著者および出版社より献本御礼。複数来たので。

正直、「構図」をもっと工夫して欲しかった。フォーカスが甘い。

壮大にして抽象的な「グランドデザイン」に関する語りは最小限にとどめ、いや可能であればばっさり切って、第一章第一項の「デザインのセンスは「アイコン」に宿る」だけで一冊にするべきだった。

しかし、この部分が素晴らしい。この部分こそ"designphobia"解消の第一歩となるべきものだ。

名著「デザインイノベーション」がグランドデザインの一冊なら、本書「デザインセンスを身につける」は「マイクロデザイン」とでも言おうか、「ナノデザイン」とでも言おうか、「きっと何者にもなれないオレタチでもできるデザイン」の一冊。

目次
第一章 センスとは何か?
第二章 なりたい自分をデザインする技術
第三章 プレゼンはデザインで勝負
第四章 デザインでブランドが育つ
第五章 デザインがわかると未来が見える

デザインとは何か?かつて私はこう言った。

​404 Blog Not Found:デザインがわかった! - 書評 - 企業戦略としてのデザイン​
​ デザインとは、体験のひな形の事なのだ。 ​

我ながら、これ以上デザインという言葉を的確にとらえた一言はないと今でも自負している。

と同時に、これほどデザインの現場で使いにくい一言もないと反省している。EsslingerやJobsであればこの言葉の重さに耐えることも出来るのだろうが、プロフェッショナルデザイナーでもない我々には重すぎる。いきおい、デザインという言葉を我々は敬して遠ざけ、他者がデザインした「センスのいい」ものを身につけるにとどまってしまう。それすら、おっかなびっくりだ。

著者は言う。

まずアイコンよりはじめよ、と。

たしかにこれほどデザインのコストパフォーマンスが高いものはそうはない。あなたをフォローしている友人は毎日のように目にし、あなたの発言がRTされたり引用されたりすれば、あなたの見知らぬ誰かもそれをあなただと認識するのは、アイコンだ。

P. 25
 もちろん、猫アイコンに限らず、飼い犬、花の写真、あるいは夏休みに撮った海の写真であっても同じことです。
 顔写真でなくても「誰が見てもこの人」と特定できればいいのですが、一目で誰か判断できないアイコンはアイコンとして意味をなさないのです。
 開示すべき情報がデザインされていないのですから、見る側に好感を持ってもらえるはずがありません。

それではどのようにすれば、あなたのアイコンを「自らを飾り立てるのではなく、まず、他と間違われてはいけない自分というものをしっかりと意識し、何が自分の強みなのかを考え、ただ「自分らしい」だけではなく、相手が「価値」を感じる「自分らしさ」を認識」したものに出来るのか?

答えは本書で確認していただくことにして、その「自分らしさ」には「欠点」が含まれていても構わないというのが私が著者のtwitter iconから受けた印象である。

冒頭に「フォーカスが甘い」と書いた。これは本書の印象であると同時に、著者のアイコンから受けた印象であもある。アイコンを小さくすると、それがはっきりする。

ちなみに私のは、以下のとおり。

残念ながらtwitterをはじめSNSのほとんどにおいては、Mac OS X や Windows などのデスクトップOSとは異なり小アイコン専用画像というのを用意できない。大きめの画像をアップロードしたら、あとはシステムに任せるしかない。そこまで考えれば、著者おすすめの三分法も、バストショットではなくフェイスショットにするべきではなかったかと私は感じる。

しかしその違和感こそ、私ではない著者の証でもあるのではないか?

そしてその違和感は、著者の「全景」を見れば納得へと変わる。

そう考えれば、やはり著者のアイコンはこれでよいのである。

少なくとも卵だの小鳥だの猫だのアニメキャラそのままだのより、よほど機能的かつ美しい。

ところで私のアイコンは私が作成したものではない。@keiichisennseiこと田中圭一が描いたエッセイ漫画から、私がお気に入りの場面をクリップして色を付けたものである。google+Facebookなどtwitter以外で使っているデフォルトの肖像も、やはりプロのイラストレイターである@hisashinisに描いてもらったものである。何をいいたいかというと、デザインというのは1から10まで自分でやらなくてもよいということである。

「グランドデザイン」的には、もちろんだれにどうデザインしてもらうかもまたデザインの一環ではあるのだが、しかし我が身を振り返っても、デザイン恐怖症の最大の理由は「どこからどこまでやればいいのか検討もつかない」ことにある。

出来るところから少しずつやればいいのに。

このことに気づくだけでも、あなたのデザインセンスのステージは一段上がる。

とりあえず手を付けてみよう。

まずは、アイコンから。

Dan the Designer of His Own