著者より献本御礼。

「何匹目のどじょうだよ」と思いつつ読んだら、なんとどじょうどころか大ナマズだった。それも震源地となる大きさ。

iPhone/iPod Touchをお持ちの方、本書を読みながら使ってみて下さい。読了前に元が取れます。まだ持っていない方、本書も入手して下さい。確実に元が取れます。何ならアップデートされたばかりのiMacかMacBookを「母艦」としても購入しても大丈夫、元が取れます。

本書「iPhone情報整理術」は、 iPhone ないし iPod Touch を、コストセンターからプロフィットセンターに変える一冊。そう。本書のノウハウを使えば、iPhoneが「儲けの道具」になるのだ。少なくとも、今まで浪費に相当した時間が投資に変わるのだ。

目次 - 書籍案内:iPhone情報整理術−あなたを情報“強者”に変える 57 の活用法!|gihyo.jp … 技術評論社より
Chapter01 iPhoneでつくるクラウド・オフィス
01 ファイルも紙書類もすべてiPhone に入れる
02 雑誌をiPhone で買って読む
03 名刺やカードの情報はiPhone に任せる
04 「超」整理法のファイルをiPhone に取り込んでしまう
05 ネットワーク・ストレージでiPhoneの容量を100ギガバイトにする
06 Air Sharing でiPhoneをモバイルディスクにする
07 裁断機とScanSnapで紙資源をすべてPDF化する
08 Good Reader で大容量PDFを楽に読む
09 iPhone のカメラを利用して本棚整理に解答を用意しておく
10 iPhone でクラウド・オフィスをつくるためのアドバイス
Chapter02 iPhone でゼロストレス仕事術
11 iPhone 上でのタスク管理のストラテジーを立てる
12 GTDとiPhone で理想のタスク管理システムをつくる
13 OmniFocus でGTDのワークフローをマスターする
14 Remember The Milk で高速タスク管理を実現する
15 Toodledo でタスクを立体的に捉えなおす
16 ToDoリストアプリケーションで紙いらずのタスク管理を実現する
17 Inbox Zero でオフィスに着く前に受信箱を空にする
18 Gmail のToDoリストで職場に着く前から仕事をスタートさせる
Chapter03 iPhone ユビキタス手帳術
19 iPhone でユビキタス手帳をつくる
20 Evernote でユビキタス・キャプチャー
21 iPhone でメモを高速入力する
22 80対20の法則で最重要人物をおさえたアドレス帳をつくる
23 Evernote で一歩進んだ人脈手帳をつくる
24 まずはカレンダーでスキマなく予定をうめてみよう
25 使い分けたいGoogle カレンダーとの連携法
26 いつでもどこでも録音する
27 「マネー手帳」で手間いらずの小遣い管理を
28 写真と動画で「今」をキャプチャーする
29 iPhone を手帳に使うならBluetooth ヘッドセットは必需品
30 iPhone とモレスキン手帳で全方位からのアイディアを捉える
31 Hipster PDA でiPhone の死角を埋める
Chapter04 iPhone でウェブを持ち歩く
32 iPhone でGoogle の力を引き出す
33 Instapaper でウェブページをあとでまとめて読む
34 iPhone でブログ記事を手軽に大量に読む
35 どんなにたくさんのブログを購読していても破綻しない3層式RSS整理法
36 ウェブのブックマークをすべてiPhone に入れる
37 1Password でパスワード管理を楽にする
38 「手順」や「やり方」の情報を手に入れるには動画サイトを活用する
Chapter05 出先でのiPhone 活用術
39 マップがあれば,すぐに動き出せる
40 駅探エクスプレスを使い込む
41 「食べログ」で知らない町でも通な食事処を探す
42 プレゼンファイルをムービーにしていつでもアピールできるようにしておく
43 出先から定型メールを一瞬で返信する
44 iPhone 以外の携帯電話と名刺交換をする
45 WifiTrack で都会のWi-Fiのオアシスを探す
46 ウェザーニュースタッチで雨雲をスマートに避ける
Chapter06 人生に近道を作るiPhone ライフハック術
47 テレビ・ラジオ・動画サイトのコンテンツをiPhone で持ち出す
48 電子ブックリーダーで未来の読書を先取りする
49 Audible で通勤時間を英会話教室に変える
50 iPhone + Twitter で情報ネットワークの「中」に入る
51 声で文章を入力する「音声認識メール」
52 White Noise で雰囲気を自在に操作する
53 Nike+ とRunkeeper でランニング戦略を立てる
54 バーチャル・クローゼットを利用して着まわしの達人になる
55 無理なく早起きできる理想の睡眠サイクルをiPhone でつくり出す
56 Weightbot で理想の体型を維持する
57 Daytum で日常のすべてを記録する
付録 さらにiPhone を使いこなすための17のテクニックとアプリケーション

