オライリー矢野様より献本御礼。
これ、ローティーンだった頃の自分に贈りたい。
こんな面白い問題集があったら、今よりもっと数学が好きになっていただろうから。
本書「エレガントな問題解決」の原題は"The Art and Craft of Problem Solving"。この Craft という言葉が決め手である。。
目次 O'Reilly Japan - エレガントな問題解決
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著者の主張は、それとは真っ向から対立します。著者の主張はこうです。「数学は刃物だ」。カミソリであり、包丁であり、ナタであると。数学者にとっての数学はとにかく、それ以外の人々にとって、数学は問題を切ってなんぼのものである、と。
数学がArtであることに異論をはさむ人は、数学がだいっきらいな人でもいないだろう。
しかしそれだけでは数学を使いこなす事はできない。Craftが必要なのだ。
そしてCraftを手に入れる一番よい方法は、それを使いまくること。そしてそれを使いまくる一番の近道は、それを楽しむこと。
しかし前者までは日本の学校でも共通認識にはなっていても、後者の視点は足りないどころか逆向きでさえあるというのが同記事で私が指摘したかったこと。これではCraftは苦行になってしまう。「食える数学」の著者は、数学の問題を8,000題ほど解いた上に、「数学は体育」と言い切ったが、親や教師にやれといわれたのではこんなに続かない。
問題を解いた事そのものがご褒美になり、そして次の問題を解く際の手がかりになるような問題と解答が必要なのだ。
本書は、まさにそれに該当する。カバーしている範囲はおおまかに中学校から高校までの六年間で学ぶ数学だが、数学オリンピックにも登場する歯ごたえばっちりの問題がぎっしりと詰まっている。
しかし本書の特長は、問題を分野別ではなく解き方別に並べた事にある。それも、あまりに多くの受験の傾向と対策が陥っている、「その問題しかサクっと解けない」小手先のテクニックではなく、一度手に入れれば一生ものの、もう「学校で習った数学なんて大人になったら使わないよね」なんて言わせない、真のテクニックである。
ところで、本書のタイトルには、邦訳にも原著にも「数学」という言葉は登場しない。あくまで「問題解決」なのだが、しかし本書にいわゆる文章題、つまり「数学外の問題を数学化する過程の入った問題」は登場しない。なぜそれなのに「問題解決」なのか。その答えは、本書を使えば体が納得するはず。
算数から数学に入る中学一年生には、絶好のタイミング。3000円以上とちょっと値段が張るので、親御さんにおねだりしましょう。六年間使えます。全部使い終えたら大学の数学科を狙えるところまで行くのは、本書の問題のいくつかを大学の演習で解いた私が弾言しておきましょう。
その過程で数学がいやになった、かつて中高生だったみなさん、数学を覚え直す絶好の機会です。挫折したとはいえ一度は体験しているのですから、本書に「入る」のは現役中高生より早いはずです。早い人であればこの冬休みで十分勘をとりもどせる、いや当時はなかった勘を手に入れることができるかもしれませんよ。
Dan the Problem Solver

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