というわけで、YAPC::Asia Tokyo 2012 の最終日に届いたので。

今回はかさばる画像が多いので、画像はminus.comのスライドショーをentryの最後に。

  • 大きさは右の「モバイルバカ」な写真の通り。大きい順にMacBook Air 13-inch, iPad, Nexus 7, Galaxy S3, iPhone 5。
  • 面積がiPadの半分弱、重さが半分強なので意外とずっしりとした手応え。ただしiPhone 4/4Sのようなよい意味で。
  • iPadのような高級感はないものの、それ以上に安っぽくない。この点はKindle Fireに勝る。
  • それを台無しにしているのが、このステッカー。 iPadのようにレーザー刻印しろとまでは言わないから、せめてステッカー用のくぼみを設けておけば…こういうところに無頓着なのってWintel文化ですかアスース改めエイスースさん?
  • アスペクトレシオが16:9ではなく16:10でほっとしている。16:9はスマートフォンには適していてもタブレットには適さない。上下に表示されるタブやボタンやコントローラーなどを差し引くと、コンテンツの表示部分は14:10ぐらい。なんちゃってAjaxマンガビューワーもどんぴしゃり
  • ただしNexus 7に「最強のAndroidデバイス」を夢見たのは過剰な期待だった。実際 Chrome のパフォーマンスはもたつきがないものの Galaxy S3 よりも明らかに遅い。たとえば「javascript - でRGBを全て詰め込んでみる」のRGBキューブのアニメーションは、15fpsを切る。Galaxy S3であればその倍、iPhone 5に至ってはその三倍。
  • もう一つスペック面で残念だったのが、5GHz Wifiに未対応だったこと。新Kindle Fireは対応しているそうだし、Galaxy S3もiPhone 5も対応している。
  • そのKindle Fireこそが、Nexus 7の直接の競合相手であることは、ホーム画面を見ても明らかだ。 つまり Nexus 7 を語るには、端末そのもののみならず Google Playについて見ておく必要がある。
  • そのGoogle Playなのだが、現時点ではテラまでいかぬともカオス状態ではある。
  • 例えば書籍。Mac/PC版Chromeでは縦書きに対応しているのに Nexus 7 では未対応で、なのに Galaxy S3 では縦書きに対応していたり…
  • 映画では Nexus 7 ではスクリーンショットが撮れないようになっているのに Galaxy S3 ではあっさり撮れちゃったり…
  • Google WalletでAMEXが使えなかったり
  • しかたがないのでVISAで決済した後改めて確認したら、双方のクレディットカードが登録されていて、しかもAMEXの方がデフォルトになっていたり…
  • という具合で iTunes Store や Amazon ほど安心して使えるという段階には達していないのだけど、iBooks も Kindle もまだ日本ではじまっていないし、GoogleであればマーケットをRabooることもなさそうだし、巧遅より拙速をよしとしたことは高く評価したい。実際にやってみないとダメ出しも出来ないしね。

というわけでまとめると、iPad以外ではじめて代金を払って手に入れる価値があるタブレットが登場したと言い切っていいだろう。その代価は19,800円。これに2000円分のGoogle Playクーポンが付く。

と同時に、Androidタブレット(およびKindle他派生デバイス)ベンダーにとって、真の敵はGoogle自身であったこともはっきりした。OSとマーケットを握る「ベンダー」が最も安いハードウェアを出しては、他は商売あがったりだ。

あと意外と競合するのが、昨今(物理的な)成長著しいAndroidスマートフォン。例えば性能面でGalaxy S3は明らかにNexus 7を上回るし、画面も大きいので地図などを見るためにわざわざNexus 7をテザリングして使いたいという気持ちにはなりにくい。そしてPC用のWebページを見るには7インチというのはちょっと小さすぎ、枕元や膝元で使うにはiPadの方がはるかに快適なのである。iPhoneとiPadの棲み分けが楽なのは、大きさが似ていないということも大きい。

とはいえ、業界最大の「鬼」Appleとの直接競合を避け、「マーケットへの足場としてのU$200タブレット」という市場をKindle Fireで発見したAmazonを、日本で先行したことの意味は大きい。GoogleがAmazonとどのような戦いを繰り広げるのだろうか。Appleが"iPad mini"で乱入してくることはあるのか。そして楽天その他、日本における電子コンテンツマーケット運営者たちはこの先生きのこることができるか…

Dan the Player Thereof

追記:縦書き表示未対応の場合、[設定]→[アプリ]→[Google Play ブックス]→[データを消去]でNexus 7側のデータをまっさらにした後、アプリを起動してGoogle Playから書籍を「読み直せ」ば直る。

しかしアプリの更新でも直らなかった以上、一種のキャッシュ更新バグとみなすべき。