文藝春秋下山様より献本御礼。

仕事の速さにびっくりしたけど、読めばなるほど。

むしろ耄碌を感じた。燃料電池とかならとにかく。非常用電源が天候に左右されるってどんだけ< @drtomabechi 太陽発電、風力発電を所内に配置すべきだったというのはなるほど< @kochacha 大前研一http://bit.ly/h1TAqW #nikkeibpnetless than a minute ago via HootSuite Favorite Retweet Reply

これ、そのままなんだもの。

本書「日本復興計画」は、MITで院原子力工学科博士課程を修めた日本一著名な経営コンサルタントによる、福島原発事故の分析と震災後の日本に対する提言。なのだけど…

目次
はじめに
第一章 これで原子力の時代は終わった
第二章 三分の二に縮小する生活
第三章 日本復興計画

思いおこしたのは、「魔法少女まどか☆マギカ」の第11話のまどかがほむらに言った台詞。「なんでだろ。わたし、大前さんのこと信じたいのに、うそつきだなんて思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない」。

例えば冒頭の指摘。本書にもしっかり登場する。

P. 86
仮に非常用電源として風力発電があったとすれば…[中略]太陽光発電があれば…

私自身、風力発電も太陽光発電も多いに買っている。通常時の電源としては。

だからこそ、原発用の電源としては、それらが最も勧められない電源であることも知っている。そこで必要なのは「ベスト・エフォート」ではなくて「ワランテッド」な電源。真夜中だろうが凪であろうが地震があろうが津波が来ようが、確実に動作するものでなくてはならない。「動作原理が異なるバックアップ電源」という最初の前提は正しいのに、どうしてこうなってしまうのか?燃料電池NaS電池もあるというのに、どうしてよりにもよってここで風力と太陽光なのか。そこがおかしいことを理解するのに原子力工学の知識はいらない。

しかし本当の問題はそこじゃない。

でも紹介されている元提言が全く直っていないことそのものにある。

これは著者の責任というより、編者の責任というべきものだろう。「でもあれ?なんかちがうかも」に何のつっこみも入れなかったのか?それともそもそもそれがなかったのか。「俺の大前研一がこんなにドジなわけがない」と最初から思い込んでいたのか。だとしたらとんだ偏愛サーキュレーションだ。

おかしいところは他にもたくさんあるのだが、あとは読者におまかせする。重要なのは、「読まれずに読む」ことだ。正しい指摘も鋭い指摘もたくさんある本書はトンデモ本とは言い難いし、著者はトンデモ著者とは言い難いが、それでも経年劣化を認めざるを得ない。一ファンとしては認めたくないのだけど。

あ、あと紙不足の折り、緊急出版本でハードカバーってのはいかがなものでしょうか。印税がすべて震災復興にまわるとしても。

Dan the Disappointed