中公新書編集部より献本御礼。
これはすごい。
おそらく新書として上梓された作文指南術中、最強の一冊。「書きたい」ブロガーから「読ませたい」ブロガーになりたい人必携。必読でなくて必携。読む本ではなく使う本だから。
拙著「新書がベスト」で、私はこう書いた。
【小飼邸動画アリ】「新書がベスト」小飼 弾:マインドマップ的読書感想文 - あえて孫引き短いタイトルほどダメ本率は低い傾向があります。形容詞が少なければ少ないほど、そして単語に近ければ近いほど、特に新書では当たりが多いようです。
本書「日本語作文術」は、まさにそういう一冊。普通名詞タイトルは岩波と中公が双璧で、まさに面目躍如。
目次- 定型表現を使いこなす - 日本語語彙道場
- オノマトペを見直す
- 慣用句を見直す
- 説得力をマス殺し文句 - 名言・格言・諺
- 舵取り表現を使いこなす
- 作文術の心得 - 短文道場
- 書き言葉は「外国語」
- 書くとは「引用」
- 文書指南書の教えを鵜呑みにするな
- 定型表現のリサイクル
- 短文で分かりやすく
- 文の単位は長い順に並べる
- 修飾語は曲名
- 読点の打ち方に決まりはあるか
- ハとガの使い分けのポイント
- ハとガの微妙な関係
- ハは変幻自在
- 日本語は主観的言語
- 日本語の論理、ヨーロッパ語の論理
- 「和文和訳」で表現力を高める
- 文をまとめる - 段落道場
- 文から文章へ
- 段落とはなんだろう
- 結論を先に
- 段落の流れ
- 段落の分割
- 段落を組み立てる - 論証道場
- 「強い」論証と「弱い」論証
- 人は「権威」に弱い
- 演繹論証
- 演繹法か帰納法か
- 起承転結は実用文向きではない
- 仕上げの注意点
「非論理的な人のための論理的文章の書き方入門」でも、「伝わる文章」にはたどりつける。その意味で本書はまさに「教科書として配られるべき本」なのであるが、「読ませる文章」となると同書では足りない。本書が提示するのは、まさにその方法だ。
それがいかに読ませるものであるかは、目次からもある程度推察できる。秀逸なのがそのフォーマット。最終章「定型表現を使いこなす - 日本語語彙道場」は、横書で後ろから読むようになっている。これは拙著「空気を読むな、本を読め。」でも採用させてもらった手法で、「読ませたい」部分と「使わせたい」部分をわけるのに最強の手段の一つだ。
本書に出てくる事例も、これまた読ませる。なにしろ最初の例が、これである。
P. 3(1) ユーとアイはトゥモローにトラヴェルする。
ルー語だって、立派な日本語で、しかも充分「伝わり」充分以上に「読ませる」のである。アビューズすればノットソーであるが(笑)。
必要にせまられて書く文章であれば、「非論理的な人のための論理的文章の書き方入門」で充分であるが、必要にせまられていない人まで引きつける文章となると本書がいる。そしてブログというのはまさに必要にせまられない読者に読ませる文章である以上、私はこれを手元におかずにはいられない。あなたもぜひ。
Dan the Blogger

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