100円で本をスキャンしてくれるサービスが話題だ。

で、例によってそれって合法?という問いがなされている。

で、この議論では「それって違法じゃね?」という結論が出ているのだけど、ちょっと待っていただきたい。

ブックスキャン代行サービスが著作権法違反だという主張の根拠は、以下に集約されるようだ。

残念ながら現状では複製代行サービスは難しい | 栗ブログ
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。) は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、 その使用する者が複製することができる。(略)

要は本人が複製していないからダメというわけなのだが、それ以前にブックスキャン代行サービスはそもそも複製なのだろうか。

私は、否だと考えている。

なぜなら、原本が元の形をとどめないからである。

複製というからには、元の本は無傷でなければならないはずだが、BOOKSCANに限らずブックスキャン代行サービスにおいては本は裁断される。もうこの時点で、本はばらばらの紙となり、元のようには読めなくなってしまうわけだ。

友人に本を貸したら、ばらばらになった紙束が戻って来たら、あなたはそれを「返した」と見なすだろうか?

たとえばここでスキャナーにかける前に、穴をあけてリングバインダーにはめるサービスがあったとする。これは著作権法違反か?Noである。これは本の再装丁に過ぎない。それさえ許されないというのであれば本にサインをしてもらうことすらままならないことになる。本の所有者にその本を自由に加工する自由があるというのは著作権法以前の話である。

ブックスキャン代行サービスというのは、本の複製ではなく本の加工に相当するのではないか?

実際 @bookscan_jp は本への書き込みまで含めてきちんとスキャンすることを謳っている。あくまで個人の所有物を、データへ加工するのが同社の仕事であり、ある本を一冊スキャンしたら同じ本のスキャン注文が来た際に以前スキャンしたデータをコピーして渡すがごときは一切行わないことをTwitter上を明言している。

大事なことなので繰り返す。

複製というのは原本がそのまま無傷で残るからこそ複製なのであって、裁断された紙の束を「元どおりの本である」ということにこそ無理がある。Googleがやっているように非破壊的な手段でスキャンする方法であればとにかく、裁断を必要とするブックスキャン代行サービスは複製とは呼べない。

残念ながら現状では複製代行サービスは難しい | 栗ブログ
元々の立法趣旨がダビング業者によって私的使用目的の複製に歯止めが利かなくなることを防ぐことにあったので、もし権利者側から物言いがあれば著作権侵害とされる可能性はきわめて高いです。

CDやビデオテープはダビングできるが、本は本のままではダビングできない。ダビングできるのはデータになった後であり、そしてブックスキャン代行サービスがやるのはその前の段階までである。

ましてや著作権を有するものが、これによって失う権益はまるでない。むしろ古書店に売ることが出来なくなる事を考えれば歓迎すらするべきとすら言える。

いかがだろうか。

私自身は、ブックスキャン代行サービスというものは極めて「後ろ向き」なサービスと考えている。本当ははじめから電子化されたものが「流通」するのが一番だし、それほど待たずにそうなる時代がすぐそこに来ている。その一方、こういう時代の端境期には「つなぎ」となるサービスが切望されているのも事実であり、私自身、今や手元にない分も含めると三万冊は超えるであろう私の蔵書を、一部を残し全部同社に送って電子化してもらう強い誘惑にかられている。

Dan the Bookworm

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