今月もそろそろ Software Design が発売される時期を迎えました。

今月号の第一特集、「シェルスクリプティング道場」がいい意味で低レベル。ここで言う「低レベル」はもちろんソフトウェアの階層的にということで、記事はもちろん高レベル。シェル「スクリプティング」とは名売っていますが、むしろ「プロセスを起動するとはどういうことなのか」とか「パイプはどうやって実装されているのか」といった、カーネルとユーザーランドの境目がとてもよくわかる記事が盛りだくさんです。これを読めばcrontabなどによく登場する

foo 2>&1 | bar

のような一見わけわかめな構文も腑に落ちるようになります。

そこであえてLinuxではなくFreeBSDを使っているところもいけてます。DTraceかわいいよDTrace。LinuxやOS Xってだいぶ/etc/rcまわりの「ブラックボックス」化が進んでいて、教材にはしにくいのですよねえ。

ただ、言語としてのシェルスクリプトはやはりわかりにくいしそれ以上に書きにくい。どうしてそうなっているのかも最初にきちんと説明がありますが、それでもこの部分は「もう少しなんとかならなかったのか」感がなきにしもあらず。まあそのおかげでP言語が勃興したのであれはあれでよかったのかも知れませんが…

404 Blog Not Found:コマンドラインユーザー必携 - 書評 - Bashクックブック
もっとも、私がshell scriptを新たに書き下ろすことは滅多にない。Perlで全部書いた方が簡潔だしポータブルだから。それでも、shell scriptとつきあわない訳には行かない。書き下ろしではなく書き直しという需要があるからだ。/etcの下を覗きたかったら、shell、それも/bin/shの知識が必須になる。本書は「shクックブック」としても使えるように書かれていて、今までshell scriptの構文を忘れては(ex. 「あれ? if を閉じるのっって fi だったっけ endif だったっけ?」) FreeBSD の /etcの下をカンニング帳がわりに覗いていた私には実にうれしい一冊だ。

というわけで本特集の後に読むべき一冊としてこれもあわせて紹介しておきます。

私の連載は今月号を含めあと二回ですが、今後ともよろしくお願いします。

Dan the Contributing Writer