出版社より献本御礼。

書評しそびれているうちに、Amazon 10位ですか。

Touch of Greyのビルボードの順位と同じではないですか。

でも、本書にはベストセラーよりロングセラーになってほしい。

Greatful Dead のように。

本書「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」の Greateful Dead は日本ではあまり知られていなかったけど、本書でそれも変わるだろう。インターネットのイの字もなかった頃にフリーミアムを実現していた彼らが知られていなかったことは、日本のインターネットにおける最大の悲劇だったのかも知れない。

目次
彼らはそれをやっていた。 糸井重里(まえがきにかえて)
序章 「グレイトフル・デッドのライブほど素晴らしいものはない」
PART ONE THE BAND バンド
1章 ユニークなビジネスモデルをつくろう
2章 忘れられない名前をつけよう
3章 バラエティに富んだチームを作ろう
4章 ありのままの自分でいよう
5章 「実験」を繰り返す
6章 新しい技術を取り入れよう
7章 新しいカテゴリーを作ってしまおう
PART TWO THE FANS ファン
8章 変わり者でいいじゃないか
9章 ファンを「冒険の旅」に連れ出そう
10章 最前列の席はファンにあげよう
11章 ファンを増やそう
PART THREE THE BUSINESS ビジネス
12章 中間業者を排除しよう
13章 コンテンツを無料で提供しよう
14章 広まりやすくしよう
15章 フリーから有料のプレミアムへアップグレードしてもらおう
16章 ブランドの管理をゆるくしよう
17章 個人事業者と手を組もう
18章 社会に恩返しをしよう
19章 自分が本当に好きなことをやろう
本書の発刊に寄せて ビル・ウォルトン
訳者あとがき

その活動をとおして、彼らはインターネットのありように対するメンターともなった。彼らのファンは Deadheads と呼ばれるが、 Deadheads はインターネットの現場の至る所に見られる。私自身は時々"Touch of Grey"を聴くぐらいでとても Deadheads とは言えないが、それでも Deadheads に囲まれて寮生活を送ったのだ。 The Night of the Living Deadheads といったところか。お、少なくとも OS X の spellchecker は deadhead を知ってるぞ。よしよし。

インターネットというのは、ヒッピーとヤッピーの交差点である。Steve Jobsの"technology alone is not enough. It's technology married with liberal arts, married with the humanities, that yields the results that make our hearts sing." の liberal arts と humanities とは、まさにヒッピーのことだ。本書を表して「時代が Grateful Dead に追いついた」という人もいるだろうが、それは少し違う。それに触れて育った人々が時代を築いたのだから。

インターネットを「輸入」した国では、そのうちヤッピーばかり輸入してきたように思う。結局のところ、それがライブドア事件の遠因でもあり、そして今またこういう法案が持ち上がる理由ではなかろうか。

時事ドットコム:違法ダウンロード処罰へ法案=自公
自民、公明両党は7日、インターネットを通じた音楽や映像ファイルの違法ダウンロードに対し、2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科す法案をまとめた。民主党に協力を求め、来年の通常国会で成立を目指す。
ネット上では音楽ファイルなどの違法ダウンロードが相次ぎ、関係業界に多大な損害を与えている

彼らにとって、 Deadheads は「関係業界に多大な損害を与えている」としか映らないのだろうか。本書を読んで再考していただきたいものだ。本書を読了後もそれがわからないのであれば、それは Brain Dead の証拠である。

Dan the Man with a Touch of Grey