この自転車置場の議論に関す私見は以前述べたのですが、今頃になってまた「発掘」するはめになったのは、寝込みうどんになっていたから。
48時間ほどそうなっていたのですが、「第一日」(夜行性につき「夜」でなくて「日」)に、来月でやっと一歳になるはずの甥らしき人物が、七歳ぐらいの姿で現れたのですね。悔し涙をためて。
で、先ほどの私見をくりかえしたら、こういいかえしてきたわけです。「だったらしょうめいしてよ!」って。困ったことに、その場ですらりとは返せず、「あうあう」のたまってるうちにそこで一度目を覚ましてしまいました。
で、寝床にふせたままiPadでぐぐってみると…
- 乗法 可換 証明
- それでも自然数の積は可換である - 吾輩は馬鹿である
- multiplication commutative proof
- Integer Multiplication is Commutative - ProofWiki
これではいくらなんでも「七歳の甥」には無理ゲーというものなので、なんとかならんかなと思いつつまた私は再び寝込みうどんと化したのですが、その時に見た夢が以下のような感じでした。夢らしくなんとも都合のよいことに、夢時系列では一日目の前に甥とこんな感じの会話をしなおしたのです。
「ものごとには、じゅんじょがある」
「うん」
「たとえばこむぎこをきじにしてからやくと、パンやケーキになるけど、こむぎこをさきにやいちゃったら、ただのこげたこむぎこになっちゃう。クスクス?」
「そだねー」
「でも、じゅんじょをひっくりかえしても、おなじになるものもなかにはある」
「たとえば?」
「たしざんとか。1たす2は3」
「2たす1も3」
「どんなかずでもそうかな?」
「うーんと、たぶんそうなる?」
「たぶん?」
「そうなる!」
「どうして?」
「うーん…」
「とりあえず1たす2をみてみようか。1円玉ひとつと、1円玉2つ」
「いち、に、さん」
「こんどはみぎから」
「いち、に、さん」
「どっちからかえても、かずはかわらないよね」
「かわらない」
「だから、『1たす2』『と』『かぞえて』も、『2たす1』と『かぞえて』も、どっちも3。どんなかずでもそうなる」
「なんだ、あたりまえじゃん」
「あたりまえだけど、これってすごいことなんだ。たとえば『おくせんまん』ってちょうおっきなかずがあったとしても、『おくせんまんたす1』も『1たすおくせんまん』もかぞえなくても『おくせんまんいち』っていいきれるんだから」
「ふうん」
「『おくせんまん』ってかずはほんとはないんだけどね。こどものころは『とにかくおっきなかず』のいみでつかうみたいだけど。えいごだと zillion とか」
「うそつきー」
「でもどんなかずでも『たす』のまえとうしろをいれかえてもおなじかずになるってことはわかったかな?」
「わかった!」
「うん」
「たとえばこむぎこをきじにしてからやくと、パンやケーキになるけど、こむぎこをさきにやいちゃったら、ただのこげたこむぎこになっちゃう。クスクス?」
「そだねー」
「でも、じゅんじょをひっくりかえしても、おなじになるものもなかにはある」
「たとえば?」
「たしざんとか。1たす2は3」
「2たす1も3」
「どんなかずでもそうかな?」
「うーんと、たぶんそうなる?」
「たぶん?」
「そうなる!」
「どうして?」
「うーん…」
「とりあえず1たす2をみてみようか。1円玉ひとつと、1円玉2つ」
○○○「まずひだりからかえてみて」
「いち、に、さん」
「こんどはみぎから」
「いち、に、さん」
「どっちからかえても、かずはかわらないよね」
「かわらない」
「だから、『1たす2』『と』『かぞえて』も、『2たす1』と『かぞえて』も、どっちも3。どんなかずでもそうなる」
「なんだ、あたりまえじゃん」
「あたりまえだけど、これってすごいことなんだ。たとえば『おくせんまん』ってちょうおっきなかずがあったとしても、『おくせんまんたす1』も『1たすおくせんまん』もかぞえなくても『おくせんまんいち』っていいきれるんだから」
「ふうん」
「『おくせんまん』ってかずはほんとはないんだけどね。こどものころは『とにかくおっきなかず』のいみでつかうみたいだけど。えいごだと zillion とか」
「うそつきー」
