一蹴するまでもない。
フリーソフトに社会的責任がナンセンスなら、無料サービスにも社会的責任はあり得ないですよね。: CONCORDEだったら、それこそTwitterのような無料サービスに対しても、社会的責任を求めたり、そこの無料ユーザーが社会的責任を前提にした『真顔案件』──政治活動とか災害速報とかビジネスとか──に使おうとあれこれ画策したりすることにも、当然に「ありえない!」と一蹴しますよね?
すでに一蹴されているのだから。
Twitter, Inc. 自身によって。
Twitter / Twitter Terms of ServiceYou understand and agree that the Services is provided to you on an “AS IS” and “AS AVAILABLE” basis. Without limiting the foregoing, TWITTER AND ITS PARTNERS DISCLAIM ANY WARRANTIES, EXPRESS OR IMPLIED, OF MERCHANTABILITY, FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE, OR NON-INFRINGEMENT.
"You understand and agree"とあるのだから、ユーザーは全てこのことを了解したことになっている。
たとえ大震災の間にTwitterがクジラ釣りにいそしんでいても、Twitter, Inc. を責めるのは筋違いということになる。
で、夜フクロウの方だけど、配布ページには一応こう書いてある。

おことわり
開発者@aki_nullと@seabreamは、貴方、その他の第三者が本ソフトウェアに関連して直接間接に蒙ったいかなる損害に対しても、賠償等の一切の責任を負わず、かつ、貴方はこれに対して@aki_nullと@seabreamを免責するものとします。
のだけど、肝心の配布物本体の方に、これが見当たらない。夜フクロウの場合にはREADMEなど抜きでアプリケーション単体で配布しているし、初回起動ではいきなりtwitterのIDとパスワードが出て、それを設定しないとアプリケーションは終了してしまうし、それらを設定して[About YoruFukurou]しても、右の画面が出るだけ。これはいささか脇が甘いのではないか。「おことわり」を「見せたことにしておく」工夫をした方がいいのでと申し上げておく。
ちなみに、Google Chrome は、こう。

Terms of Serviceをクリックすると、 about:terms
として「例の了解したことになっている文言」が表示される。
で、ここまでが前置き。
本題は、「じゃあ社会的責任って誰にあるの?」ということ。
「的」って「の」の事だから、s/的/の/g
とすれば、「社会の責任」ということになる。
じゃあ社会ってなんだ?
少なくとも、Twitter, Inc.のことではないよね?
そこにおいては、場の提供者も社会の構成員の一人に過ぎない。その意味では100%無責任ではないということにはなるけれど、100%責任を負うというのはもっとおかしいということになる。場の提供者の責任が仮に1%だとしたら、99%おかしい。
で、「責任」という言葉。
英語だと、 responsibility の他に liability という言葉がある。Terms of Service に出てくるのは後者の方。前者と後者の違いはなんだろう?
答えを言ってしまうと、それは被害を弁済する義務があるかないか。 liability の方にはそれがある。 responsibility の方にはそれがあるとは限らない。実は日本語にも「責務」という言葉があるので、本当は使い分けるべきなのだろうけど、英語の responsibility も、日本語の責任に似て liability の意味を含んでいることがあるので、使い分けなければならない「責務」まではないと思う。
では、 liable でない人が responsible ではあることがあるのか?
これは、ありだと思う。
Twitter自体、そのように振る舞っている。
ASCII.jp:Twitterとイラン騒動、ネットとメディアに何が起きたのかなお、米国務省もTwitter社に対してイランでの情報流通が得られるよう、メンテナンス中止を要請したと伝えられています。米国はイランとの国交がないため大使館が存在せず情報を直接得ることができないため、国務省ではインターネット特にTwitterやFacebookのようなサイトで情報収集をしているとのことです。
なおTwitter社は国務省の介入によりメンテナンスを延期したわけではなくあくまで自社の判断で決定したと伝えています。
責任を「負う」義務がなくても、責任に「応える」(respond)権利はある。
それが、ベストエフォートということではないのか?
責任を負わせる義務を課すより、責任に応える権利を各人に積極的に行使してもらったら、結果として「責任を果たせる」システムが出来上がった。というのがソーシャルメディアなのではないか。
「応え合う」ことでで動いているシステムで「責任を負え」というのは、それこそ空気嫁ならぬライセンス嫁ということになるだろう。だからそういうシステムを担っている人は、「ライセンスどこ?」と聞かれぬようにはしておいた方がいい。
これ、実は実名匿名問題にもつながるのだけど、話が長くなったのでそれは別の機会に。書く義務ないので(笑)、権利行使は後回し。
Dan the Liability-Free
初心者に扱うのが難しいのものには、マニュアルとフールプルーフを用意し、かつ、専門家に対してもトラブルシューティングを容易にするという風に。
みんながそうしていけば、あまり、険しい責任問題は少なくなるのではないでしょうか。