盟友宋文洲の大人気メルマガ「宋メール」連載コラムの第三回目をこちらにも掲載します。

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    小飼弾
    http://blog.livedoor.jp/dankogai/

    4月21日午前10時現在、東日本大震災の死者数1万4084人、行方不明者1万3511人(警察庁発表)。ついに行方不明者の数が死者の数を下回りました。その一方、枝野幸男官房長官は22日午前0時より福島第一原子力発電所から半径20km圏内の避難指示区域を、法的に立ち入り禁止にできる警戒区域に指定すると発表しました。震災はいよいよ復興フェイズに入り、同時にそれが何十年にもおよぶことがこれで確定したように感じます。半減期30年のセシウム137による放射能はそう簡単に減らないからです。

    本来の区域指定は、原発からの距離ではなく実際の放射線量に基づいてなされるべきでしょう。米国エネルギー省の調査によると、それは福島第一原発と福島第二原発を底辺とし、北西に40km以上遡る飯舘村を含む、以下の地図で赤色で示された区域。

    1st-year-dose-estimate

    はじめから指定しないのはいつもの「お役所仕事」にしてもいずれはこれらの区域も警戒区域に指定されるはずです。

    この区域をどう「活用」すべきか、一案を http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51670418.html で示したので興味があればご覧下さい。それはさておき、やっと本題です。復興にあたって、何を優先すべきなのでしょうか、いや「何を」復興させるべきなのでしょうか。

    私はそれが、被災民であって欲しいと願っています。被災地ではなく。

    もっとはっきり言ってしまいましょう。それが被災民を救うことになるのであれば、被災地復興はあえてしない選択があってもよいということです。例えば2007年に財政再建団体に指定された夕張市の赤字は、当時住民一人当たり295万円。これであれば無理に市を再建させるより、移住支援をした方が安上がりだったはずです。

    http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51026303.html

    住民サービスをぎりぎりまで下げて、住民税をぎりぎりまで上げても、住民が移住してしまえばそれまで。実際2007年に1万2000人だった人口は、現在1万1000人を切るところまで減っています。

    そして今、日本全体の人口が減っています。仮に避難区域指定が解けるのに30年かかったとして、30年後一体どうなっているのでしょうか。2010年に1億2800万人だった人口は、2040年には1億人をわずかに上回る程度になると推計されています。

    http://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest03/newest03.asp

    別の言い方をすると、今回の震災の死者行方不明者の1,000倍もの人たちがいなくなるのです。これは現在の東北地方の全人口932万人の三倍にもおよびます。このことを計算に入れず、現在の人口を元に「復旧」をしたら、30年後の人々がそのツケで苦しむのは目に見えています。

    宋さんも私も、現在「ふるさと」に住んでいるわけではありません。が息災です。そこを離れたから今がある。住み慣れた土地を失うのは悲しい事です。しかし自らの命を失うほどのことではない。復興に関わる人々は、そのことを忘れないでいて欲しいのです。

    Dan the Contributing Writer Thereof