英治出版杉崎様より献本御礼。
君たちの言い分はわかった。
でも、これじゃ駄目だろ?
本書「リアル公務員」は、タイトルどおりリアルに公務員な著者による公務員の実情に、かたぎりもとこが絵を付けたエッセイ。
はじめに「いや、私だってね…」オビより
「そうは言うけどさ…」
話し始めるときに、必ず否定から入る人。
その人が公務員である確率はとても高いでしょう。
何か言われると、つい否定してしまう。
何も言われなくても、「いや、でもね」と否定形から話してしまう。
なんで、ちっとも伝わらないんだろう?
それを伝えるという点において、本書は今までで最も上手に伝えた一冊であると思う。公務員と何らかの接点がある人は、それだけで本書は買いである。
だからこそ、伝わってくる。
公務員の、勘違いも。
たとえば、この図。iPhoneで撮ったものをトリミングしただけなので見づらくて申し訳ないがそこは大目にみてもらうとして、公務員にとっての序列ピラミッド。おそらくこの図に疑問を抱く人は現役公務員の中では皆無と思われる。
しかしこの図が正しいとすると、選挙によって選ばれた市長がそうでない県の局長や国の課長と「同じ」ということになってしまう。
本書に、というより「一般公務員」の心にないもの、それは「ロジ」でも「サブ」でもない。
それは公職された公務員。
ほんと、見事なほどにない。
唯一見つけたのがこれだが、これすら議員の声はコマの外から。
だから、ちっとも伝わらないのだ。
もっともこれは「一般」、すなわち「公職されていない公務員」ばかりを責めてもしょうがない。
まず必要なのは、公職された公務員が、誰がボスなのかをきちんと示すことなのだから。
このことを、私はマンションの管理組合で学んだ。
今住んでいるマンションの理事を、私は4期務めた。うち最初の3期は理事長として。
404 Blog Not Found:マンション第三期通常総会終了、第四期開始今までの三期は、理事会そのものを起動にのせる時期でした。ペラ一枚だった収支報告を、企業なみにB/SとP/Lをきちんと作るところからはじまり、こうして数字を洗った結果、管理費を二割削減したにも関わらず、毎年3,000万程度の繰越金があり、これを修繕積立金に回す事で、当初の長期修繕計画にあった、竣工五年後(すなわちあと二年後)の修繕積立金の値上げは不要になる見通しです。
私の一番の仕事、それは管理会社の目を、親会社から管理組合に向けることだった。それを怠っていたら、管理組合の運営は「お役所仕事」のまま推移していただろう。
公職された特別公務員と、そうでない一般公務員の関係は、理事と管理会社の担当社員に驚くほど似ている。担当社員が誰の方を向いて仕事をするかで、そのパフォーマンスが決まる点においては、同一だと言っても過言ではない。
本書の著者の目は、同僚や上司の方を向いてはいても、本当に仕えるべき相手である市民、少なくともその代表である議員や市長の方を向いていない。
その議員や市長の方にしても、本当に市民と同じ方を向いているかもまた疑問である。マンションの理事とは異なり日本ではこれらはフルタイムの職であり、それが市民との利害の乖離を生む。一度選挙されてしまえば、彼らが市民と同じ目線を保つインセンティブは格段に下がる。そうでなければなぜ地方の役所の建物というのはああも立派なのだろうか?風呂敷を拡げたのは役人かも知れないが、それをよしとしたのはそれぞれの自治体の議員や市長たちではないのか?
著者も、そのことをわかりかけているのが救いといえば救いではある。
P. 184いま必要なのは「公務員としての自分」よりも「社会の一員としての自分」に自覚をもつこと、「公務員だから」ではなく、「社会の一員として」公的な仕事を担う誇りと責任をもつこと。そして、みんなと協力し合って「公的な仕事」に取り組むこと。このことに無自覚のままで「公務員という立ち場」を前提として仕事をしている限り、世間からの公務員への批判はなくならないでしょう。
要するに、"for them"ではなく"for us"として仕事をせよ、ということだ。
だとしたら、フルタイムの公務員というのはどれくらい必要なのだろうか。小なりともマンションを自治してみた体験からすると、パートタイムで足りるどころか、パートタイムだからうまく行ったことの方が多いのだ「管理会社」相当の一般公務員はとにかく、「理事」相当の公選される特別公務員のかなりの部分、たとえば市議会レベルぐらいまではパートタイム化した方がよいのではないか。
その方が、「伝わる」というのは弾言させていただく。
Dan the Taxpayer
