太陽系

訳者より献「本」御礼。

キ・タ・コ・レ。

これぞ、電子書籍の中の電子書籍。

これぞ、本を超えた本。

このアプリのためだけにiPadを入手する価値、あります。

本「書」「マーカス・チャウンの太陽系」は、あの「元素図鑑」も手がけたTouch Pressによる、括弧ぬきで太陽系を手に取る一「冊」。

本作ばかりは、何を言葉で書いてもしかたがない。とにかく文字通り手に取ってくれとしかいいようがない。これこそ「明日の本」の姿だということは、触ればわかる。

電子書籍そのものは、「今日の本の一版形」といっても過言ではない。米国Amazonではすでに電子版の売上が紙版のそれを上回っているそうだし、拙著も「弾言」と「決弾」に関してはすでにそうなっている。しかしそれらは「縦のものを横に」ならぬ「紙のものを電子に」したに留まっており、利便性向上とコスト削減を除けば、電子である必然性は、ほとんど、いや全く、ない。

「元素図鑑」や本作は、違う。紙には絶対まねできない。水金地火木土天海の写真を載せることは出来ても、それらを読者の手にとらせることは出来ない。Kindleでもだめ。今のところはiPadだけの特権だ。

そして「iPadをとおしてしかできない」ことにかけて、本作は「元素図鑑」の上を行く。同作で手に取れるものの多くは、iPadではなく実物を手に取ってみることも可能だ。あの美しいビスマスの結晶も現物が我が家にある。

しかし本作の星々の現物は、絶対に手に取ることが不可能なのだ。一番小さなイトカワでさえ、直径は330mある。太陽に至ってはあなたやわたしが今いる地球の109倍。とても手にはおさまらない。

しかし本作を通してであれば、本当に手に取ることができるのである。

それで1,600円1,200円とは。「ふつうの」電子本の利点、つまり「紙より安い」まで兼ね備えている。もちろん本作はiPadアプリである以上、本作以外にもiPadが必要で、その点が「紙より劣る」と言い張れなくはないが、本作を一度手に取れば、「iPad込みでも安い」ことを納得せずにはいられない。

いや、高い安いではないのだ。

他と比べようがないのだから。

Dan the Man on the 3rd Planet