これはいいニュース。

日立、HDD子会社を米ウエスタンデジタルに約3500億円で売却 - ニュース:ITpro
日立製作所は2011年3月7日、100%子会社のHDD(ハードディスク)メーカーである日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)を、米ウエスタンデジタル(WD)に約43億ドル(約3500億円)で売却すると発表した。

もはやHDDはオワコンなのだから。終わったコンテンツでなくて終わったコンテナ。少なくともコンシューマー向けには。

日立がIBMからHDD部門を買ったのは、2002年のこと。

IBM、日立へ HDD 事業部門を売却 - japan.internet.com
IBM Corporation (NYSE:IBM) と日立製作所 (NYSE:HIT) は、赤字が続いている IBM のハードディスクドライブ (HDD) 事業部門を日立が20億5000万ドルで買収することで最終合意した。両社の HDD 事業を統合し、日立がマジョリティを所有する新会社を設立する。

当時、HDDはコンシューマー用ストレージデバイスとしてあちこちで使われていた。iPodにHDR…そこにデータがあれば、そこにHDDありというのが当時の状況だった。

今やその役目は、SSDが担っている。iPodにもiPhoneにもiPadにも、もはやHDDはない。MacBook Airにすら。HDRはまだあるけれど、Apple TVを見ればHDRという製品そのものが技術的にはオワコンで、コンシューマーストレージに必要なのは「クラウドのキャッシュ」だということがはっきりしている。

「手元」で使うストレージとしては、HDDというのは handy じゃない。容量は大きすぎるし、電力は食い過ぎるし、アクセス速度は遅すぎるし、衝撃に弱すぎる。

それではHDDそのものがあらゆる用途に対してオワコンかといえば、そんなことはない。「手元」はとにかく「あちら側」ではまだまだSSDは高すぎるし、ウェアリングという問題も抱えている。クラウドの向こう側ではまだまだHDDに頑張ってもらわなければならない。むしろコンシューマーユースのおかげで停滞していた容量拡大が再びはじまる可能性だって否定できない。

それでも、HDDというデバイスがますます「ふつうの人の手」から離れていくというトレンドはもうはっきりしている。

そういう状況にあって、20.5億ドルで買った事業が43億ドルで売れるというのは、「よくこんなに高く買ってくれたなあ」というのが正直な感想だ。

Dan the Man with Too Many Storage Devices