著者より献本御礼。
ああ、惜しい!
タイトルが、間違ってるよ!
「プラス思考をやめれば人生悪くならない」だろっ!
マイナス思考を説く著者がのっけからつまづくほど、マイナス思考は難しいということか。
だからこそ、やってみる価値がプラス思考よりずっとある。
マイナスにマイナスを乗じて得たプラスは、単なるプラスに勝るのだから。
本書「プラス思考をやめれば人生はうまくいく マイナス思考法講座」は、「超★ライフハック聖典」が説くマイナス思考法。それがどれほど徹底的にマイナスかは、目次からも伺うことができる。タイトルでつまずいちゃったけどね。
目次 - ポジティブな言葉をネガティブに言いかえると、むしろ幸せになれる - ココロ社 ♪ほのぼの四次元ブログ♪- はじめに 今すぐ辞めよう!プラス思考
- 徹底比較!プラス思考とマイナス思考の1日
- 第1講:あなたはくだらない存在です
- 第2講:あなたは嫌われています
- 第3講:誰もあなたの話を聞いていません
- 第4講:あなたの話は面白くありません
- 第5講:あなたは恨まれ、攻撃されます
- 第6講:あなたは空気が読めません
- 第7講:人はわかりあうことができません
- 第8講:あなたは成長できません
- 第9講:弱音を吐くことは許されていません
- 第10講:人はみな悪人です
- 第11講:恋愛はすべて「脈なし」です
- 第12講:あなたは何をやっても失敗します
- 第13講:本当のあなたを知る人はいません
- 第14講:あなたの夢は叶いません
- プラス思考→マイナス思考へ 言い換えフレーズ10
- おわりに
「もうやめて!読者のライフはゼロよ!!」?
弾言する。そんな読者は、死んでしまえ。
「死んでしまえ」こそ、究極のプラス思考。時間をプラスしていけば、いずれはそうなるのだから。マイナス思考とは、形あるものが壊れ、生けるものが逝き、エントロピーが常に増大する、宇宙のプラス原理に抗うことでもあるのだから。
実際のところ、本当のプラス思考の持ち主は、マイナスにマイナスをかけることの効用を熟知している。あのプラス思考の権化(と思われている)人だって、
「マキャベリ語録」の最後の一言天国への道を知る最良の方法は地獄への未知を探求することである
を引用しているのだ。
マイナス思考がいかに豊かなものであるかは、本書を上げなくとも本blogではこれまでもさんざんとりあげている。「理性の限界」に「知性の限界」。マイナスにマイナスをかければただのプラスと一見マイナスとプラスを公平に扱っているはずの数学でさえ、不可能の方が可能より豊穣であることは「不可能を証明する」をきちんと読めばわかる。理で納得できなければ情でもよい。中島みゆきファンであれば、みーさまを一目みるだけで了解だろう。
それでは本書は「何をいまさら」なのかといえばさにあらず。本書はそれ自信の間違いも含め、いかにマイナス思考が難しく、意識して行わねばすぐプラス思考になってくれるのかをこれでもかこれでもかと教えてくれる。実際、どちらが楽なのか問えば圧倒的にプラス思考なのだ。著者もこう言う通り。
ポジティブな言葉をネガティブに言いかえると、むしろ幸せになれる - ココロ社 ♪ほのぼの四次元ブログ♪なお、念のため言っておきますが「どうせ自分なんて…」と、諦めの言葉を口にするだけで何もしないのは、マイナス思考のように見えるかもしれませんが、むしろプラス思考の極北です。なぜなら「自分なんて…」と諦めたふりをしたらなんとかなると思っている楽観主義に他ならないからです。
放っておけば、人はすぐにプラス思考に転じてしまう。
そのあげく、こうなる。
マイナス思考とは、すなわち反諦観のこと。
「諦め」「ない」で、読んでほしい。
幸福は、手に入らないのだから。
我々に出来るのは、不幸を手放すことだけなのだから。
Dan the Insufficiently Pessimistic
つぎは、「対立物の相互透入」と「量質転換」も説いてほしいものです。これで弁証法が出揃う。
まあ、背理法で証明された真理(前提が誤っているから結論に矛盾が生じる)のほうが、素直な三段論法の演繹推理より奥深い真理が見出されることが多いものです。
時間の経済のためにも、足し算だけでなく、引き算も上手になりたいものですね。