Amazonの在庫が一向に回復しないので楽天で買ったが、その楽天も今は在庫切れ。今調べた限りe-hon、7net、紀伊國屋Webにはまだあるようだ。

この在庫不足すら、本書を読了した後では「業界の陰謀」かと勘ぐりたくなる。それくらい、産官政の癒着はひどい状態にあるのだ。

本書「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」は、日本よりも一時はパチンコが普及、いや蔓延した韓国におけるパチンコ全廃の歴史を通して、日本の権力の腐敗ぶりを告発する一冊。

オビより
韓国では、往時にはパチンコ店が1万5000店、売上高は日本円にして約3兆円にのぼった。それが、2006年の秋に全廃され、いまは跡かたもない。だが、その事実を伝えた日本のメディアはなく、それを知る日本人は、いまもほとんどいない。
目次
一章 なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか
韓国のパチンコ全廃を報じなかった日本のマスコミ
タクシードライバー、キム氏の話
韓国人向けカジノ「江原ランド」のその後
玉は弾かない韓国独特の「メダルチギ」
法案成立の翌月には、パチンコ台一〇〇万台を没収
政府高官にまで逮捕者が出た「パダイヤギ事件」
韓国首相による国民への「お詫び談話」
製造、販売業者にも及んだ徹底した不正の追及
抵抗勢力による妨害はなかったのか?
韓国で起こったパチンコによる事件、事故の数々
読む者の胸を打つ「朝鮮日報」の社説
日韓共通のパチンコによる家庭崩壊
「数千人の利益のために、数百万人を泣かせる」業界
廃止後の闇営業も徹底摘発する韓国
日本のパチンコは、どこでおかしくなったのか?
なぜ韓国人は、自国でパチンコが流行していたことを知らないのか?
小沢氏に、パチンコの規制緩和を持ちかけた李大統領
パチンコ全廃による経済効果とは?
韓国CBS放送の取材を受ける
二章 なぜパチンコは、廃止されねばならないのか
パチンコ店店員も依存症になる世界
ターゲットは、年金生活者と主婦
月一〇〇万負けるのは、珍しくもなんともない世界
パチンコ店にATMという恐怖の光景
店内は、まさに賽ノ河原
母を殺し、金を盗ってパチンコ店に行った息子
パチンコの害を批判する韓国、しない日本
業界が「依存症対策セミナー」を開く偽善
自動販売機に規制がかからない不思議
客が絶対に勝てない、恐怖の「顔認証システム」
警察に対する業界の涙ぐましい心づかい
主婦を直撃する貸金業法の改正
パチンコ店のイベントに、天下の横綱がやってくる
「子ども手当」もパチンコ台に消える
裕次郎が草葉の陰で泣いている
パチンコ問題に目を瞑るマスコミの責任
パチンコ業界を告発した記事がボツになる国
一円パチンコで、問題の解決にはならない
法律には必ず抜け道が用意されている国・日本
家族まで巻き添えにする、パチンコ悲劇の深刻さ
三章 なぜ日本は、パチンコを廃止できないのか
パチンコ業界のアドバイザーに名を連ねる政治家たち
民主党による呆れはてた「パチンコ支援プロジェクト」
業界を代弁して国会で恫喝する民主党議員
パチンコ業界の損失に、国家賠償を要求
今も相次ぐパチンコがらみの殺人事件
パチンコ被害者に光明を与える訴訟事件
韓国では、カジノ被害者の原告勝訴
韓国にあって日本にはない、判断のスピード
車内マナーでも韓国に負けている日本
正面切ってパチンコ賭博を合法化しようとする政治家
パチンコ問題に集約される日本の病根
なぜ大新聞が、パチンコの全面広告を掲載するのか
金に目が眩み、口を封じられたマスコミ業界
大阪市議から届いた一通のメール
地方から産声をあげるパチンコ反対運動
パチンコ店の出店を認めた最高裁の判断
元警視総監が会長を務める「保通協」とは?
警察官が生活安全課に行きたがる理由
北朝鮮への献金の実態とは?
規制をかいくぐって生きのびるパチンコ業界
韓国にできて日本にできないという恥辱

それでは、なぜ韓国ではパチンコを廃止できたのか?

急速に蔓延したおかげで、社会問題が顕在化したということもあるだろう。韓国の「パチンコ禍」は劇症にして急性。それだけに対策の方もすばやく進んだというのは、エボラ出血熱のような劇症で急性な感染症の方がかえって犠牲者の数が少ないことを彷彿とさせる。

それに比べると、日本のそれは劇症度が低いかわりに慢性度が高く、問題は一段と深刻だと言える。法による規制が規制という名の保護になり、取り締まるはずの警察にとっては貴重な天下り先であり、マスメディアにとっては上客であり、そして今や漫画家やアニメーターにとっては欠かせないパトロンである。

韓国のパチンコ中毒は、市民レベルどまりだった。

日本のパチンコ中毒は、業界レベルなのである。

立法や行政どころかマスメディアまで抱き込んでいるという点においてイタリア・マフィアを彷彿とさせるパチンコ業界ではあるが、もはや誰にも止められないのだろうか?

止められる。

我々がパチンコ屋に行かなければいいのだ。

パチンコ - Wikipedia
『レジャー白書2010』によれば、パチンコの参加人口は1720万人、2009年の市場規模は21兆650億円で前年より6510億円減少した[4]。近年、急激に客離れが進み、市場規模が縮小している。パチンコチェーンストア協会によると、就業人口は約44万人であり、就業人口に対して売り上げが大きいとされる。現在は娯楽の多様化や、古臭いイメージによる若者離れ、高くなったギャンブル性と依存性が指摘され、ピークの参加人口からは年々減少し現在過去最低水準にある。

パチンコ屋が強者に資金をばらまいているのは、彼らの危機感の裏返しでもあるのだ。サラ金と同じだ。

そしてその資金を出しているのは、結局のところ中毒者たち。彼らが被害者であることに目覚めれば、あとはサラ金と同じ流れになるはずだ。

404 Blog Not Found:なぜ特区に反対するのかがわかって怖くなった
山手線内でさえ駅前のいたるところにパチンコ屋がはびこっているし、パチンコ屋の駐車場で子供が熱中症で死ぬのは今や夏の風物詩だ。それでいて、「ゲーム脳の恐怖」は出版されても「パチンコ脳の恐怖」は出版されない国、それが日本だ。

パチンコで身を持ち崩すのは、自業自得ではある。

しかしそれで子供たちが実際に死んでいることに、業界は何と申し開きをするのか?

私自身は、パチンコの滅亡までは望んでいない。パチンコ特区の一つや二つあってもいいと思う。パチンコを排した韓国だって、外国人向けのカジノを運営しているではないか。そこに行って身ぐるみ剥がれても、それは自己責任というものだ。

しかし、街角という街角にパチンコ屋があり、さびれゆく地方でそこだけが栄えているという今日が明日も続くことは、望まない。

P. 215
庶民は、正常な感覚を失っていないのである。政府は、庶民の声に耳を傾けるべきである。このままでいいわけがない。

まずは、現状を知るべきである。

その上で、はじめてこう言えるのだから。

このままでいいわけがない、と。

Dan the Taxpayer

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