「でもどんなかずでも『たす』のまえとうしろをいれかえてもおなじかずになるってことはわかったかな?」
「わかった!」
「じゃあたしざんがわかったところで、『たしざんのたしざん』をやってみよう」
「たしざんのたしざん?」
「かえってわかりにくくなっちゃったかな。『かけざん』っていうんだ」
「あ、なんだ、かけざんか…こんどならうんだー『九九』だっけ?」
「2たす2は?」
「4」
「2たす2たす2は?」
「6」
「2たす2たす2たす2は?」
「んーと、8?」
「そう。おなじかずをくりかえしたしていく。『2かける2』なら2を2かい、『2かける3』なら2を3かい」
「じゃあ3かける3は?」
「えーと、3たす3が6で、6たす3が9だから、9」
「そうそうそのちょうし。じゃあ3かける2は?」
「6」
「2かける3は」
「2たす2は4で、4たす2は6だから、6」
「3かける2は?」
「さっきやったじゃん。6」
「2かける3は?」
「6。それもさっきやった」
「…なにかきづかない?」
「あ、じゅんばんがぎゃくでも、おなじ!?」
「これってどんなかずでもそうなる?」
「うーん、そうなる!」
「なんで?」
「たしざんがそうだったじゃん。かけざんだってきっとそうだよ」
「それがりゆうになるかな?ほんとにそうかたしかめるまえに、こんどは『かけざんのかけざん』をかんがえてみようか?『くりかえしたす』かわりに『くりかえしかける』の。『べきる』っていう(またさりげなくウソをふきこむ伯父であった)。それではもんだい。『2べきる3』は?」
「2を3かいかけるんだよね。2かける2は4、4かける2は4たす4だから、8だ」
「せいかい。じゃあ『3べきる2』は?」
「3を2かいだから、3かける3は、3たす3たす3で、9…あれ、8じゃない!」
「そういうこと。さいしょにいったよね、ものごとには、じゅんじょがあるって。べきぬものはべきぬのです!」
「うーん」
「じゃあかけざんにもどって、かけざんのばあい『なんとかかけるかんとか』と『かんとかかけるなんとか』はかならずおなじになるのか?なるのだとしたらどうやってそれをしらないひとにつたえる?」
「うーーーん」
「じゃあこんどあそびにきたときにもういちどきくから、しゅくだいね!」
「えー」
「たしざんのたしざん?」
「かえってわかりにくくなっちゃったかな。『かけざん』っていうんだ」
「あ、なんだ、かけざんか…こんどならうんだー『九九』だっけ?」
「2たす2は?」
「4」
「2たす2たす2は?」
「6」
「2たす2たす2たす2は?」
「んーと、8?」
「そう。おなじかずをくりかえしたしていく。『2かける2』なら2を2かい、『2かける3』なら2を3かい」
「じゃあ3かける3は?」
「えーと、3たす3が6で、6たす3が9だから、9」
「そうそうそのちょうし。じゃあ3かける2は?」
「6」
「2かける3は」
「2たす2は4で、4たす2は6だから、6」
「3かける2は?」
「さっきやったじゃん。6」
「2かける3は?」
「6。それもさっきやった」
「…なにかきづかない?」
「あ、じゅんばんがぎゃくでも、おなじ!?」
「これってどんなかずでもそうなる?」
「うーん、そうなる!」
「なんで?」
「たしざんがそうだったじゃん。かけざんだってきっとそうだよ」
「それがりゆうになるかな?ほんとにそうかたしかめるまえに、こんどは『かけざんのかけざん』をかんがえてみようか?『くりかえしたす』かわりに『くりかえしかける』の。『べきる』っていう(またさりげなくウソをふきこむ伯父であった)。それではもんだい。『2べきる3』は?」
「2を3かいかけるんだよね。2かける2は4、4かける2は4たす4だから、8だ」
「せいかい。じゃあ『3べきる2』は?」
「3を2かいだから、3かける3は、3たす3たす3で、9…あれ、8じゃない!」
「そういうこと。さいしょにいったよね、ものごとには、じゅんじょがあるって。べきぬものはべきぬのです!」
「うーん」
「じゃあかけざんにもどって、かけざんのばあい『なんとかかけるかんとか』と『かんとかかけるなんとか』はかならずおなじになるのか?なるのだとしたらどうやってそれをしらないひとにつたえる?」
「うーーーん」
