そう。定義。
Tech Wave : 日経の電子新聞は成功するか失敗するか日本経済新聞の電子新聞事業は成功するのか失敗するのか。結論から言うと、何をもって成功、失敗とするのかという定義にかかっている。
結論から言うと、日経電子版はすでに成功している。
失敗そのものが、目的なのだから。
この価格設定、行動経済学の観点からすると大変興味深い。昨年のベストセラー『予想どおりに不合理?行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』にまさにぴったりの事例が紹介されているので、未読の方の為に紹介したい。
一見日経電子版の価格設定は、同書にも登場するエコノミストの価格設定に似ているが、決定的な違いがある。
エコノミストのそれは、ウェブ版の価格は印刷版を下回り、印刷版の読者は事実上ゼロ円でウェブ版も購読できる。しかし日本経済新聞は、ウェブ版の価格は印刷版を上回り、印刷版の読者もウェブ版に別途料金を支払わなければならない。
これは何を意味するか。
「電子版は、読まないでください」ということだ。
日本経済新聞電子版の価格設定から透けて見える日経のホンネ - A Successful Failure
- 日経Wプラン(宅配+電子版):月ぎめ購読料(3,568円/4,383円)+1,000円
- 電子版月ぎめプラン:月額4,000円
- 電子版登録会員(特ダネ+見出しのみ):無料
この選択肢を見て1番目と2番目では明らかに1番目の方がお得に見える*2。実際、3番目の無料の電子版登録会員でも良いのかも知れないが、月に4,000円以上払う価値が日本経済新聞にあるかどうかは難しい問題ですぐには答えが出ない。しかし、1番目と2番目なら断然1番目だ。
目が腐っているとしかいいようがない。
- 日経印刷版のみ:3,568円
こそが、最良の選択なのだ。懸命なる購読者がそれを見逃すはずがない。
そして、日本経済新聞社の経営陣も、また。
彼らは心底願っているのである。
電子版の、失敗を。
私は同社の社内事情は知らない。しかし「守旧派」と「革新派」がいることぐらい外から眺めていてもよくわかる。「守旧派」の立場から見て、「革新派」にどうしてもらうのが最もよいか。
外から見ても見逃しようのないほどの、失敗をしてくれることだ。
「守旧派」は、価格設定だけでそれをやってのけた。
Steve Jobs も首肯するだろう。
電子版の出来不出来なんぞ、刺身の上にタンポポが乗っているかどうかの違いでしかない。
さすが日本経済新聞。もっとも経済的な手段を選択している。
問題は、新規購読者候補にとって何を意味するか、だ。
何も、意味しない。
彼ら--私もそのうちの一人なので、最もよい選択は、
- 日経新聞読まない:0円
なのだ。
先日献本いただいた「マスコミは、もはや政治を語れない 徹底検証 「民主党政権」で勃興する「ネット論壇」」で、著者の佐々木俊尚なマスメディアの機能不全を嘆く一方、マスメディアの退行によって生じる真空をネットがきちんと埋めきれていないことを懸念している。日本経済新聞社は、その空隙をうまく利用するだけのポテンシャルがあった。
「革新派」が、勝利していれば。
しかし、見てのとおり、彼らは敗北した。
それこそが、同社--の経営の権限と責任を持つ者--の望みだったのだから。
これは他社にとって実は千載一遇のチャンスなのだが、競争よりも協調--という名の談合--を好む日本の他社に、日経電子版のスタッフを引き抜くことは期待できないだろう。
やはり2011年を待たずしてマスメディアは終わっているのである。冥福を祈る。
Dan the Smartest Chooser

3月9日に、自分のブログの"Bloga Enneagramica"を立ち上げるつもりです。
これからもよろしく。