いやあ、書評しなくてよかったなあ。献本いただいたのだけど御礼とおりこしてありがた迷惑だった一冊だけに。

佐藤秀峰さんの本やマンガへの考え方について(岩崎夏海) - BLOGOS(ブロゴス)
本は、購入した人の所有物ではありません。そもそも、太陽とか土とか水でできた紙を使ってできた本を、数百円払ったくらいで「所有」しているという考え方がおこがましい。

内容は「ドラッカーを誤読しまくったあげく上あまつさえその誤読を本にしたあげく売りまくった」ことを除いてきれいさっぱり忘れてしまったのだけど、おかげで我が身の忘却力を再確認できたし、私が選考委員であればイグノーベル文学賞はこれ以外推奨しようがない。いや、イグノーベル平和賞か。どれだけ原典を食い物にして慰み者にしようがおとがめなしなんて、これ以上の平和はありえない。いっそ文学賞は著者に、平和賞は出版社にというのはいかがかと。「ありがた迷惑」なんてとんでもない。改めて献本御礼申し上げます。

ところが現状は「おれの誤読本には金を出せ。ただしそれを誤読することは許せん」という岩崎夏海氏の願いも空しく、読者によって裁断されスキャナーにされようが、表紙の女子高生で尻を拭かれようが、著者には手も足も出ないのが現状です。

佐藤秀峰 日記 | 漫画 on Web
スキャンされない唯一の方法は、本を販売しないことです。

ところが電子書籍であれば、こんなことも可能なのです。

アマゾンは「ビッグブラザー」? 電子書籍を無断で遠隔削除 国際ニュース : AFPBB News
【7月19日 AFP】米インターネット通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が、電子書籍用端末「キンドル(Kindle)」ユーザーに販売したジョージ・オーウェル(George Orwell)作品の電子書籍をユーザーに無断で遠隔削除したことが分かった

岩崎氏をはじめ読者に誤読権がないとお考えの著者におかれましては、一刻も早く著者による遠隔削除が可能な電子書籍プラットフォームを立ち上げた上で、すでに紙で出版された書籍を一冊残らず回収することをお勧めします。そうそう。紙の本の回収と誤読者に対する遠隔削除にあたっては、返金なさることもお忘れなく。「クソレビューで埋もれた」Amazonでさえそうした以上、そうでもなければすでに普及しつつあるプラットフォームに対して勝ち目はないのですから。

Dan the Unreadable