「じゃあこんどあそびにきたときにもういちどきくから、しゅくだいね!」
「えー」
「おひさ。しゅくだいはおぼえてる?」
「『かけざんのじゅんばんはどんなかずでもいれかえていいか』だよね」
「そうそう」
「よくかんがえたら、そんなのあたりまえじゃん!たとえば2かける3ね。1円玉ちょーだい」
「たりるかな…はい」
「こういうふうにならべるよ」
「おみごと。ワシよりエレガントなせつめいかも。ワシはこうかんがえた。せつめいしやすくするために、『なにかけるなに』の『かける』のまえのかずを『かけられるかず』、うしろを『かけるかず』とよぶことにする」
「おゆかけられるらーめん」
「おゆもらーめんもかずじゃないYo!それはさておき、まず『かけられるかず』と『かけるかず』がどっちもおなじばあい。このばあいいれかえてもかわりようがないよね。おなじものでおなじものをとりかえたんだから」
「2かける2、3かける3、4かける4…あたりまえじゃん」
「だとしたら、かけられるかずとかけるかずがちがうばあいでもなりたてば、『どんなかずどおしでも』なりたつといえるよね。じゃあさっきの一円玉で、2かける3をやってみようか」
「で、2のほうはもう『かけられるかず』と『かけるかず』がおなじばあいになっている。この『しかく』はせいほうけいともいうんだけど、それはさておき…」
「で、こんどはこうしてみる」
「そう。『3かける2』になった」
「これ、どんなかずのばあいにもおなじことができるよね。たてよこがおなじかずになるところで、きって、はる。カットアンドペースト。たてよこおなじかずだから、かならず「へこんだりはみでたりしない」『ちょうほうけい』になる」
「たしかに。でもめんどくさいなあ。ぼくのかち!」
「ぐぐぬ。みとめたくないものだなとしよりゆえのまわりくどさを。たしかに「じゅうおうむじんほう」の方がシンプルだ。だがワシのやりかたにも、いいてんがひとつあるぞ。『かけざんとたしざん』のかんけいが、『カットアンドペーストほう』だとついでにみえてくる」
「どういうこと?」
「2に、2と1をたしたものをかけると?」
「2と1をたすと3だから、2かける3で6」
「ここでよくみて。2に2をかけると」
「4」
「2に1をかけると」
「2がひとつで2」
「りょうほうたすと?」
「6だ!」
「つまり、『なにか』に『なにかとなにかをたしたもの』をかけるばあい、たしざんしてからたしてもいいけど、たしざんするまえのかずにあらかじめかけざんしておいてから、けっかをたしてもおなじこたえになるわけだ」
「そういわれてみればそうかも」
「これで、たしざん、かけざん、そしてたしざんとかけざんのかんけいがつかめた!」
「うん」
「これで九九のひょうもじぶんでつくれるな!」
「えーと…81こもおぼえなきゃならないのか…」
「『にさんがろく』がわかれば『さんにがろく』もなりたつんだから、ぜんごがおなじばあいが9こと、ちがうばあいが36この45こでいいんだ。36こもすくなくなった」
「すこしらくになった…のかな」
「らくにならなきゃすうがくじゃない!」
「でもこれさんすう…」
「『かけざんのじゅんばんはどんなかずでもいれかえていいか』だよね」
「そうそう」
「よくかんがえたら、そんなのあたりまえじゃん!たとえば2かける3ね。1円玉ちょーだい」
「たりるかな…はい」
「こういうふうにならべるよ」
○○○ ○○○「たてにならべていけば『2かける3』だけど、よこにならべていけば『3かける2』だよね!たしざんとおなじで、どっちからかぞえるかしかちがわない。どうかぞえてもかずはおなじ。で、おなじかずをくりかえしならべてるから、どんなかずどおしでも『しかく』は…へこんだりはみでたりしない」
「おみごと。ワシよりエレガントなせつめいかも。ワシはこうかんがえた。せつめいしやすくするために、『なにかけるなに』の『かける』のまえのかずを『かけられるかず』、うしろを『かけるかず』とよぶことにする」
「おゆかけられるらーめん」
「おゆもらーめんもかずじゃないYo!それはさておき、まず『かけられるかず』と『かけるかず』がどっちもおなじばあい。このばあいいれかえてもかわりようがないよね。おなじものでおなじものをとりかえたんだから」
「2かける2、3かける3、4かける4…あたりまえじゃん」
