東海大学出版会 田志口様より献本御礼。
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!
待っていた、待っていた、待っていた。
この本の復活を。
願わくば、「小飼弾が選ぶ最強の100冊+1」の前に復活してほしかった。入手困難だったので泣く泣く外したのだけど、最強の100冊が10冊になっても本来入っていてしかるべき一冊。
なのにAmazonときたら、「この本は現在お取り扱いできません」だと?
すぐに在庫されると思うのでリンクしておくが、念のために東海大学出版会も併記しておいたので待てない方はそこから注文してほしい。
本書「オイラーの贈物」は、
はじめに唯一の式 -- オイラーの公式:eiθ = cos θ + i sin θ
を理解することを目標に、基礎的な数学全般の学習が一人でできるように工夫した、全く新しい形式の入門書
である。そう著者が本書の初版でいい切ったのは、1993年6月。15年あまりたった今もこのことは全く変わりないことは、初版もちくま学芸文庫版も、5,000円以上の中古価格がついていることからも伺える。
それだけ出しても、実はいいのである。なんたってこの贈物はプライスレスなのだから。
目次 - 東海大学出版会|書籍詳細>新装版 オイラーの贈物より
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しかし、5,000円というのは、専門書を買い慣れた人であればとにかく、本をあまり買わない人にはあまりに高い。本書の主読者たる中高生ともなればなおのこと。専門書を主に出版している東海大学出版会が、500ページを超える本書を、文庫ではなくA5版で税込み1,890円で新装してくれたことに全人類を代表して感謝したい思いだ。
おそらく全人類的に現在最も知られている数式は、 E = mc2 であろう。これは実際においてv=0の特別な場合であるのと同様、上記の式をθ=πとした時に得られるのが eπi = -1 である。その簡素さにおいて E = mc2 に劣らず、それよりも2世紀以上前に発見され、そしてその応用範囲の広大さにおいて遥かに凌駕するこの式がそれよりも知られていないのは、実に、あまりにもったいないことである。
この式は、実は高校数学の頂点にして、大学数学の出発点にもなっている。ただし、必ず教えてもらえるわけではなく数学を選択した場合のみ教わる式である。これは日本のみならず、米国でもそうだった。
なんと、もったいない。
この式は、成人後の数学好きと数学嫌いの分水嶺にもなっている。これの前に挫折すると、本当は好きなのに数学嫌いと勘違いしたまま残りの人生を過ごしかねない。我が妻がまさにそうだった。これに至る過程で通る三角関数でつまづいたのだ。しかし、この式までたどりつけば、三角関数は、小学生にとっての鶴亀算が中学生には連立方程式でバターをナイフが切るかのごとくずっと簡単に解けるのだ。
そして、この式を乗り越えてしまえば、たとえ専門家でなくとも、大人になった後でも数学好きでいられる。
本書は、これから「大人」になろうとしている人々と、つまづいて「大人」になり損ねた人のためにある。
この式を知らずして死ぬのは、セックスを知らずして死ぬのに匹敵するもったいなさだと謹んで弾言していただく。そしてセックスがそうであるように、何度愛でてもこの式の美しさは変わらない。いや、萎えても枯れても朽ちぬという意味ではこちらの方が上かもわからない。人類の至宝、いや、数学は超人類的な価値を持つはずなので全知的生命体の至宝である。
何よりすばらしいのは、この至宝は何人たりともひとりじめ出来ないこと。その美しさを愛でるには、ただその見方、感じ方を知ればよいのである。本書はまさにそのためにある。まだその美しさを知らぬ人も、そしてすでに知る人も、存分に味わい、感じ、そして愛でて欲しい。
This is the one!
Dan the Mathphile
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