その理由は、iPhoneをオフィスにしてしまうということ。可能な限りの情報交換をiPhone経由にすることで、情報交換にまつわるムリ・ムラ・ムダをなくしてしまえというのが本書の狙いだ。

本書はその点実に徹底して、iPhoneに収めていなかった、あるいは収めようとユーザーが思っていなかったものがどうやって「するり」とiPhoneに入るようになるのかをこれでもかこれでもかと提案する。「ここまでやるか」というものも多い。たとえばiPhoneで本を読むために本を祭壇してスキャナーにかけろ、など。正直本書に書いてあることを100%実行に移せるユーザーはさほどいないだろう。しかし本書の一割でも実行できればもうiPhoneの料金分--本体価格プラス2年分のキャリア代--ぐらいは元が取れる。しかもそれくらいなら、無料アプリだけで実現可能だ。

しかし、本書の真骨頂は、有料アプリと有料サービスをふんだんに使っていることだ。本書のすばらしいのは、それらが何をして、どんな価値を持ち、何が出来るかをきちんと紹介していること。無料に慣れた我々にとって、有料というのはこれまでになく敷居が高いが、その敷居を乗り越えさせるだけの力が本書にはある。

余談ではあるが、iPhoneにあってAndroidにないのは、本書に限らずユーザー自身による具体的な利用法の提案だろう。その意味ではAndroidファンにも、「敵研究」のために本書は必須ということになる。

iPhoneだけではなく、iPod Touchでもかなり使えるのも本書の魅力だ。ランニングコストがかさむこと、キャリアのカバー率が社長の頭髪なみに薄いこと、お財布ケータイではないことなどを理由に iPhone までは踏み切れず、iPod Touchを使っている人もまだ多いだろう。本書のノウハウは、カメラと音声入力が必要なもの以外はほぼ全て iPod Touch でも使える。

iPhoneは、何の説明を受けなくてもある程度使えるようにはなる。しかしそこから積極的に便益を引き出そうとすれば、本書のようなノウハウがあった方がいい。「仕事するのにオフィスはいらない」の佐々木俊尚も相当なものだが、本書のiPhoneの仕事道具化の度合いはまじぱねぇ。

ここまでiPhoneを活用したら、「SOHOノマド」、すなわち主に自宅や自分のオフィスで仕事をして時々出かけるというタイプの人はノートパソコンがいらないのではないか。むしろ「母艦」はデスクトップにした方が使い分けがより鮮明に分かれてよいのではないかとすら感じた。画面だって今度のiMacからは、最低でフルHD。MacBookでフルHDが欲しかったら最高かつ最重の17インチを選ばなければならず、価格差も倍以上となる。それならば集中的に仕事をする時にはiMacでやり、それ以外はiPhoneで済ませるというのも本書の読了後は可能に思える。

Appleが好調なわけだなあ。これだけ利用者が好調になってしまうのでは。

Dan the (iPhone|iPod Touch) Owner