「だとしたら、かけられるかずとかけるかずがちがうばあいでもなりたてば、『どんなかずどおしでも』なりたつといえるよね。じゃあさっきの一円玉で、2かける3をやってみようか」
○○○ ○○○「で、ここでこうしてみる」
○○ ○ ○○ ○「3は2たす1だから、こういうふうにわけられるよね」
「で、2のほうはもう『かけられるかず』と『かけるかず』がおなじばあいになっている。この『しかく』はせいほうけいともいうんだけど、それはさておき…」
「で、こんどはこうしてみる」
○○ ○○ ○○「あ!」
「そう。『3かける2』になった」
「これ、どんなかずのばあいにもおなじことができるよね。たてよこがおなじかずになるところで、きって、はる。カットアンドペースト。たてよこおなじかずだから、かならず「へこんだりはみでたりしない」『ちょうほうけい』になる」
「たしかに。でもめんどくさいなあ。ぼくのかち!」
「ぐぐぬ。みとめたくないものだなとしよりゆえのまわりくどさを。たしかに「じゅうおうむじんほう」の方がシンプルだ。だがワシのやりかたにも、いいてんがひとつあるぞ。『かけざんとたしざん』のかんけいが、『カットアンドペーストほう』だとついでにみえてくる」
「どういうこと?」
「2に、2と1をたしたものをかけると?」
「2と1をたすと3だから、2かける3で6」
「ここでよくみて。2に2をかけると」
「4」
「2に1をかけると」
「2がひとつで2」
「りょうほうたすと?」
「6だ!」
「つまり、『なにか』に『なにかとなにかをたしたもの』をかけるばあい、たしざんしてからたしてもいいけど、たしざんするまえのかずにあらかじめかけざんしておいてから、けっかをたしてもおなじこたえになるわけだ」
「そういわれてみればそうかも」
「これで、たしざん、かけざん、そしてたしざんとかけざんのかんけいがつかめた!」
「うん」
「これで九九のひょうもじぶんでつくれるな!」
「えーと…81こもおぼえなきゃならないのか…」
「『にさんがろく』がわかれば『さんにがろく』もなりたつんだから、ぜんごがおなじばあいが9こと、ちがうばあいが36この45こでいいんだ。36こもすくなくなった」
「すこしらくになった…のかな」
「らくにならなきゃすうがくじゃない!」
「でもこれさんすう…」
へびあし
- ここでいう「かず」は「正の自然数」。ゼロを含む場合はどうか(そしてそれを「自然数」と呼ぶかでまた新たな自転車置き場がそこに…)、負の数を含む場合はどうか、分数は、そして実数は…またおじさんがちょっかい出すかもしれませんし、自力で解いちゃうかも知れません。
- おじさんは、九九を覚えるよりも掛け算の前後を入れ替えても同じ数になることを、それを知らない、もしくは疑っている人にきちんと説明できる方が大事だと考えています。そして九九を知らない子でも、それはできる、と。
- と同時に「それはけっしてどんな演算でもなりたつことではないんだよ」ということを知るのもおなじぐらい大事だと考えています。そのために「べきる」のは反則でしょうか?でもおっさんはチョイワルなので気にしてません。
- 半分(正確には5/9)しか埋まっていない九九の表は、明治の教科書でも使われていました。「かけ算には順序があるのか」P.83参照。この場を借りて遅まきながら献本御礼。
- もっといいバージョンが(あった|思いついた)らぜひうpを。
- ところでかけ算の順序は問題になるのに、足し算のそれはならないのはなぜでしょう?問題にされた場合、一瞬ぐらいはひるみませんか?あ、「自明」の一言はここでは禁句という事でひとつ。
算法としての掛け算を本格的に習う前でも、どころか十進数で一桁の数しかしらないうちでも、掛け算の順序は入れ替えOKということを「しょうめい」できるのではないでしょうか?そして先にそれをやっておけば、「○なのに×」のような後ろ向きな採点を先生方もしなくてすむのではないでしょうか?本当に「しょうめい」は「さんぽう」よりも高度でそれゆえもっと生徒が長じてからでないと使えない技なのでしょうか?
Dan the Elementary Blogger
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。