以下を書いたのが、日本でiPadが発売される前日。

それから半年。iPadも一通り普及したところで、やっと Sony Reader が登場した。

今回も記者会見の案内が来ていたのだが、スケジュールの折り合いがつかず欠席した。

それで、本当によかった。

もし行っていたら。喪章を取りに家まで戻る羽目になっていたはずなのだから。

Gizmodeにも呆れる。なんだよこの提灯記事。

大本命! ソニー電子書籍端末「Reader」速攻動画レビュー : ギズモード・ジャパン
持ってみて感じたのは、読書を強く意識して作られているということ。自分自身iPadで山手線で漫画を読んだりしますが、重いし、大きいので正直片手でもって本を読むスタイルはどうしても馴染めませんでした。しかしこのReaderは文庫本サイズに、たったの200gととても軽いのでどこでも気軽に楽しめる真の読書家のための端末と言えます。これはiPadやガラパゴスと比べても非常におおきな魅力です。

速報記事にはあった、一番大事なことが書いてないじゃないか。

【速報】ソニーEInk液晶電子書籍端末「Reader」国内発表。ブックストアも12月から開始
アメリカのモデルには3GモデルやWi-Fiモデルがあるようですが、日本ではいまのところないようですね。

3G、なし?

WiFi、なし?

  1. 専用ソフトをWindows(のみ!)で立ち上げて
  2. そこから書籍を購入して
  3. ReaderをUSBでつないで
  4. 転送しろ

だと?

これでどうやってKindleに勝てるというのか?

ああ全然わかっていない。

電子書籍の最大の特長が。

それは、「手に入れたいと思ったその場で手に入る」こと。

KindleもiPadも、この条件を満たしている。iPadにインストールしたKindleアプリももちろんそうだ。実際iPad後の私の「電子読書」はiPadメイン、時々iPhoneというもので、Kindle Booksも以前入手したKindle 2ではなく、Kindle for iOSで読むことが多い。PDFならiBooksか、縦書きならi文庫HD。「仕事」柄、ゲラをPDFで頂くことも多いので非常に重宝している。

有料書籍に関しては、未だ決定的なソフトウェアがあるとは言えないが、それでも「単行本アプリ」は拙著「弾言」&「決弾」を含め、ユニバーサルアプリ(iPadでもiPhoneでも動く)化がかなり進んで来たし、Voyager Booksも両対応になったし、いずれにせよiOSデバイス上での読書というのはすっかり板についた感がある。

重要なのは、これらで書籍を入手するのに、わざわざ「母艦」に繋ぐことはほとんどない、ということである。母艦はあくまでも充電を兼ねたバックアップのためであり、そうでないときは直接iPadやiPhoneで手続きを済ませる。Kindleの場合に至っては購入履歴は全てAmazonにあるので、実はそれすら必要ない。

すでに電子書籍の「かくあるべき」は、少なくとも購入プロセスに関しては確立しているのだ。

それなのに、何が悲しゅうてKindle 3よりも高額で、iPadより少機能なReaderを買って、Windowsパソコン(うへ!)に繋いでやらにゃあならんのだ!?

なにをどうすると、ここまでユーザー視点なき製品が出来上がるんだ?

新製品の価値というのは、突き詰めると二つしかない。

「今までより楽しい」か、「今までより楽」か。

Sony Readerには、どちらもない。

ドMな方は、どうぞ。それなら確かに「今までより楽しい」はずだから。

Dan the Disappointed Reader