っていると、私何ぞは「これぞ愛すべき学者バカ」って愛おしさが増しちゃったりするんですが、余裕がなければ「偉そう」になるでしょうね、そりゃ。

で、なんで経済学者、特に日本の経済学者が偉そうなのかといえば、理由は単純。

自分の理論を、実証する人がいないから。

役人や政治家より正しいと主張するなら、なぜ経済学者は役人になったり政治家になったりしないんでしょうね?竹中平蔵ぐらいじゃないですか?あれだって自分で実証しようとしたんじゃなくて、呼ばれてホイホイ行っただし。

別にそこまで行かなくとも、会社の一つや二つ作るのは、論文を書く程度の手間で出来るのに、なんでやらないんでしょうねえ。銀行どころか生保すら作れるこの時代、経済学の理論を実証に移すには格好の機会にしか感じられないのですけど。

「貧困のない世界を創る」P. 364
私は政策の立案者や研究者として貧困問題に取り組んできた訳じゃありません。貧困が私のまわり中すべてにあり、そこから背を向けることができなかったから、貧困問題に取り組んだのです

これ、「不透明な時代を見抜く「統計思考力」」の冒頭でも引用されているのですが、ユヌス博士に「偉そう」って言える人、います?

良くも悪くも米国で経済学者が一目置かれているのは、実証に行く人が少なからずいるからでしょう。政権に入ったり、ファンド起こしたり。うまく行くとは限りません。それどころか経済学者が実証に走った例は、とほほ話の方が目立ってもいます。ブラックとショールズが自分たちでオプションを買ったときの話から、LCTMまで。

それでも、なんかやってるわけですよ。なんか言ってるだけじゃなくて。

やってないから「偉そう」なのに、自分の言っていることが「偉そう」だと勘違いする。

これ、経済学者に限らず学者という生き物に対する日本人のラフコンセンサスだと私は「勘」じていますが、他の学者にも増してそれを経済学者により強く感じるのは、経済学という学問の扱っている問題が、他のどの学問よりも「感じやすい」ものであるにも関わらず、実証しようという人がどの学問にも増して少ないという、言うこととやることのギャップが最も大きいところにあるのでしょう。

2009-04-09 - 狂童日報
そのことを、学問の性質上考えられないと限界を素直に認めるならいいのだが、なぜかそうしない。むしろ、動かない現実に直面すると「官僚や族議員が既得権を守って動かない」といった、叱責や説教に奔ることが多い。現実の人間社会がまずあって、それを経済学の理論によって分析するのではなく、逆に経済学の論理に人間を従わせようとする。そして、従っていない人たちに対しては、「既得権者」と道徳的なレッテルを貼って断罪し、反論があると「経済というものを知らない」と言って黙らせる。誰もが「既得権者」と思われたくないし、下手に反論して無知を晒すのも恥ずかしいので、ほとんど人がそれに同調してしまう。

私が平気で無知をさらしているのは、私より「やってる」経済学者がまず見当たらないということもあります。その経済学の理論を元に、たいして稼いでない私より稼いだ経済学者ってどれくらいいらっしゃいます?あ、言っちゃった。

これが、他の世界だといくらでもいらっしゃるわけです。IT一つ取っても、GoogleにAdobeにPixarという具合に、理論を実証して金持ちになるどころか世界を変えちゃった人々と、その人々が作ったものがごろごろしている。しかも現在進行形。もちろん現代数学や理論物理学のように、理論こさえるだけで大変で、実証なんてどこから手を付けていいのかわからない分野もありますが、幸いなことにそういう分野は、経済学よりはるかに「感じにくい」。ほとんどの人の興味の対象は、容姿崩壊ではあっても陽子崩壊じゃありませんから。

というわけで、そろそろたまには実証していただけないのでしょうかね。「偉そう」ではなく「偉く」なっていただけないのでしょうかね。応援しますよ。立候補してくだされば一票は投じますよ。出資まで応じられるかどうかはお話を伺ってからですが。え?ハイリスクローリターンすぎるですって?確かに「偉そう」のコストは経済学者の先生方にはとっても安そうです。「偉そう」に留まるのが実証ですかそうですか。

Dan the Economic Animal