著者より献本御礼。

21日発売の「2011年 新聞・テレビ消滅」がいまだにAmazonに登録されないので、こちらを先に取り上げることに。

結論から言うと、激おすすめ。著者のようにすでにオフィス=雇用主なしで仕事をしている人にも、そして未だ大多数をしめる、仕事=「オフィス=雇用主」の下で働くことである人にも。

本書「仕事するのにオフィスはいらない」は、ばりばりのオフィスワーカーを経て、ばりばりのオフィスレスワーカーとなった著者による、オフィスレスで(被)雇用レスな仕事論+仕事術。両方が絶妙のバランスで新書というコンパクトなパッケージに収まっている。

目次 - Amazonより
はじめに - ノマドって一体何ですか?
第1章 ノマドワーキングのすすめ
第2章 アテンションコントロール
第3章 情報コントロール
第4章 コラボレーション
第5章 クラウドを使いこなす
第6章 ノマドライフスタイルの時代へ
あとがき
さくいん

位置づけとしては「3時間で「専門家」になる私の方法」ということになるだろうか。実はこれには「ひと月15万字書く私の方法」という本が同じ出版社、同じ装丁で出ているのだが、同書は仕事術、すなわち「どうやってオフィスなしで働いているか」ばかりで、仕事論、すなわち「なぜ仕事をするのにオフィスはいらない」ということに関して十分な説得力がなかった。本書は違う。それを説得するのに、自らの事例のみならず、実際にオフィスなしで仕事をしている、他の「ノマド」たちの実例も、十分取材した上で紹介している。

それでは、なぜ今「ノマド」なのか、「仕事するのにオフィスはいらない」のか?

著者自身に、語っていただくことにしよう。

はじめに
 正規雇用が消滅していき、すべての人が契約社員やフリーランスとなる社会へ。
 会社に頼っていればなんとかなった時代から、自分自身で人生を切り開かねばならない時代へ。
 そんな社会を、だれも望んでいないって?そうかもしれません。自分自身の力で生き抜く方法を探していくのは、たいへんですから。しかしこの変化は、否応なくやってきています。
 だったら私たちは、この状況をなんとか乗り切るだけの知恵を付けておかねばなりません。
 逆に言えば、この未曾有の大不況をうまく乗りこなして、より素晴らしい人生を生み出すための材料にしてしまおうという前向きな姿勢がいまや求められているいるのです。
 それこそが、新しいノマドの生き方なのです。

「新しいノマド」。そう、実はこれは「元祖ノマド」と決定的に異なる点が一つある。

元祖ノマドは、孤立(independent)な人たちであるのに対し、新しいノマドは、共立(interdependent)な人たちであるということ。彼らはオフィスには頼らない。しかし頼るべきものは未だかつてないほど多く、そしてそれらに上手にたよることによって、

オビより
さらば残業!さらば満員電車!

という生き方が、元祖ノマドのようなマッチョでなくても手に入るのだ。

以前私はこう書いた。

404 Blog Not Found:バイキング式のレストランで給仕を待つ君たちへ
食べきれぬほどの料理が手をのばせば届くところにあるのに、なぜ給仕が来ないことを嘆き続けるのか。

しかし、見えない人にはどこに料理があるのか、いくら目をこらしても見えない。本書は、それがどこにあるのか、そしてそれを手に入れるのにどういうマナーが必要なのかも、丁寧かつ具体的に紹介している。これが本書の「仕事術」の部分で、この部分に関しても「ひと月15万字書く私の方法」よりも優れている。ネット証券と日経テレコン21の「合わせ技」は、実になるほどであった。

もちろん、超えなければならない壁もある。その一番の壁は、著者の言うところの「アテンションコントロール」が出来るか否かだろう。これはかつて単なる必要条件の一つに過ぎなかった。しかし、いまやこれこそが必要十分条件。これさえあれば、あとはスマートケータイとノートパソコンさえあれば何もいらないのである。

法人も、いらない。

資金も、ほとんどいらない。

必要なのは、自らが自らの主となる心構えだけなのだ。

まだ信用できないって?

本書で、それを確認してください。

あなたにも、きっと出来ます。

著者にも、私にも出来たんですから。

Dan the Nomad