集英社新書編集部より献本御礼。

昨今の著者は疾走という名の迷走に陥っているように見えて少し心配していたのだが、本書で本道に戻った感がある。本命。

と同時に、数多の著者の本の中で、最も多様な人に訴求する一冊。

預けるほどのお金がない人も、年収効率を10倍アップする必要を感じない人も、そして勝間和代を目指さない人々でさえ、不幸を避けたいという点では一致せざるを得ないのだから。

本書「不幸になる生き方」の要諦は、幸福の技術は学習可能であるということにある。幸福の科学はひいき目に見てもガセとしか言いようがないが、幸福の技術はガチである。

目次
プロローグ
不幸になる生き方を知ることが、幸福になる近道です
【全体理論編】
第1章 不幸のループから抜けられない「他責の人」
第2章 自責(自己責任)とはリスクの川を渡ること
第3章 他責の人はなぜ失敗を嫌うのか
【個別理論編】
第1章 有責の法則 - 責任をとらない人は、自ら不幸を作る人です
第2章 双曲の法則 - 目の前の利益にとらわれると、自ら不幸を招きます
第3章 分散の法則 - 幸せは一つのカゴに盛ってはいけません
第4章 応報の法則 - ネガティブなことはすべて、自分に返ってきます
第5章 稼働の法則 - ずぼらな人は、不幸なひとです
第6章 内発の法則 - 人と比べると、どんどん不幸になります
第7章 利他の法則 - 人への幸せこそが、自分への確実な幸せです
おわりに
参考文献

それでは幸福の技術とは何か。

不幸の回避術である。

なぜ、それが幸福の技術となるのか?

我々には、不幸しかわからないからだ。

働かざるもの、飢えるべからず。」P. 213

小飼 …一般的にはまず、幸福といい、不幸という。幸福の方が先にあって不幸という言葉ができたのかもしれませんが、私にはこれがピンとこないです。不幸というか、痛いことや嫌なことというのはよくわかるんです。一方、幸福とはそういうことがない状態としか言いようがないのではないかと思うのですが。

スマナサーラ そのとおりです。私たちに理解できるのは、不幸だけなのです。

本書は、この引用からはじまる。

マキャベリ語録」の最後の一言
天国への道を知る最良の方法は地獄への未知を探求することである

そして著者が地獄を探求した結果まとめたのが、7つの個別理論である。ここの理論は別に新しいことではないし、私自身本blogで断片的に書いている。正直本blogを自分で読み返したような気分になった。我田引水してみる。

有責の法則 404 Blog Not Found:結局自己責任が一番安上がり
なぜ搾取しているか?
搾取を甘んじて受け入れる者たちに不足していないからだ。
双曲の法則 - 「弾言」第一章
金持ちになれる人は例外なく、嫌いなものから食べますし、面倒なことイヤなことは先に片付けます。別の言い方をすれば、うまいものを食べられるという明日を信じているから、今まずいものを食べられる。今うまいものを食べる人は、明日を信じていないともいえます。どちらが世の中をよくするかといえば、明日を信じて約束を守る人です。世の中の全員がそうなるのは難しいでしょうが、約束を守る人が十分いないと世の中は回りません。
分散の法則 404 Blog Not Found:責任の流動性
結局何のために我々は組織を作るのかと考えると、責任の負荷分散がその一番の理由になるだろう。
応報の法則 - 404 Blog Not Found:匿名に関してそろそろまた一言言っとくか
匿名発言は、アカウンタビリティゼロ。それが誹謗中傷であれ美辞麗句であれ。
稼働の法則 - 404 Blog Not Found:プログラマーって本当に労働者なのか?
そもそも、プログラムは工業製品とはいえない。むしろ芸術品に近い。優れたプログラマーほどそのことをわかっている。だからプログラマーが労働者としての権利を主張するのは、作家が労働者としての権利を主張しているような違和感がどうしてもつきまとう。
内発の法則 404 Blog Not Found:幸福の第一原則
しかし、譲渡不可能なものにいくらケチをつけても、君はそれを手に入れることは出来ないんだよ。いいかげん気がつけよおまえら。
利他の法則 404 Blog Not Found:オープンソースプログラマーの利己的遺伝子
「利己的」の反対は「自虐的」ではなかろうか。

しかしまとめには、まとめてあることそのものに価値がある。まとめに価値がないという人は、マックスウェル方程式 = Maxwell Equationsにも価値を認められないことになる。本書のまとめは、そういうまとめである。

P. 250
私は今、自分の5年前、10年前のときと比べると、幸せだと胸を張って言うことができます。それは、自分自身にスキルがついたことと、そのスキルを使ってほかの人にありがとう、と言ってもらえることができるようになったためです。

読者諸君、大いに盗むべし。

幸福も技術も、盗むことは出来ても奪うことは出来ないのだから。

Dan the Happy Blogger