100ベクレル多いか少ないか。ベクレルのままだとピンと来ないので…
asahi.com(朝日新聞社):千葉・埼玉の浄水場でも放射性ヨウ素 東京は基準以下に - 社会水道水1キロ当たりの放射性ヨウ素の検出量は、ちば野菊の里浄水場(千葉県松戸市)220ベクレル、栗山浄水場(同)180ベクレル、新郷浄水場(埼玉県川口市)120ベクレル。厚生労働省が設定した1キロあたり100ベクレルを上回っている。22日に210ベクレルを検出した金町浄水場は24日朝、79ベクレルだった。
実際に、100Bq/Lの水道水の中に、ヨウ素131がいくつ入っているかを調べてみましょう。
Bqというのは「一秒いくつ」ですから、Nベクレルの検体に入っている放射性核子の総個数をA0とすると、Nは次の式と等しいことになります。

なぜそうなるかは半減期 - Wikipediaをご覧頂くとして、ここでλはlog2を半減期で割ったものとなります。
これをA0について解けば、
A0 = N / (1 - e-λ) = N / (1 - elog2/t1/2)
となるので、あとはNと半減期さえわかれば1Lあたりの個数が判明するわけです。
で、実際に N = 100、t1/2 = 8.0197[day] = 692,903[s] を代入してみると、A0 = 99,964,689 と出ます。およそ一億個!
なんて少ないんでしょう。
1Lの水の中のDHMO分子と比べて。
1Lの水の中にどれだけ水分子があるか。水 - Wikipediaによると水のモル質量は18.01528 g/mol ですから、1000g中の水には 1000[g] / 18.01528 [g/mol] = 55.508435061792[mol]の水分子があることになります。1molは6.0221367*1023ですから、これをかけると 3.34279383945184 * 10 25 = 33,427,938,394,518,400,000,000,000 個の水分子が存在することになります。
先の 99,964,689 を これで割った数字が131Iのモル濃度ということになります。実際に計算してみると 2.99045330945065*10-18、1,000,000,000,000,000,000 の3、ですか。よく微量の化学物質を語る時ppmとかppbとかpptという単位が出てきますが、pptでさえ1,000,000,000,000の1。そのさらに100万分の1のオーダーということです。
[追記]「小さすぎてピンと来ない」という反響がいくつか来たので。1018というのは100万の3乗ですから、これは100万mm=1km立方の空間中に、1mm立方の粒が3つあるのと同じというたとえも出来ます。
これが安定同位体のヨウ素だとしたら、化学的には検出不可能ですよね。少なくともさっと計測器を通すようなやり方では。まさにレメディの領域。
こんな微量でも、放射性さえ帯びていれば検知可能。
アボガドロ数のオーダーを知っていればベクレルがどういう数字か体感出来る筈。1ベクレルを測定出来る事はすごい事。ざっくり言うと、放射能ほど測定しやすいものはない。だから、いろんな医学、生物学などの実験に使われる。
というわけで体感してみました。
「目に見えないから怖い」といいますが、むしろこの場合「見えてしまうから怖い」という感じですね。
Dan the Radioactive Man
追記:エレガントな別解。1 tweetに収まっているのも素敵です。
@dankogaiさん、ややこしすぎません?Bは分子数の時間微分そのものですから、M(t)=2^(-t/T)として、B=-dM(0)/dt=N(log2)/Tで、N=100x692903/log2=99964772個でいいのでは? http://rcdn.info/RQ1lW
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