ソフトバンククリエイティブ友保様より献本御礼。
初出2011.02.24; 2011.10.05 電子版へのリンクを追加
こういう本を待っていた。Web制作に関わる全ての人、必携。
と同時に言っておきたいのは、安全なWebアプリケーションを作るにあたって、本書の内容はあくまで必要条件であって充分条件ではないということ。原理的に。
なぜか。
あなたのWebサイトで何が出来てはならないかは、あなたにしか決められないからだ。
本書「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」は、副題に「脆弱性が生まれる原理と対策の実践」とある通り、体系的かつ実践的にWebアプリケーションから脆弱性を取り除き安全にする方法を学ぶ一冊。
目次 - ソフトバンク クリエイティブ:体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方より
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著者のid:ockeghemはこの件に関してすでにいくつもの記事を上げている有名ブロガーであるが、著書はこれがはじめてのようである。しかし以下の査読者リストを見るだけで、本書が「プロの犯行」であることは疑いようがない。
「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」3月1日発売です - ockeghem(徳丸浩)の日記大崎雅幸、太田良典、かいと(kaito834)、加藤泰文、小邨孝明、坂井隆二、id:s-yo-ko、高木正弘*1、竹迫良範、東内裕二、塙与志夫、日野洋一郎、山崎圭吾、山下太郎、Masahiro Yamada(masa141421356)、山本陽平
さらに本書がすばらしいのは、脆弱性の体験まで出来るようにしてあること。本書にはそのためにVMWare Playerと実習用の仮想環境がCD-ROMで添付されている。「いまさらCD-ROM添付はないよなあ」というのは一般論としては正しいが、本書に関してはこれが正解。あえて脆弱な環境を配布するのだから。Windows用ではあるが、仮想環境である WASBOOK.ZIP(207MB )を unzip して得られる仮想マシンは Mac OS X の VMWare Fusion 3 でも動作した。
それにしても、脆弱性との戦いはなぜこうも終わらないゲームなのだろうか。
それは、おそらく我々人類の根源的な性だと思われる。
我々は「やりたいことをできるようにする」ことには懸命かつ賢明でも、「やられてはならないことをやられないようにする」ことにかけては懸命にも賢明にもなれないのだ。
もちろんその度合いは個人差がある。私自身は「人類平均」よりよほど前者よりだと思う。著者や査読者諸氏と比べれば、なおのこと。しかしその彼らですら、「できるようにする」方が「できないようにする」ことよりよほど上手であると私は見ている。脆弱性の発見自体、「あいつらにとってやられてはならない」ことを「おれたちはやりたい」から見つかったというものばかりではないか。
ゆえに、脆弱性に特効薬はない。
だからこそ早期治療と再発防止は効果覿面だ。
本書に乗っているのは、現時点におけるプロとして最低限できなければならない早期治療と再発防止の具体策だ。未読が許されるのは小学生までだよねー。いやまぢで。
Dan the Vulnerable by Nature, Secured by Trade

「充分条件」ではなく「十分条件」ではないですか?