今月は、WEB+DB Press と Software Design が双方発売される月。

まずは Software Design の方から。表紙にでかでかと「C言語のポインタは必要ですか」とあります。

C言語のプログラミングで誰しも最初にぶつかるのがポインタの壁です。うまく理解できなくても自分には必要がないもの,と通り過ぎていませんか? 今はスクリプト言語が便利な時代だから関係ないよね,Javaだってポインタはないから要らないよね,と自分を納得させていませんか? でも,理解できないことが,わかるようになると世界がいっきに広がります。まず基礎の基礎の復習をしましょう。そして機械語・アセンブリ言語まで視野を広げて,ポインタの概念をリセットして新しい視野を得ましょう。Linuxのソースコードに現れるポインタの使われ方を知り,最後にネットワークプログラミングでポインタが必須である理由を理解してみませんか。わかる喜びでエンジニア魂を覚醒させましょう!

ポインタと無縁のプログラマーは、今ではプロにさえ珍しくなくなりつつありますが、「普通のやつらの上を行け」るのは、「普通のやつらの下」を制してこそ。これを機械、もとい機会に学び(直し)?ましょう。

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WEB+DB PRESS vol. 70

そして WEB+DB Press の方は、70号記念企画の「低次元世界のオートマトン」が目を惹きます。

語源的には「からくり人形」を意味するオートマトンは,1950年代に登場した自己増殖機械や一斉射撃問題,1970年代に生まれたライフゲームなどから,21世紀の現在に至るまで研究され続けている,計算機科学の古くて新しいテーマです。創刊70 号を記念した本企画では,日本初のハッカーと呼ばれ,東京大学名誉教授やHappy Hacking Keyboardの生みの親として知られる和田英一先生が,リアルタイムに見てきたオートマトンの60年間を書き下ろします。

いやあ面白かった。

ただライフゲームに関する記述が、「ライフゲイムの宇宙」あたりで止まっているように見受けられるので、そこだけ少し補足します。

P. 120
ライフゲームの万能性を証明しようとして、計算機の設計も検討されている。しかしけっこう大変な作業であることは否めない。

それを具体的に検討したのが「ライフゲイムの宇宙」なのですが、原著初版の1985年にはまだ「検討段階」だったライフゲームによる万能チューリングマシンの実装は、2002年に達成ずみです。

パラメトロン計算機: Life Game
広い空間と長い時間を使えば, Life Gameで計算機がシミュレート出来るという話は聞くが, そう簡単には納得できない

と先生はおっしゃいますが、Gollyで実演できます。このGolly、ライフゲーム以外のセルラーオートマタもシミュレートできるので、これで実際に試しながら本記事を読むとよりいっそう楽しめるはず。

両誌ともよろしくお願いします。

Dan the Contributing Writer