洋泉社依田様より献本御礼。

率直に申し上げると、私は本書を読んで自民党に投票しない決意を新たにした。

と同時に、著者にはぜひ本書のタイトルのとおり自民党を立て直して欲しい。

それって矛盾?

それって民主主義。

本書「私が自民党を立て直す」は、与党に輪をかけて混迷の度合いを深める自民党の今や「唯一の希望」にも見える、自由民主党議員河野太郎の主張。

目次 - 私が自民党を立て直す - 株式会社洋泉社 雑誌、新書、ムックなどの出版物に関する案内より
はじめに
第一章 自由民主党を変える
冷戦終結時に党のビジョンを再定義すべきだった
野党となった今こそ、自民党の目指すところを鮮明に
「小さな政府」がなぜ必要か  ほか
第二章 日本の存在感を上げよ
日本の労働生産性を上げるために規制緩和は必須
アジアの内需を日本の内需に
女性のM字型の就業率の落ち込みを防げ  ほか
第三章 温かい小さな政府を目指そう
「温かい小さな政府」とは?
与野党の有志7人で合意した年金制度改革案
消費税を財源にした国民年金制度はこんなに合理的  ほか
第四章 元祖事業仕分け人として
「無駄遣い撲滅なら河野太郎がうってつけだろう」
河野チーム、事業仕分けを取り入れる
「やめさせろ」という反対の声を押し切って、事業仕分けを始める  ほか
第五章 外交政策をどう考えるか
十数兆円を超えるコストをかけて、必要のないプルトニウムを取り出す?
使用済み核燃料を再処理工場の貯蔵プールに運び入れるための口実
莫大な広告宣伝費を使う電力会社に配慮して、もの言えぬマスコミ  ほか
第六章 日本を本当の民主国家にするために
なぜ候補者は連呼するのか―だれも知らない公職選挙法
「インターネットは選挙に活用できない」は本当か
議院運営委員会のシナリオ通りにしか進まない本会議 ほか
おわりに

それではなぜ反対か。

実のところ賛成の政策の方が多いが、最も大事な「温かい小さな政府」が若者によりあたたかいものに見えて、実際はより冷たくなることを知っているからである。

著者は消費税を基礎年金の財源にすることを主張している。

P. 70
慶応義塾大学の土居丈郎教授によれば、世帯主が四〇歳代の世代では二割近くが年間一〇〇万円を超える社会保険料を納めているのに比べ、高齢世代の約五〇%が所得税も住民税も納税額がゼロである。つまり所得税や社会保険料で国民に負担を求めると、若年世代の負担が大きくなる。
しかし、高齢世代もその二割強が、年間二〇万円以上の消費税を負担している。消費税は、所得税と比べて、若年世代と高齢世代の支払額の差異が小さくなっている。つまり、世代間格差を是正するためには、所得税や社会保険料を減額し、消費税率を高くする方が理にかなう。我々が提案する年金制度改革も、国民年金の保険料を廃止し、基礎年金を全額消費税でまかなうという提案になっている。

世代間格差を是正という目標に私は賛成するが、その手段として消費税というのは実に筋が悪い。そもそもフローでフローを賄うというのがフローに対する抵抗として働くことは「経済物理学の発見」も指摘するところだし、逆進性が現在の5%でも重くのしかかることは「404 Blog Not Found:ワープアのあなたが消費税アップに断固反対するべき理由」で私自身論考した。

私が代わりに「働かざるもの、飢えるべからず。」や本blogで提案しているのは、ベーシック・インカムによる年金の一般化と、社会相続によるストックのフロー化。こちらの方が若者も老人も持てるものも持たざるものも痛みが少ないと私は考えている。著者が本書で資産課税に関してほとんど言及していないのは、著者が二世議員だからだろうか?

他の政策はむしろ賛成のものが多い。がやはり最重要の政策に賛成できない以上、一票を投じることは出来ない。

しかし、私は本書に対してこうして反論を述べることが出来る。本書の論旨が明確だからだ。

そう。著者であれば、政策を議論できるのだ。

著者に自民党を立て直してもらいたい理由は、「まずは議論にしよう」ということにつきる。

ところが、今までの自民党の主張というのは、反対すらできないほど政策があいまいだったのだ。だから政局で終止してしまう。これは自民党ばかりが悪いのではなく、政策より政局を好んで報道してきたマスメディアと、それをマスメディアに望んだ有権者も悪いのだが、政党の存在意義が「まとめることに」あるのだとしたら、「悪い」の「源流」は、やはり自民党にあるとするべきだろう。

著者は、はっきり「悪かった」と言っている。

著者ほどはっきりそう言っている自民党議員を、私は知らない。

自民党の命運は、この人に立て直しをまかせられるかどうかなのかも知れない。

Dan the Taxpayer