発売日、10日ずれて覚えてたので10日遅れで(再)入手。

えっと、復刊ですw

404 Blog Not Found:書評 - SF入門用ベストテン
本当は 「...絶句」の方をとりあげたかったのだけど、あまりに入手困難なのでこちら。

という事情もこれで解決しました。

みなさん。

これを読んでから大人になってください。

いや、ならないでくださいというべきか。

本作「…絶句」が上梓されたのは23年前。復刊にあたって表紙絵は吾妻ひでおから「今日の早川さん」のCoCoになり、短編が追補され、「えっと、あとがきです」は「あとがきであります」になったけど、このほとばしる生命力は少しも衰えていない。

たとえ、作者の生命力がおとろえていたとしても。

これぞ物語の力。物語とは、作者から生じた、しかし作者とは別の、命なのだ。

Amazon.co.jp: …絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA): 新井 素子: 本
あたし、新井素子。19歳のSF作家志望の女の子。新人賞のために『絶句』ってタイトルの原稿を書いている。読者が絶句するほどおもしろい話になるはずが、なぜか突然、小説のキャラクターたちが実体化してしまった!?滅法強いヒーローやマッド・サイエンティスト、超能力者の美少女風男子や素子に瓜二つの人猫が、それぞれ現実世界で生活を始めて…

後に、それは宇宙人の交通事故が原因だったと判明する。ところがこの宇宙人は主人公に謝罪賠償するどころか、命を付けねらうのである。それはなぜか。そして、主人公たちはどうしたか…

偶然とは思えないタイミングで、こんなニュースが。

女性裁判官(30)「非正規の命の値段なんて安いに決まってるだろ・・・逸失利益は低く見積もれよ」 :アルファルファモザイク
テーマは「逸失利益と過失相殺をめぐる諸問題」。若い非正規労働者が増える現状について「自分の都合の良い時間に働けるなどの理由で就業形態を選ぶ者が少なくない」「長期の職業キャリアを十分に展望することなく、安易に職業を選択している」とする国の労働経済白書を引用。こうした状況を踏まえ、正社員の若者と非正規労働者の若者の逸失利益には差を設けるべきだとの考えを示した。

本作は、これを宇宙規模にまで広げた話でもある。

主人公の命の値段はいくらなのか?

それも、人類にとってではなく、宇宙の知的生命体にとって。

それを「地球よりも重い」と見積もる宇宙人は、まずいないだろう。

かりにそうだとしても、地球そのものの値段が大したものだとは限らないのは、「銀河ヒッチハイクガイド」のネタの一つである。これまた不滅の物語の一つであり、作者のAdamsが亡くなった今でも読む事が出来る。

しかし、問題はそこじゃないんだ。

値踏みされた後、どうするかなんだ。

読了後、あなたにとって「絶句」という言葉の意味は永遠に変わるだろう。

私は、もう絶句しない。

それは他者が決めた自分の値段で、自分を売るのに同意することなのだから。

それがいやなら、異議を唱えるしかない。

たとえ相手がA級知的生命体でも。

Dan the Objector