オビ、書きました。

せっかく芥川賞受賞作家もオビに寄せているのに、私なんぞが蛇足していいのかというのはさておき。

これ、今年読むべき伝記No.0。

オビより
チューリング・マシンという聖霊は、
いかにしてフォン・ノイマン・アーキテクチャーとして受肉したか。
電子計算機、ここに降臨。
内容紹介
グーグル、アマゾンが君臨する現代のデジタル世界は、もとをたどれば数学者チューリングの構想した「チューリングマシン」に行きつく。そして理論上の存在だったチューリングマシンを現実の装置として創りあげたのが万能の科学者フォン・ノイマンだ。彼の実現した「プログラム内蔵型」コンピュータが数に関する概念を変え、デジタル宇宙を創生したのだ。しかし、フォン・ノイマンがそれを成し遂げたのは、産業や学問のしきたりにとらわれない、プリンストンの高等研究所という舞台あればこそであった。チューリングは何を考え、フォン・ノイマンはどう立ち回り、アインシュタインやゲーデルを擁した高等研究所はいかにしてその自由性を得るにいたったのか。そして彼らとともにコンピュータ開発を支えた科学者・技術者はいかにして関わりを持つようになり、現代に直結するどんな偉業を成し遂げたのか…
高等研究所などに収められた詳細な文献や写真資料、豊富なインタビュー取材をもとに、大戦後の混乱でこれまで必ずしも明らかでなかった歴史事情や、知られざる人々の肖像をちりばめて綴る、決定版コンピュータ「創世記」

著者はあのフリーマン・ダイソンのご子息。つまりプリンストン高等研究所でご幼少のみぎりにこのドラマを生で目撃していたという御仁。その彼が、改めて同研究所の資料にあたった上で再現したのが、本書。いやあ、知らなかった。フォン・ノイマン夫人が、(実機をプログラムした)世界初のプログラマーの一員だったとは。

しかし本書は、往事の再現ドラマに留まっていない。そのことは、「ドラマ」としての主人公がフォン・ノイマンであるにも関わらず本書のタイトルにあえてチューリングの名前を持ってきていることからも伺える。この壮大さはまさに親父ゆずり。

404 Blog Not Found:紹介 - 本を読んだら、自分を読め
もしその人のすごさを知りたかったら、自伝ではなく、第三者の手による伝記を買うべきです。

「その人」ではなく「その人々」。実は拙著も初稿では「フォン・ノイマンの伝記が読みたい!」ってあったのだけど、本書のおかげで書き直す羽目に。

ドススメです。

Dan the Layman