PHP田畑様より献本御礼。

一言でいうと「メシウマ」な一冊ということになるだろうか。

おひとりさまの老後」のように開き直る強さもなく、さりとて「負け犬の遠吠え」のようにないものねだりするずうずうしさもない、「毒女」たちの真実がここにある。

だからといって彼女たちにはまるで同情できないのだけど。

本作「おいてけぼりの毒女です」は、自らも「毒女」=高齢独身女子である著者が、毒女たちの実体をゆるく苦く描いたエッセイ漫画。

彼女たちが毒女である理由は、おおまかに二通りあるようだ。

男は苦手派と、気に入った男が見つからない派。

前者はさおりん(30)と著者自身(35)、後者は花子(30)とおキャン(35)。

いずれにせよ、未来への漠然とした不安と、それ以上に強い現在を失う恐怖をかかえているという点がこの両者に共通している。

本書はこの四人のだべりを中心に展開していく。なんとなく"Sex and the City"(SATC)を彷彿とさせる設定だ。ただし、独女でも、SATCの4人は狼であるが、本書の4人は犬である。本書にも"Sex and the City"が、ロールモデルとして登場する。しかし彼女達が見ているのはうわべだけだ。きちんと見ればこうなるのに。

ここでは「折れそうな心の鍛え方」より、同映画の感想を引用させていただく。厳密にはその草稿となったメールマガジン「ガッキィファイター」からであるが。


このドラマは6シーズン続き、4年間の空白を置いて、初めて映画化されました。全米でも日本でも大ヒットしています。「下ネタを赤裸々に語り合う恋多き女4人」という異例の連作ですが、最大のテーマは「恋」や「セックス」ではなく「友情」であるように思えます。

 ドラマの初回からすでに約10年が過ぎました。かつて30代だった4人の女たちは、この映画では40代になっています。自分の裸体を大皿に見立て「寿司の女体盛り」をやって若い恋人へのサプライズを試みるサマンサは、もうすぐ50歳(女優の実年齢は52歳!)です。

 辣腕弁護士ミランダは、ドラマの初回では40歳という設定でしたから、今は50歳のはず。そのミランダは劇中2回も「濡れ場」を見せてくれるわけで、立派といいますか、すごいことですよね。

 そのミランダはドラマのなかで年下のバーテンダー(スティーブ)と出会い、結婚して一児をもうけておりましたが、その子もすくすくと育っています。

 さて、何と「半年ぶり」に夫婦でセックスをしている最中、夫は妻に「体位を変えてもいい?」と尋ね、妻(ミランダ)はこう答えたのでした。「私は仕事が忙しいの。早く(今の体位のまま)イッちゃってくれる?」

 その後、夫(スティーブ)は一夜だけの浮気に走ってしまいます。しかも、その事実を妻(ミランダ)に告白。この手の告白は、一般的には小心者の偽善とされるところですけれども、今回に限って我々はスティーブに少しだけ同情したくなります。

 ミランダは、まったく迷うことなくスティーブと別れることを決め、ひたすら夫の欠点をあげつらいます。悪いのは夫だ。もともと低収入だし、マナーもなっておらず、働く時間帯も違うし、彼は楽天家すぎる。義母も認知症ぎみで、わずらわしい――。

 半年あまりが過ぎ、カウンセラーを介して、「もう一度やり直す」なら結婚を誓い合った場所(橋)で時刻を決めて落ち合う、という話が成立します。

 もし、橋にどちらかが来なかったら離婚が成立、というその直前。

 喫茶店でミランダは、夫の「短所と長所」をノートに書き分け始めます。

 いくつもいくつも彼の短所と長所を書き連ねたあと、ミランダは目を閉じ、こう気づく場面があります。

「彼から見たら私こそ欠点だらけだ」

「SEX AND THE CITY」は軽薄な映画に思われがちですが、幸福や成長とは、「気づき」の先にあるのではないかと深く思える、なかなか感動的な映画でした。

「彼から見たら」。本書の4人にないのが、まさにこの視点だ。

著者たちにないのは、「今の自分を、今の自分は嫁に欲しいだろうか」という単純にして明快な自問である。彼女達は何を得られるかばかりを気にして、何を与えられるかを全く考えていない。

婿を得ようとするから婚活に失敗するのだ。

読めたる自分を差し出そうとすればすぐなのに。

これは、男女を入れ替えても成り立つ。

My fellow singles: ask not what your mate can do for you. Ask what you can do for your mate.

Dan the Husband