週刊SPA!杉原様より献本御礼。

ひろゆきファンには、前著「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」よりもこちらの方が面白いはずだ。前著は「ひろゆきは、世の中をどう見ているのか」という一冊だったが、こちらは、「ひろゆきは、ひろゆき自身をどう見ているのか」という一冊なので。

本書「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」も前著「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」も、どちらも「2ちゃんねる」という言葉が出てくるが、本書においての主題は「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」ではなく、「僕」ことひろゆきである。

目次 - Fusosha 僕が2ちゃんねるを捨てた理由〜ネットビジネス現実論〜にもAmazonにもないので手入力
「好きなチャンネル」「嫌いなチャンネル」に関するアンケート
第1章 2ちゃんねる譲渡
第2章 大いなる勘違い
第3章 ネットと広告
第4章 テレビはもう、死んでいる
対談 土屋敏男 x ひろゆき
第5章 ルーツ・オブ・ひろゆき
毎度おなじみ、あとがきの時間です

それではひろゆきとは何者か?

借力の達人である。

それが最も顕著に現れているのが、以下のフレーズだ

1%のひらめきを、99%の努力ができる他人にやらせてみる

すごい、才能だと思わずにはいられない。

ひらめく方じゃない。他人にやらせてみる方だ。なぜ他人にやらせてみることが出来るのか?それを「自分のものにしよう」という意欲がないからだ。いや、厳密にないわけじゃないのだろう。むしろ「自分のものにしたら、面倒まで自分のものになってしまう。そりゃうざい」というわけだ。

だから、あっさり「2ちゃんねるを捨てた」のだ。

ひろゆきを見ていると、思わずこれを口ずさみたくなる。

あきれて物も言えない - RC Succession
山師が大手をふって歩いている世の中さ
汗だくになってやるよりも
死んでる方がましだぜ

「山師、ずるいぜ」と思うか、「山師、やるな」と思うかが、ひろゆきに対する好悪を決めるのだろう。私は後者の方である。汗だくになってやる方であるにも関わらず、いやだからこそ。こういう山師がいるからこそ、私のような山師にも汗をかく場が生まれるのだから。

ところで、この歌の山師とひろゆきの違いが、一つある。

別にひろゆきは「大手をふって歩いている」わけではない、ということ。ひろゆきはそんなに勤勉ではない。ひろゆきの怠惰ぶりははっきり言って哺乳類離れしている。変温動物の域である。遅刻するのも無理はない。体温が上がるのにそれだけ時間がかかるということだろう。私との対談の時には「たった」30分しか遅刻しなかったのは運がいいということだろう。

本書において、ひろゆきと私は対談していないが、なぜか私が一カ所登場している。

P. 228
西村 だから、プライドは高くない。でも会議とかで「つまらないですし、その話は乗れないです」って言うと、それがプライドが高いということに置き換わっているんですよ。モデルさんとか芸能人以外の人で、プライドが高くて得をしているのを見たことがないんですよね。小飼さんみたいな「自分に限界があると他人に思われたくない」っていうプライドはアリだと思いますけど。

うむむ、ひろゆきにもそう見られていたか。ちょっと惜しい。正解は「自分に限界があると自分が思いたくない」。実のところ、私にも寿命がある以上、限界は厳としてある。でもそこに行き着くまでにどこまで行けるかは、行ってみないとわからない。

ただ、人使いのうまさに定評があるひろゆきにしてそう見えるというのは当然だとも思う。私は他者をリトマス試験紙として使っているのだから。だからblogを書いているのだろう。しかし、私に「なんとか出来る」のは私だけであり、私が私という名の監獄に死ぬまで閉じ込められている以上、私が「なんとかする」のは私でしかない。しかしこの監獄は一生かかっても探検できないほど広くて、しかも結構快適でもある。

ひろゆきが一枚上手だと感嘆するのは、この監獄を賃貸で貸していることだ。私は汗をかくのが好きなので、どうしても手を入れてしまう。しかしそれでは店子は落ち着かないだろう。良き大家は、怠惰でなければならないのだ。

で、先ほどの続き。

P. 228
そうやって、意見や行動が同調できないことをプライドが高いとかKYとか呼ぶなら、意見に同調することが正しいという理由教えて欲しい。そもそも、議論をする場に空気を読んで同調をする人が大勢いると、間違った方向に物事が決まることもあるし。それなら、空気読むヤツなんて必要ないじゃないですか。

この下りは、120%同意だ。

日本という社会は、広い。だからひろゆきが「一匹」ぐらいいても大丈夫。ひろゆきが「2ちゃんねるを捨てて」も、日本を捨てるにはまだ至っていない理由もそこにあるのではないか。もっと広くてもいいと私は思う。わざわざ空気を読んで同調して場を狭くすることが正しい理由教えてほしい。

Dan the Happily Used