むしろパソコンしかなかった世代ほどこういう勘違いをする。

Twitter / @TERRAZI: 突き詰めると今のところスマートフォンには「普通にWe ...
突き詰めると今のところスマートフォンには「普通にWebページが見れますよ」「タッチパネルが使えますよ」以外の利点が無いように見える。それをさもすばらしいものとすり込むことに成功したのは、PCは使いにくいものという下敷きがあるから。

私自身を、含めて。

スマートフォンにはあってパソコンにないものは、タッチパネルだけではない。

スマートフォンにはGPSがついている。それをとおしてスマートフォンはあなたがどこにいるかを知ることができる。電子コンパスが付いているのも一般的となってきた。スマートフォンはそれをとおしてあなたがどちらを向いているかを知る事ができる。加速時計とジャイロも付いている。それをとおしてスマートフォンはあなたがどうそれを持っているのか知る事ができる。

これらとキーボードやマウスやカメラやマイクロフォンとの違いは何だろうか?

パソコンについているインプットデバイスは、ユーザーが明示的かつ積極的にそれを使って、はじめて入力が生じる。これに対してスマートフォンにしかついていないセンサーの入力は、ユーザーが「何もしなくても」、「ただ一緒にいるだけで」生じる。

パソコンはユーザーに命じられてはじめてユーザーの意図を知る。

スマートフォンは、ユーザーに命じられなくともユーザーの意図を読むことができる。

しかし「読むことができる」のと、実際にそれを読んだ上でユーザーの意図を汲むのには実に大きなギャップがある。せっかく豊富な入力があっても、それを処理する能力がなければ、入力はただのノイズと化してしまう。しかしスマートフォンにパソコンの処理能力を現時点で搭載するのは無理があるし、「命じたことを行う」には充分な能力を持つパソコンにも、「ユーザーの意図を汲む」ほどの情報処理能力は実はない。どうすればよいか?

クラウドが、あるではないか。フォームファクターにもプラットフォームにも左右されない無制限の処理能力がこれで手に入る。「スマート」フォンの「スマート」を、フォンに内蔵する必要はもうないのだ。

スマートフォンをパソコンと比較すること自体が間違いなのだ。

比較の対象は、むしろキーボードでありマウスなのだから。

「ユーザーに命じられる」から「ユーザーの意図を読む」へ。そこにこそ、PCとポストPCの分水嶺がある。それは「ポータブル」と「モバイル」の分水嶺でもある。「持ち歩ける」だけではだめなのだ。「持ち歩かれた」ことを知り、それに応えなければ。

ところで、スマートフォンが持っているセンサーを全て持っているポストPCデバイスがもう一つある。タブレットだ。処理能力不足をクラウドで補ってもなお、スマートフォンには画面を大きくできないという欠点が残っているが、タブレット、いやiPadはこの問題を見事に解決した。なぜiPad以外のタブレットが離陸できないかといえば、Apple以外にはこのことがきちんとわかっていなかっただろう。

それをApple以外で最初に把握したのはGoogleでもSonyでもなくAmazonなのかも知れないというのはさておき、なぜこれほど多くの人々が、これほど深くJobsの死を悼んだのかも、これで腑に落ちる。他者は「これが欲しい」と命じられるまで動かなかった。Jobsだけが、我々自身すら知らなかった我々の意図を汲んできたのだ。

iCEOに始まり、iMac、iPod、iPhone、iPadと続いたiは、intimateのiでもあるのだから。

Apple - Apple Events - Apple Special Event October 2011
Forstall:
Who are you?
Siri:
I am a humble personal assistant.

iはimmmortalのiになったのだろうか?

本日iPhone 4Sを予約することにしよう。それを確認するために。

Dan the Humble Personal Blogger