著者と出版社よりそれぞれ献本御礼。
通常であれば一冊余計と思うところであるが、本書に限って言えば妻と私それぞれに献本いただいたとうれしく解釈できた。
これこそ真の意味での「勝間和代を目指さない」生き方にして、勝間和代に出来なかった生き方。
苦しい時代も二人で働けばリスク半分、チャンス二倍
それを知る、あるいは思い出すためだけでも、本書は解である(誤字にあらず)。
本書「夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術」のキモは、「600万円」でも「時代を生き抜く」でも「お金管理術」でもなく、「二人」で、である。
これが、ありそうでなかった。
目次
|
|
「600万円」という「マジックナンバー」そのものは、夫婦としては失敗した「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド」にも登場するし、「お金管理術」に関してはもっとよい本がいくらでも出ているし、「時代を生き抜く」に至っては拙著を含め(苦笑)、いまやどんなノンフィクションにも登場する言葉である。
しかし、いずれの場合も、個人か国家という両極端の話ばかりであった。
二人で。
本書の価値は、そこに集約される。
P. 8だから、私は夫に「つらくなったらいつでも辞めていい。私は働いているし、貯金もあるから大丈夫」といつも声をかけるようにしています。
本来夫婦であれば、当然の言葉であると、夫として、またかつて本当にまだ妻になる前の彼女に餌付けられていたものとして、思う。
しかし、このことをあまりに多くの夫婦が忘れているようだ。特に夫の勘違いがはなはだしい。
自殺にみる男女格差 - Chikirinの日記グラフからすぐにわかることは、経済的な理由で自殺する男女差の大きさです。全体に男性の方が自殺する人が多いので、すべての要因で男性(水色のバー)の方が高くなっています。しかし、他の理由では男女差はせいぜい倍程度ですが、経済的理由で自殺する人は、男性10人にたいして女性1人という割合で男性が圧倒的に多いのです。驚くべきデータですよね・・・経済的な理由での自殺男女比がここまで違わなければ、全体での男女の自殺比率格差もかなり縮小することでしょう。
その意味において、本書は主婦である著者が「お金管理術」としてはやや主婦よりに書いているが、より読むべきなのは夫の方ということになる。
正直、本書のディテールに関しては文句のつけどころも少なくない。本書の「お金管理術」は、ほぼ「お金は銀行に預けるな」に沿ったものではあるが、それゆえ同書に対する批判は本書にもそのまま適用できる。住宅ローンに関する項目で、夫婦間でも贈与税の対象になることを指摘しているのに、住宅を夫婦共有名義にできることを説明していないのは手落ちではないか。
しかし、本書が「間違っている」のは「端数」にして委細であり、それこそえくぼにしか見えないあばたである。
404 Blog Not Found:結婚って何だろう - 書評 - 「婚活」時代結婚というのは、幸福というリターンを分かち合うことではない。それなら恋愛で充分だ。結婚とは、不運、不遇、不幸というリスクを分ちあうことなのだ。だからこそ、その旨をわざわざ社会的に登記するのである。
それが「気持ちの問題」に留まらず、「お金の問題」でもあることを指摘した上で、荒くはあっても、しかしそれだけに実行しやすい解決法を提示したことに、本書の意味がある。
良いとき、富めるとき、健やかなるとき、夫婦というのは心理的にも金銭的にも冴えたやり方とはいえない。これに関しては「独身貴族」という言葉が正解だ。
悪いとき、貧しきとき、病めるときのためにこそ、夫婦という生き方が活きてくる。
そのことを、これから結婚する人は覚えて欲しい。そしてすでに結婚した人は思い出してほしい。
Dan the Spouse
本当の絆は負け戦の時に発揮されるのです。
これから結婚される方々がよき伴侶に恵まれますように。