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これを見て気がついた。

我々が、一番重要な違いを一番あっさり見落としていることに。

「ほとんどの人々」ではない。私も見落としていたので。「私」でもない。見落としていたのは私でもないので。

blogとtwitterの一番の違い。それは前者が一般名詞であり、後者が固有名詞であるということである。blogはサービスの総称であり、twitterはTwitter, Incが営むWebサービスである。(余談だが、ja.wikipediaではまだ Obviousが運営していることになっているがこれは古い。en.wikipediaは現状を反映している)blogとtwitterを同列に語るのは、「偶数」と「404」、あるいは「アメリカ人」と「小飼弾」をを比較するようなものだ。

それがおかしいのは、小学生でもわかる。比べるのであればたとえば bloggers.com vs Twitter であったり、blogs vs microblogs でなければならない。しかし、Twitterという名詞は今やこのことを忘れるぐらい一般化している。少なくとも利用者の間では。

これは、何を意味しているか。

microbloggingサービスにおいて、TwitterはかつてどんなWebサービスも享受出来なかった寡占状態にあるということだ。検索ですら、Googleのシェアは7割に満たない。「ぐぐる」は一般動詞化したものの、Googleが駄目でもBingもある。SNSだって Facebook ばかりではなく、myspace だって LinkedIn だってあるし、日本においても mixi もあれば gree もあるという状態だ。ましてや blog ともなれば、覚えきれないぐらいサービスがあるし、 Movable Type や Wordpress で自営している bloggers だって少なくない。

しかし、こと「つぶやき」に関しては、Twitter だけなのだ。

"All your tweets are belonging to us".

という状態に、Twitterはある。

もちろん Twitter に類似するサービスはゼロではない。おそらく本記事には「○×涙目」というコメントやTBやtweets -- そう、twitter 上での書き込み --が着くだろう。そういう人は重要なことを忘れている。

blogは引っ越せるが、TL = Timeline は引っ越せないのだ。

Twitterが気に食わないから、別の microbloging サービスに引っ越すということは現状できないのだ。自分の発言だけなら、今でもいくらでも抜き出される。実際私も 404 Hatena::Diary not Found に前日の発言録が残るようにしている。 blog であれば、引っ越しに充分なデータなのだが、しかし tweets はそうは行かない。 Timeline があって、はじめて成り立つのだから。誰を follow し誰に follow されているのかまで伴わなければ、それは引っ越したことにならない。

こういう状態で、 Twitter がある日突然あなたのアカウントを抹消したら一体どうなるのか。

Google八分なんて目じゃないことになるのは明らかだ。

Twitterのネットワーク外部性の強烈さは、@isologueも指摘している。

isologue - by 磯崎哲也事務所: 「格差」を生むTwitter
私から見ると、遠い星ほどすごい速さで遠ざかる「赤方偏移」みたいなもんで、追いかけても追いかけてもますます差が開いて行く感じ。先頭集団から放たれる光は赤外領域に入って、既に可視光ではよく見えません。(笑)
つまり、「みんなに平等にチャンスがある!」という、インターネットにありがちなパラダイス的幻想はよくも悪くも存在せず、現実社会と同様の「格差」があって、現実世界と同じ悲哀が漂います。(笑)

しかし @isologue の慧眼でさえ、 twitter の寡占がどれほど「ありえない」ものなのかを見落としていたのだ。いや、自身も tweeter だからこそ、見落としたのだろう。

弾言しておこう。

このまま行けば、twitterはWeb、いやインターネットにおいて最も独占度が高いサービスになる、と。

Dan the (blog|tweet)er