諸君、私は原発が好きだ
諸君、私は原発が好きだ
諸君、私は原発が大好きだ

この地上で行われるありとあらゆる原子力発電が大好きな私でも、以下を鵜呑みにするのは無理である。

原発の未来、国民的合意の期待 ― コストに注視を ‐ 石井孝明 : アゴラ - ライブドアブログ
経産省の試算では原発の発電コストは建設費と再処理費用を含めても電力のキロワットアワー(kWh)当たりで5.3円、日本の発電コストの平均は6.7円になる。一方で自然エネルギーは太陽光で47円以上、風力9-12円、バイオマス発電12.5円、地熱22-20円と高い。

東電「実際の原発はもっと高い」

5.3円/kWhというのはあくまでモデルケースであり、実際の数字ではない。すでに40年もやっているのだからモデルではなく実データがありそうなものだがこれがなかなか見つからない。その代わり、電力会社の提出した設置許可申請書に載っている数字は簡単に見つかった。

いずれも原発に懐疑的な論者によるものと推察はされるが、原典を明らかにしているのだから検証も容易であろう。いずれにせよ、これらのページには右の数字が記載されている。

福島第二原子力発電所
一号炉: 10.32円/kWh
二号炉: 10.79円/kWh
三号炉: 14.55円/kWh
四号炉: 13.43円/kWh
柏崎刈羽原子力原子力発電所
一号炉: 14.04円/kWh
二号炉: 17.72円/kWh
三号炉: 13.93円/kWh
四号炉: 14.24円/kWh
五号炉: 19.71円/kWh
六号炉: 11.24円/kWh
七号炉: 10.37円/kWh

どう見ても倍以上です。ありがとうございました。

ちなみに客たる我々が支払う料金だが、従量電灯の三段階目が24.13円/kWh、低圧電力の夏期以外だと12.16円/kWh。おい、足出てないか?

原発は今欲しい電力源の正反対の特徴を兼ね備えている

もう二年以上前に書いた

の繰り返しになるけど、今欲しいのは

  1. 場所をなるべく選ばず
  2. 簡単に設置できて
  3. ピーク需要をカバーする

電力源なのだけど、原発は見事にこれの正反対。

東電「太陽光発電、すでに高く買ってます。高すぎて損してます」

何を隠そう。東電はすでに太陽光発電された電気を買い入れているのである。それもなんと48円/kWhという、最も高い従量電灯三段階目の倍額で。

Webを検索すると「太陽光発電で黒字!」という報告をあげているblogを多く見かけるが、そのほとんどがよく見ると発電量より消費量の方が多い。にも関わらずきちんと黒字になっている理由がこれだ。太陽光発電所のオーナーにとっては大変結構なことだが、東電にとっては大変なことである。

じゃあ東電自身が太陽光発電所作ればいいんじゃね?

ということになる。太陽光発電のネックの一つは、初期投資の大きさ。だいぶ安くなったとはいえ、パワーコンディショナーまで含めると1kWあたり50万円程度するようだ。しかし年一回は定期点検で止めなければならず、運営に千人単位の人員が必要な原発とは異なり、太陽光発電所は一度設置してしまえばほぼメンテナンスフリー。福島第一のように一機が事故ったらその周辺が一蓮托生ということもない。

だとしたら、住戸の所有者が太陽光発電所を建設・所有するのではなく、東電が屋根だけ借りて建設・所有すればいいのではなかろうか。これであれば、(広報はさておき)電力のプロのイニシアティブで太陽光発電化ができるし、大量発注によるコスト低下も見込める。

屋根の賃借料をどうするかという問題もあるが、これは「礼金」程度でよいのではないか。もともと「遊休不動産」だったものが「社会貢献の場」に化けるのである。それがいやであれば今まで通り自分で買って所有すればよいだけだ。

福島第一原子力発電所の事故を抜きにしても、沿岸の火力発電所もやられた以上、電力源の分散化は避けられない。今動いている原発は止めるのは難しいが、増やすのはそれ以上に難しく、そして電気のない生活に戻るのはそれ以上に難しいのだから。

Dan the One of 40+ Million Customers Thereof