私もそういう未来もありかなと思ってた時期もありますよ。

Steve Wozniak: Android will be the dominant smartphone platform -- Engadget
Woz then moved on to the topic of Android saying that Android smartphones, not the iPhone, would become dominant, noting that the Google OS is likely to win the race similarly to the way that Windows ultimately dominated the PC world.

実機を触ってみるまでは。

1. Android? どのAndroid?

同じAndroidといっても、IS03とGalaxy Sではずいぶんと使い勝手が違う。その違いはiPhoneとGalaxy Sとの違いよりも大きい。スクリーンのアンロックの仕方からして違うし、ホーム画面はもっと違う。そしてアップグレードできるとは限らないことを、IS01が先日証明してしまった。NetBookすらWindowsは別途インストールできるのに、この点は確実にWindows以下である。

その中で最もよく出来ているのは Galaxy S だが、よく出来ている一番の理由はAndroid 2.2だからなのではなく、 iPhone に一番近いからというのが悲しい。例えば Home ボタンは形は違えど iPhone と同じ位置にあるし、スクロールも Android の中では一番スムーズで、マルチタッチにも対応していて、そして root を取ったりSDKを用意しなくてもスクリーンショットも取れる。

その Galaxy S ですら、「iPhoneに似ている機能」がiPhoneに劣っているところがさらに悲しい。それも Google Map という、iPhoneに対する優位性を最も出しやすいはずのアプリがそうなのだ。地図を二本指でズームしてみる。iPhoneでは縮尺は無段階に切り替わるのに、Androidでは解像度ごとにノッチがある。「この方が見やすい」という人もいるかも知れないが、目はそう思っても指には強烈な違和感が残る。

2. なんでiPhoneより高いの?

Windowsが普及した一番の理由は、Macよりも安かったから。PCメーカー間の競争のおかげで、Windows税を払ってもPCはMacよりずっと安く提供できた。この点においてハードウェアとソフトウェアが分かれているのは明白な利点だった。一番儲けたのはMicrosoftだけど、Compaq改めHPもDellも儲かったのだ。

しかしファウンドリーのおかげで、Wintelが持っていた価格優位性はとっくに消滅している。「いくらで作れるか」という点において世界のフラット化、いや山塞化は完了している。それどころか機種が少ないAppleは、MacもiPhoneも他メーカーより安く作っている可能性すら否定できない。

ハードウェアでさえそうなのに、携帯電話の場合いくら端末を安く作っても通信費はそうは行かない。その結果iPhoneの方がAndroid端末より安いという状況がずっと続いている。「模造品」より「本物」の方が安いのだ。

それでもAndroid端末が、特に北米で売れているのは、キャリアーの品質が低いから。iPhoneに対する最大の不満がiPhoneそのものよりキャリアーにあることは北米も日本も同じだ。VerisonがiPhoneを売り始めたら一体どうなるのだろうか?

3. 機種変更したらデータはどうなるの?

しかし上記二つは、Wozも言う通り「今の延長線上の進化」で解決しうる。特にBOP (Bottom Of the Pyramid) 向けの端末は、NetBookを"Good at Nothing"と一蹴したAppleが手を出さないことがほぼ明らかなマーケットで、今ここを抑えているNokiaのシマを、今は名もないメーカーないしフィーチャーフォンでも強いSamsungがAndroidで切り取り放題にする公算は非常に高い。その意味でAndroidの負けはなさそうだ。

しかし、それではiPhoneには勝てない。

電話は簡単に買い直せても、データはそうはいかないからだ。

今のAndroidでも、電話帳やMailといった、「すでにクラウドに置くことが当然」とされているデータは機種変更に耐える。これはMobileMeも同様だが、無料な分Androidの方が有利ですらある。しかしまだそうなっていないものがある、アプリや音楽や映像、そう。iPhoneであればiTunesを介してやりとりするデータだ。

この点において、Android「陣営」は、解決に向かって動いているふしすら見られない。著作権の世界というのは"Don't be evil"という錦の御旗が通用しない世界だ。「石頭」で「強欲」な既得権者たちを手間暇かけて説得していくしかないのだが、Appleだけがこの"the long and winding road"を、既得権者たちが納得する形で歩んだ。The Beatlesに対してAppleは完勝したのに、「勝ったのはThe Beatlesです」といわんがばかりに、偉大な、しかし半分は鬼籍入りし、もう半分も64を過ぎたご老体たちを立てているのには立派な理由があるのだ。

しかし The Beatles をはじめ、iTunesでソフトウェアを売っている人たち以上の既得権者がすでに存在する。

iTunesですでに買い物をした人々である。これまでに売られた100億以上の楽曲、2億以上のTV番組、そして70億以上のiOSアプリは、すべて彼ら--私もその一員なので我々--の既得権なのである。

この既得権の尊重なくして、「全データのクラウド化」は今のところありえない。真の意味でAndroidがiPhoneに勝つには、iTunesに勝てる「むこう側」が絶対に必要なのだが、それを誰が構築し、誰が運営し、そして誰が責任を持つかが一向に見えない。本来それはGoogleの役割であるはずだが、この点におけるGoogleの態度は、控えめに言っても蛙の面に小便というものだろう。

結論:Windows and Mac are Operating Systems. iOS is an Ecosystem.

先日献本いただいた「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」に、こんな一節がある。

 ちょうどこの本の草稿を書き上げた頃、携帯音楽機器の二〇一〇年八月の国内販売台数で、ソニーのウォークマンが米アップル社のiPodを抜く見通しであることが報道された。記事には、「携帯音楽機器市場は平成十三年の投入以来、iPodの独擅場だったが、後じんを拝してっきたウォークマンが初めて『悲願』のトップを奪う」とある。そして、「純粋に音楽だけを楽しむ層を開拓できている」というソニー担当者のコメントが引用してあった。
 私はこの記事を見て、その上っ面をなぞった報道のレベルの低さに驚くと共に、なんだかソニーがかわいそうになった。これは、単にiPodユーザーが、音楽も聴けるiPhoneに移っていてそれがカウントされていないことと、ちょうどiPodの新商品発表前でユーザーの買い控えが起きている結果に過ぎず、何も「純粋に音楽だけを楽しむ層を開拓できている」などという理由ではないのは誰がみても明らかであった。しかも、仮に日本で巻き返したとしても世界的なアップルの優位はもはや揺るぎようもない。

これと同様の感想を、Androidに関する記事を見て抱かざるを得ない。彼らの言っていることは「純粋にスマートフォンだけを楽しむ層を開拓できている」としか聞こえないのだ。

そもそもAndroidとiPhoneは競合するのかということ自体、「Googleの正体」も指摘する疑問なのだが、仮に競合するのだとしたら、端末ではなくエコシステムを見なければならないはずだ。

"gPod Touch"も"gTunes"もない Android を見て「Androidが勝つ」というのは、戦車の数だけ見て「イラク軍に多国籍軍はかなわない」と言っているに等しい。このまま行くと、「Androidの勝利」の形というのは、米軍に対するゲリラネットワークの勝利のような形、つまり「生き残るが戦勝品なぞありえない」状態になるのではないか。

Dan the Man with an iTune-full of Data to Lose