「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」のAmazon在庫も復活したようなので、告知を兼ねて改めて検証しておくことにしよう。
パチンコが、どれだけ危険かを。
まずは、現状を知るべきである。その上で、はじめてこう言えるのだから。
このままでいいわけがない、と。
改めてお断りしておくと、私自身はパチンコをやらないというか出来ない。
あの騒音には10秒耐えられず、台にすらたどりつけない。しかし20兆30兆動くとなれば、産業として興味は出る< @yuhiyuhi: @dankogai ちなみにダンさんはパチンコをなさったことは…ないですよね?
それゆえ、私のパチンコ感はパチンコについて調べる前は、むしろこちらに近かった。
そろそろネット住民の反パチンコ論についてひとこと言っておくか - よそ行きの妄想常識的に考えて、パチンコをする人にも何らかしらの動機があるに決まっている。彼らはパチンコによって何らかの欲求なり衝動なりが満たされると思うから、パチンコをするのだ。まったくもって当たり前の話過ぎて申し訳なさすら覚えるが、パチンコをする人とパチンコ屋の関係は、単純に需要と供給の関係なのであって、小作農と封建領主のような関係ではない。
一言で言えば、「自業自得」ということである。
しかし、数字を親身に見直すだけで、それは吹っ飛ぶ。裏を返せば、20兆円という数字をそれまでは上からしか見てこなかったということだ。
ここで改めてその数字を見てみよう。
ゼンリンネット:ニュース レジャー白書、参加人口は1,720万人に平成21年度のパチンコ参加人口は、前年比140万人増の1,720万人、参加率も前年比2.5%増の16.8%と、ともに2年連続で増加傾向を示した。その一方で、年間平均活動回数は20.4回、年間平均費用は7万5,000円と、ともに過去10年で最低値を記録。市場規模も21兆650億円と、過去最低を記録した一昨年からさらに6,510億円下回り、6年連続で減少となった。
ここで市場規模を参加人口で割ってみる。21,650,000,000,000 [円] / 17,200,000 [人] = 1,258,720 [円/人]。なんと126万円。日本人の平均年収の1/3以上だ。住宅ローンで借りられるMaxがだいたいこれくらい。しかも、これはあくまで平均値。そしてどうみても、パチンコ常習者の平均年収は日本人全体の平均年収を上回ることはない。彼らがより低学歴低年収であることは、その126万円をかけてもいい。
そう。平均だけ見て「これしかかかっていない」という人は、格好の中毒予備軍なのである。
たとえばこんな風に。
そろそろネット住民の反パチンコ論についてひとこと言っておくか - よそ行きの妄想そしてパチンコの玉は1球につき大体が4円、還元率は概ね90%前後*2であることが一般的だそうだから、理論上1時間当たりの単価は2400円ということになる。
理論上(笑)。
理論を立てるのであれば、「平均いくら勝ち負けするか」と言う人にはギャンブル・リテラシーはないといっていい。「最高いくら負けるか」と考えられない人は、中毒予備軍である。
で、最高いくら負けるか。
一時間で、24,000円である。
もし2,400円であれば、こうはならない。
強盗自作自演:プレゼント代3万円、パチンコで使い 大阪 - 毎日jp(毎日新聞)男性は20日朝に夜勤明けで帰宅。朝食中に子どもへのプレゼント代として3万円を預かり、妻の外出中にパチンコに出掛けたという。
3万円あればまる一日遊べるはずだが、この自作自演強盗氏に必要だったのは、妻のいない隙だけだった。還元率をアテにするのは、「うち3,000円分遊んで、景品を子供へのプレゼントにする」と考えるぐらいマヌケである。
それでは彼ら中毒者はここまでアホでマヌケなのか?
そんなことはない。少なくとも彼らの多くは中毒であることを自覚する程度には。
パチンコ依存症からの克服パチンコ依存症を自覚している人が、遊技している人全体の30%もいらっしゃいます。また多重債務で苦しんでいる方が遊技客全体の0.5%となっております。
パチンコ依存症の方は全国で100万人と言われておりましたが、この意識調査を元に考えますと、単純に参加人口が1380万人でその30%。つまり400万人の方が何らかの形で自覚されていることになります。
このページ、なんと書いたのは「パチンコ店長」。要するに、「中の人」ですらパチンコの中毒性と危険性を注意喚起せずにはいられないというわけだ。
< ビンボーの 原因は パチンコ >米国ラスベガスや中国マカオに常設された商業カジノの10倍も多く売り上げる 「 駅から歩いて30秒の賭博場 」 が、日本全国に林立する現況は絶対におかしい。市場規模 - カジノ・エンターテイメント - 楽天ブログ(Blog)
同じく来年2011年、マカオが283億米ドル(2兆3420億円)、豪州が28億米ドル(2320億円)、韓国が25億米ドル(2070億円)となっています。
どうみてもこれは「下流喰い」と呼ぶべきだろう。
そろそろネット住民の反パチンコ論についてひとこと言っておくか - よそ行きの妄想パチンコ叩きの性根は、先般のエロ漫画規制に絡んで無駄に差別発言を連発していた某東京都知事とまったく同じである。要するに自分に理解できない価値を無価値だと断じているわけである。
質も量も全然違う。
エロマンガの市場は、多めに見積もっても数百億円オーダーであるが、パチンコは腐っても二〇兆円。エロマンガの買い過ぎで多重債務者になったんて聞いた事がないが、パチンコのそれは少なく見積もっても8万人。そしてなにより、エロマンガは凶悪犯罪を増やしている証拠がないどころか減らしている可能性さえ否定できないが(「電波男」本田透に至っては、「なければ凶悪犯になっていた」とまで公言している)、パチンコは中毒になった本人のみならず、その周りの人々にまで被害が出ているのである。
それでも私は、パチンコが悪だという見方はしない。
ただ、危険なだけなのである。フグやF1と同様に。
危険は即悪ではない。それを知った上でなお楽しみたいという大人には、コストを支払った上でスリルを味わう自由と権利があると私は考える。中毒の危険がある大人の嗜好品としては酒とタバコがあるが、酒の市場は4.5兆円、タバコのそれは1.5兆円。額面上はこの二つをあわせた三倍も、パチンコは危険だということになるが、そこまで危険であり続ける必然性がパチンコにはあるのか?
あなたはファミレスでフグにあたりたいのか。毎日モナコGPを通学路でやってほしいのか。
それだけのことである。
Dan the Literate Risk Taker
『パチンコがなくなる日』 著:POKKA吉田
主婦の友社 ISBN978-4-07-276802-0 \781+税