「他人ごと」以上の興味を持ったのは、私も学生時代すかんぴんなヒモだったからかな…
それはさておき、studygiftには、いや、仕掛人である@hbkrには何が抜けているのだろうか?
「抜け」、ではなかろうか。
「間抜け」の「抜け」でもあるが、「肩の力を抜け」の「抜け」でもある。
それこそが彼のコア・コンピタンスである、少なくとも「であった」ことは、「こんな僕でも社長になれた」を読めばよくわかる。残念ながら新刊としては入手不能なようなので、こちらの記事を代わりに読んだ上で、その「代表作」であるところのロリポことロリポップのキャンペーンを見てみればある程度見えてくる。
- ITは、いま:ひきこもりからIT社長に “paperboy”の軌跡 (1/4) - ITmedia ニュース
- ロリポップ!10周年記念 おじいちゃんキャンペーン - ロリポップ!レンタルサーバー
- キャンペーン情報 / お知らせ - ロリポップ!
乱立するレンタルサーバー業界で一つ「抜けた」のは「一番すごい」からでも「一番安い」からでもない。特に後者は今や「無料」がいくらでもある以上、差別化要因には全くならない。では何が一番だったかといえば、「ゆるさ」ではなかろうか。それもゆるいのはあくまで態度であって、技術力までゆるいわけではないというところがミソ。そこまでゆるかったら客商売にはならなかったはずだ。
もはや「イエイリズム」とでもいうべきこのゆるさには、三つの強さが自然と備わる。
- 顧客が過剰品質を期待しない
客に「ダメもと」と思ってもらうということである。「ゆるくない」サイトにはゆるくない客が集まるように、「ゆるい」サイトにはゆるい客が集まってくれる。
- 商売敵に本気を出させない
同様に、「ゆるい」サイトには商売敵も「ゆるく」対応してくれる。力任せの殴り合いには発展しにくい
- 模倣が難しい
しかし「ゆるさ」というのが数値化できない「キャラ」に依る以上、上っ面だけまねても真似たことにならない。
このように自らの弱さを強さとし、かつそれを自分のキャラにとどめず社風にしてしまったことにこそ、彼の成功の秘訣があるのであるが、もしかして本人はそれを気に入っていないのかも知れない。
今のぺパボに対してどう思ってますか? - 家入一真Interviews具体的な事言うとペパボ色にとらわれ過ぎて攻めに転じられてない気がする。ペパボ好きのペパボ好きによるペパボ好きのためのサービスしか展開していないというか。悪い事じゃないんだけど。もっと個々のエゴを見たい。今年来年と劇的に変化してく業界の局面を読んで上手く攻めて欲しい。
岡目八目目線では、今のペパポは父以上にイエイリズムを忠実に実践しているように見える。攻めたら一番の強みである「抜け」がなくなってしまうではないか。
で、ペパポ後の家入作品を見てみると、ブクログにせよCAMPFIREにしろ確かに「抜け」がない。ご本人は「いめちぇん」を果たそうとしているのだろうか。確かにまじめなのだが、まじめであるがゆえに「笑って許す」余地も、もはやない。
ということは、「抜け」がないのに「抜けている」ことに対して、目こぼしがなくなるのも当然なのではないか。「プラットフォーム」というのであれば、なぜstudygiftには一人しかいないのか?これじゃ「パトロン」ではなく「パパ」にしか見えないのだが。なぜ単純に"CAMPFIRE for Students"にしなかったのか。
声をあげるってとても勇気のいる事。その勇気に僕らは全力で応えたいけど、声を出せない子はどうしたら良いんだろうとも思う。 #studygift
— 家入一真(Kazuma Ieiri) (@hbkr) May 20, 2012
「プロジェクト投稿」がない以上、応援しているのは「苦学生」という一般名詞ではなく、「坂口綾優」という固有名詞としか解釈のしようがないよね?これじゃイエイリがいきめばいきむほど、とばっちりが彼女に行くのは、それこそ炎上を見るより明らかだよね?
昨日から議論を呼んでる問題。私はこの意見に全面賛成。多様なあり方があることを認識し、支援したい人が支援すればいい。同意できないのなら無視すればいいんじゃ。/学費支援プラットフォーム「studygift」を応援ikedahayato.com/?p=9456
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) May 19, 2012
で、折角「好きなことを貫いた結果ドロップアウト」するという形で「多様なあり方」を実現しかけた彼女を、「プラットフォーム」の力で学校に戻すことの、どこが「認識」なのかというのはまた別の機会に話すことにして、家入一真ともあろう御仁が自らの天性に背いている--ように端からは見える--ことに目の当たりにして、天性に従うしか生きようがなかった一中年の心も、本entryを書きなぐってしまう程度には穏やかでいられなかったのであります。
dankogai, no one else
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